最初は単なる“スペシャル電動ゴルフ”だと思っていたのに…やられた! やられましたわ不肖小沢!! 先日ヨーロッパでいち早く乗ってきたゴルフGTE。末尾の「E」が示すようにゴルフ初のプラグインハイブリッドモデル、つまり電池多めの“電気自動車に限りなく近いハイブリッド”であり、最初はさほど売る気のないスペシャル電動ゴルフだと思ってたわけです。電池の大量搭載で値段は張るし、重くもなるので。言ってみればプリウスPHEVや三菱アウトランダーPHEVのイメージですよ。 どっこい乗ってみて、エンジニアに聞いてみてビックリ。知れば知るほど傍流(ぼうりゅう)どころか、かなり主流派を狙ったスポーティゴルフ。事実、走りとエコとコストのバランスでは、傑作との誉れ高い現行GTIをもビビらすレベルで、つくづく人間思い込みは失敗の元ですな。 とはいえスペックは完璧にプラグインハイブリッドのそれだ。ボディはもちろんゴルフ7で、全長×全幅×全高は4270×1799×1457mmと欧州測定値でゴルフGTIと数ミリ違うだけだが、肝心の駆動用リチウムイオン電池は8.7kWhと巨大(ちなみにパナソニック製)。アウトランダーPHEVの12kWhには負けるが、プリウスPHVの4.4kWhのほぼ倍で、フル充電状態から欧州モードで50kmも走れて、これはプリウスPHVのほぼ倍で、アウトランダーPHEVより少し落ちるレベル。本気の現実的ゴルフ電動仕様ではある。 プラグインハイブリッドというより「GTI」のエコバージョン?だが、見れば見るほどそんじょそこらのプラグインハイブリッドじゃない。違いはまず車名に現れてて、「GTE」の名からも分かるように目指したイメージはゴルフ「GTI」。それは一目瞭然で、フロントはグリルを挟んで左右ライト間にスパッと鮮やかなブルーラインが入っているし、前後左右の「GTE」エンブレムの書体は「GTI」とまるで同じ。バンパー下のマツゲのようなフィンも同様だ。 さらに嬉しくなるのはインテリア。大抵のエコカーは速さを謳わないが、このGTEは思いっきりGTI譲りのセミバケットシートを採用。唯一、赤いタータンチェックが青いタータンチェックになっているだけで、「まんまGTI」。前者はガソリンエンジン、後者はガソリンエンジン+モーターと心臓部は違うが、目指す速さや世界観は繋がっている! と言わんばかりだ。 実際に走りは驚くべきレベルでスペックからして凄い。パワートレインは150psの1.4リッター直噴ガソリンターボと102psのモーターのハイブリッドで、エンジン単体出力で現行ゴルフハイラインの1.4リッターターボを超えるし、後者は単独でも日産リーフと同等。 結果、両者を合わせたシステムパワー&トルクは実に204ps&350Nm。一瞬、204psか…大したことないなぁ、と思うかもしれないが、発進直後に一番力強いモーターの存在を考えると、総合力は220psの2リッター直噴ターボを積むゴルフGTIに匹敵。なんせ0-100km/h加速は7.6秒とGTIには負けるものの、GTIのディーゼル版である「GTD」にはほぼ匹敵するのだ。 GTIの次ぐらいに速くて、乗り心地はGTIよりいい!さらに驚くのは乗り心地だ。車重は電池の分だけGTIより200kg弱重く、軽々しさはない。だが、発進加速は前述通りモーターのサポートで力強いし、なにより重い分だけ乗り心地がしっとり。小沢的にはゴルフハイラインに匹敵するかもしれないと思った。 それだけじゃない。ここはある意味、面倒っちゃ面倒だが、半電動カーがゆえ、設定によって性格が結構変わる。運転モードは5種類あって、大人しいものからざっと「Eモード」「ハイブリッドオート」「バッテリーホールド」「バッテリーチャージ」「GTEモード」。 Eモードはまさに電気自動車状態で巨大な8.7kWhのパナソニック電池だけで欧州モードで50kmも走れる。しかもこれがモーター単独で102ps&330Nmのスペックなので十分に速い。もちろん高速域での伸びは足りないが、それでも時速130kmまで到達可能だ。 次のハイブリットオートは一番効率のいい混合モードで欧州複合モード燃費で22.2km/Lも走れる。よってフル充電状態からのEV走行、50kmを含めると、ガソリンわずか40リッターで939kmも走れる計算となる。 さらにバッテリーホールド、バッテリーチャージはハイブリッドオートに比べ、より発電を増やして充電状態をキープするモードと、さらに増やして充電量を増やせるモード。アウトランダーPHEVでいう「セーブモード」と「チャージモード」だ。これはエコ云々よりも、出発直後の街中でEV走行を楽しむのではなく、ドライブ先の海山川でEV走行を楽しんだりするための電池を取っておける機能。もしや三菱の対応を研究したのかもしれない。 変幻自在の“より上質なGTI”トドメは「GTE」モードだ。これはまさしくシステム出力&トルク最優先の、204ps&350Nmのバカっぱや状態で、発進直後からエンジンがかかり、モーターパワーと合わさるから凄い。エンジン音もブロロロ…とGTI顔負けに響き、いきなり速い速い! ハンドリングにも、GTI譲りの電気制御でブレーキをつまんでアンダーステアを消すトルクベクタリング機能が入っているようで、GTIほどではないが良く曲がる。 つまりゴルフGTEの凄さは非常に複合的であり、毎日50km弱の“現実的なEV”として使えるだけでなく、“より乗り心地のよいゴルフGTI”としても使えるし、エコ優先から走り優先までキャラクターを自由自在に切り替えることができる。 とはいえ欠点もあり、巨大バッテリーが床下に入っているからトランク容量はノーマルから約100リッター減の272リッター。それでも並みのハッチバックほどはある。また、最大のネックは値段なのだが、これまた意外と問題は少ないのだ。とくにEV大国の日本では。欧州での車両価格は3万4900ユーロ。日本円で約500万円だがEV補助金を考えると450万円前後になり、これは考えて見るとGTIの約60万円高。GTI好きなら十分に射程距離に入ってくる値段だろう。 しかも当然のことながら燃費は間違い無くいいし、普段はEVとしても使える。これほど使い勝手がよく、しかも味わいの幅が深いゴルフはこれまでにもなかったと思うのだ。本気で買ってみたら面白いかも…不肖小沢もふとそう思ってしまったくらいのゴルフGTEなのであーる。 主要スペック全長×全幅×全高=4270×1799×1457mm |
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