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クルマの電動化、最前線のコア技術に迫る

2014-11-14 13:30| post: biteme| view: 704| コメント: 0|著者: 文:川端 由美

摘要: フランスのメガ・サプライヤーをたずねて パリから北西に向かって小一時間ほど走った郊外の町、セルジーに向かった。普段、技術の取材をしていると、どうしても国内やドイツのサプライヤーに目を向けがちだが、ここ ...

クルマの電動化、最前線のコア技術に迫る

フランスのメガ・サプライヤーをたずねて

パリから北西に向かって小一時間ほど走った郊外の町、セルジーに向かった。普段、技術の取材をしていると、どうしても国内やドイツのサプライヤーに目を向けがちだが、ここにはフランスを代表するサプライヤーである「ヴァレオ」の頭脳があるのだ。

とはいえ、「ヴァレオ」という社名を耳なれないと感じる人も多いだろう。現在の社名を使い始めたのは1980年代のことだから、当然だ。しかし実は、ボッシュ、コンティネンタル、デンソーと並んで世界10大サプライヤーに数えられる規模である。馴染みが薄い人のために歴史をひもとくと、元々はフェロードのブレーキの輸入を手がけており、1923年にはライセンス生産をスタートした。早くからグローバル展開を進め、シビエやマーシャルといった旧車ファンならよだれが出そうなランプのブランドを傘下に収めて多角化をはかった。市光と資本・提携をしていたり、旧ゼクセルを合併してエアコン開発の拠点を置くなど、日本との関係も深い。

「パワートレイン」、「サーマル」、「コンフォート&ドライビング・アシスタンス」、「ビジビリティ」の大きな4部門にわかれるうち、セルジーにあるのはパワートレイン部門の研究開発だ。加えて、4部門を横断するCO2排出量の削減やハイブリッドなどの開発もここで担当している。

…と、ヴァレオの概要がわかったところで、そろそろ本題に移ろう。今回、セルジーを訪れた最大の目的は、電動スーパーチャージャーと48Vシステムだ。両者とも、そう新しいアイデアではないことはご存知の通りだが、あえて今、それらのソリューションを世に送り出した理由を探りにここまできたのだ。

電動スーパーチャージャーの効用

普及に至らなかった理由はいくつかあるが、電動スーパーチャージャーに関しては、わざわざ発電した電力でスーパーチャージャーを回しても効率が悪いとの理由で普及しなかった。しかも、スーパーチャージャーを回すために使われる電気モーターは、数ミリ秒の短時間で数万回転まで回らないといけないという特殊なものが必要とされる。今回、ヴァレオで電動スーパーチャージャーを実用化できたのは、その2つの課題がクリアされたからだ。

早速、電動スーパーチャージャーの中身を見ていこう。機械式同様、吸気を圧縮するコンプレッサーとタービンが備わるが、電動式ではエンジンに直結しないため、それらをつなぐシャフトが不要だ。このシャフトはかなり熱が高くなるため、特殊な素材を使っていて、コストも高い。加えて、スーパーチャージャーを切り離すためのクラッチやプーリーが不要になる。一方で、スイッチ・リラクタンス・モーター、パワーエレクトロニクス、電子制御ユニットといった電気じかけが加わる。具体的には、250ミリ秒で最大70000rpm(!)まで回転数を高められる電気モーターを独自開発し、オルタネーターと強化スターターとインテリジェント・バッテリーから構成される回生システムによる電力を活用することで電動スーパーチャージャーを実現した。

…と解説しても、なんだか難しいゾ! とお思いの方も多いでしょうが、乗ってみると、その御利益は明らか。セルジーに用意されていたテストカーは、ダチア「ダスター」という渋めのチョイスだ。78kW/140Nmを生む1.6リッター直4自然吸気エンジンにMTを組み合わせたものに、電動スーパーチャージャーをアドオンしている。エンジンルームを開けると、なんと横置きされたエンジンの前に電動スーパーチャージャーが搭載されている。電動式では、モーターとエンジンをつながなくていいので、モーターの置き場所が自由に選べるようになるのだ。

クルマ好きに嬉しい結論

エンジンをスタートして、一般道へと走りだす。クゥゥゥーンという電動スーパーチャージャーの作動音は、一般的な機械式のものと同様だが、市販にあたってはさらに静音化できるという。十分に加速したあと、郊外の幹線道路を50~60km/hあたりで巡航していると、エンジンとトランスミッションが切り離されてコースティングの状態になる。

そこから再びアクセルを踏み込むと、エンジンは低回転を保ったまま、電動スーパーチャージャーの回転がアイドル時の4000rpmから一気に60000rpm以上まで高まって、体感できるレベルで加速力が増す。このときのバイバス率は10%程度、つまり吸気のうち9割もが電動スーパーチャージャーで圧縮されてエンジンに送られているワケだ。また、ヴァレオのシステムでは、さらにモーターのローターを軽量化して、回転時のイナーシャーを減らしており、ターボチャージャーより立ち上がりが早い。

テストカーゆえに、電動スーパーチャージャーを切り離しての走行も試せる。例えば、4速で走っていて坂道に差し掛かったとき、機能をオフにすると、シフトダウンを余儀なくされる。ところが、同じシーンで電動スーパーチャージャーをオンにしておけば、変速せずにすいすいと登っていく。電動スーパーチャージャーはエンジン回転数が2500rpmと低い領域で作動するため、加速時や坂道を登るようなトルクが必要なとき、トルクのアドオンする方向だけではなく、エンジン回転数を下げることにもつながり、低燃費化にもつながる。

また、機械式ではコンプレッサーを駆動することによるロスが40%と大きいが、電動ならこのロスもない。ヴァレオのデータでは、25%のエンジン・スピードの低下が可能で、8%の燃費低減ができるという。

ざっくりまとめると、昨今流行りのダウンサイジング・エンジンの低回転域でのトルクを高めたり、燃費を意識してハイギアード化されたトランスミッションと組み合わせても、動力性能を保ちながら低燃費化できるという、クルマ好きに嬉しい結論になる。

旧くて新しい、48Vシステム

電動スーパーチャージャーだけでも高効率にひと役買うし、テストカーは従来の12Vシステムに電動スーパーチャージャーを組み込んでいたが、これと相性が良さそうなのが「48Vシステム」だ。電圧を12Vから48Vの4倍にすると、発電機を大きくしなくても、クルマの中で使える電力量を増やせるというアイデア。これまた、1980年代には提唱されていたもので、技術に詳しい人こそ「なんで今さら…」という疑問がわくはずだ。

これまで、高圧化すれば車内で使う電力の高効率化ができたり、カーナビやオンデマンドの電動デバイスをたくさん使えるのはよくわかっていたが、いざ、電圧を変えるとなると、従来、クルマの中には鉛蓄電池を中心にした12Vのシステムをごっそり入れ替えることになる。すでに普及した手頃な価格の部品がぜんぶ使えなくなるとあっては、自動車の価格にも響く。部品をちょっと変えたり、付け加えるのが臓器移植だとすると、12Vシステムから48Vシステムに変えるのは動脈と静脈をごっそり変えるほどの大手術。自動車メーカーが二の足を踏むのも当然だ。

ところが、ここに来て急速にヨーロッパの自動車メーカーは48Vシステムの導入に色めきだっている。最大の要因は、2020年前にCO2排出量を95g/km以下に削減するというEU委員会の厳しい目標が設定されているからだ。2015年の120g/kmまでは内燃機関の高効率化でなんとか対応してきたが、95g/km以下となると、なんらかの電化が必要だと誰もが考えている。日本車メーカーにとっては、すでに数百ボルトの世界で自動車のハイブリッド化が進んでいることもあって、あまり興味がないようだが、ヨーロッパではかなりホットな話題だ。

ヴァレオならではのコストを抑える工夫とは?

ざっと見まわしても、低燃費の小型車やディーゼル車が販売の中心を占めるフィアットやプジョー・シトロエンのCO2排出量がダントツで少ないが、もうこれ以上、ディーゼルの比率を増やすことも難しいし、小型車ばかり売っていても収益につながりにくい。一方、大きなエンジンのクルマをたくさん売りたいドイツ車メーカーにとっては、CO2排出量の削減だけではなく、カーナビや電気モーターを使う快適装備が増えることで車内で消費される電力に対して、発電による供給が追いつかなくなっている。従来の12Vシステムでは250A発電できるオルタネーターを組み込んでも、電力量は最大3~4kWに限られる。しかし、48Vシステムであれば、250Aの発電量があれば最大10~12kWもの電力が使える。

スタート・ストップ・システムや回生ブレーキと電動アシストを組み合わせたマイルド・ハイブリッドでもいいんじゃないの? という意見もあるだろう。それではもう、CO2排出量の削減の目標に達しないのだ。あるいは、フル・ハイブリッドやPHV(プラグイン・ハイブリッド)まで電化を一気に進めてしまうほうが低燃費にできるというのもごもっともだ。だが、フル・ハイブリッドやPHVは、エンジン車の部品に加えて、モーターやパワーエレクトロニクスなどの部品が増えるわけだから、量産しているトヨタ以外は、コスト面で不利だ。

48Vシステムは、電気の安全基準が上がらない60V以下で、小さなモーターとバッテリーを使うことでコストを抑えている。具体的には、モーター、ベルト・スターター・ジェネレーターに加えて、0.5~1MJ程度の容量を持つバッテリーを組み合わせる。もちろん、ほかのメーカーやサプライヤーも48Vシステムの提案はしている。ヴァレオのシステムの特徴は、インバーターをモーター内に組込み、ベルト・スターター・ジェネレーターにテンショナーが直結するなど、標準化してコストを抑える工夫だろう。また、電池メーカーと提携をせずに、リチウムイオン電池でもスーパーキャパシタでも対応できるのが特徴だ。

技術の民主化を担っているサプライヤー

実際、プジョー「207」をベースに1.6L直4ターボ・ユニットに48Vシステムを組み込んだテスト・カーに試乗した。このモデルはスーパーキャパシタを採用しているため、短い距離だが、ハイブリッド車のようにEV走行もできる。アクセルを踏み込むと、電気モーターによってエンジン車以上のトルクがアドオンされて、予想以上に鋭い加速を生む。

エンジンの負荷があまりかからないときには、発電に出力を回して蓄電しておいて、いざトルクが必要なシーンで、電気モーターを動かすために電力を放出する。ブレーキをかけるときにはエネルギー回生をして、これまた蓄電する。また、走行中もエンジンを高効率な領域で使えるように、電気モーターのアシストをしている。従来のエンジン車にトルクをアドオンするような使い方もできるし、出力はそのままにエンジンのダウンサイズをして低燃費化もできる。ヨーロッパでは、この数年以内にC-Dセグメントから導入が進む予定で、スタート・ストップ機構のようにじわじわと広がりそうな技術だ。

ドイツのメガ・サプライヤーが最高峰を目指す技術を高らかに発表するのに対して、ヴァレオは新技術をより多くの人の手に届くように広げようとする伝統を持っている。私たちが、新技術の恩恵を受けるのを加速する、いわば技術の民主化を担っているサプライヤーといえるのではないだろうか。


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