ある意味、物理限界に挑戦した軽自動車なんじゃこりゃ? もはやあり得ん! と叫びたくなる前代未聞の軽自動車が登場した。その名もダイハツ「ウェイク」。去年の東京モーターショーに「デカデカ」という名のコンセプトカーで登場したクルマで、不肖オザワに言わせるなら“軽のスペース限界に挑戦した”勇気あるチャレンジャーであーる。 実はそこには前振りがあって約11年前の2003年、同社は当時非常識な1700mm台の全高を持つ初代「タント」を発表! ご存じトヨタ・セルシオもビックリの巨大車内空間を備え、一躍スーパーハイトワゴンブームを巻き起こし、当初はニッチだったが、そのうち軽販売のトップレベルにまで食い込んできた。 しかし当然ながらライバルも指をくわえて見ているわけはなく、今やホンダ・N BOXやスズキ・スペーシアなど強力ライバルが続出。元祖タントですら安穏とトップにいられなくなった。だからか「背高ノッポ」のパイオニア、ダイハツはタントの上行くタント!? とも言うべきこのウェイクを生み出したのであーる。 全長×全幅×全高が3395×1475×1835mmでホイールベースが2455mm。長さと幅とホイールベースはムーヴやミラと全く同じで、高さのみ唯一タントより85mmも高い圧倒フォルム。タントもそうだったが特に異様なのはタテヨコ比で、クルマは前から見ると大抵高さより幅の方が長いが、ウェイクはタント以上の逆転現象! 妙に幅が狭くて背が高い、おサカナ風フォルムを獲得している。 となると当然怖いのは転倒。クルマは物理的にコーナリング中に横Gがかかり、背が高くなれば高くなるほど転倒リスクが高まる。よってコーナリング性能の高いスポーツカーほど車高を低くするわけで、法的には全高2000mmまでOKな軽でも普通は1600mm程度に抑えられているのだ。 まさに物理限界に挑戦したウェイク。早速不肖オザワがチェックしてみました! タントより62mmもアイポイントが高い「ウェイクは始めにアイポイントの高さありきなんです。タントだと5ナンバーミニバンより視点が低くて」 と教えてくれたのは開発スタッフ。オザワの予想とウラハラに開発のきっかけはスペースではなく、視点の高さ。視界を含めての乗りやすさを追求しており、シート座面はタント比で62mmも高い。よって実際に座ってみた時の見晴らし感もタント以上で、一緒に乗った身長150cm台の女性は「なにこれ? 大きいけど凄く見やすい」と感動していた。 となると当然気になるのは転倒リスクだが、ここはダイハツも万難を排しており、全高85mm、座面62mmも上がっているのに重心高アップはわずか約10mm。秘密はタント以上にボディ上部の外板を樹脂化したり、ルーフ鉄板の板厚を薄めて重心高に効く部分を軽量化しているのと、中身の低重心化でトランク床面を下げたり、パンク修理キットを低い位置に置くなど細かい努力をしている。 サスペンションは基本ミライース系だが、ロールを抑える太いスタビライザーを全車標準装備し、ウレタン製の柔らかいバンプスプリングを採用。足回りが底付きしても大きな衝撃が入らない構造になっている。 さらにオザワが運転して感じたのは独特のおっとり感だ。ステアリング、アクセル、ブレーキすべての操作に対し、身のこなしを極力スローにしており、タントもそうだったが、走り出すなり「バスっぽいな」と思う。 エンジンはタント同様の52psの660cc直3ノンターボと64psの同ターボが選べ、どちらもCVTと組み合わされるが、ハイパワーなターボでアクセルを思いっきり吹かしても、極端にドカンと飛び出ることはない。3000rpmのトルクが厚いところまで絶妙にCVTが繋がり、ほどよくじんわり速く走れる。 ちなみにこれは燃費にも効くようで、モード燃費はノンターボが25.4km/Lでターボが23.8km/Lとタントよりちと落ちるが、高速ゆっくり走行でなんと実燃費18km/L台を記録。トゲを抑えた走りは、エコにも効いている。 全然“意味のない広さ”じゃなかった!それから乗り心地とハンドリングだ。乗り心地は荒れた路面では多少ザラ付くが、予想以上にしなやかで快適、静粛性も高い。標準装備のアンチロールバーが効いているようで、凄く良好とは言いがたいが、予想を上回る快適さではある。 ハンドリングも首都高のワインディングをそれなりに攻めた時、徹頭徹尾おっとりさを失わず、なおかつロールが少ないのに驚いた。これなら恐さはないと言っていい。ただしこれで片道500km以上走ってスキーに行きたいか? と聞かれるとちょっと悩むが。 しかし、それ以上に嬉しくなったのは室内の使い勝手だ。特にダイハツが「ミラクルラゲージ」と呼ぶ荷室部分が抜群にいい。正直、全高1750mmのタントでさえ使い方で悩むのにこれ以上あってどうする? と思っていたが、ここは予想以上の大発見だ。 床下のラゲージアンダートランクが90Lもあり、フロアを兼ねた蓋を後席背面側に跳ね上げて固定すると、実にゴルフバッグが3個タテ積み可能! そのほか長さ160cm台のカービングスキーもタテに楽勝で置けて、これは本当に便利。 これまで長尺ものは、たとえ5人乗りの大型SUVでも、スキーに行く時などはリア席を1つツブして4人乗り状態で荷物を横に積む必要があった。だが、タテ積みなら軽の4人分の居住スペースを全く潰さず、荷物を搭載できる。しかもタテ積みは積載がラクチンなのだ。 遊びのプロのアドバイスが活きる使い勝手さらに絶対室内スペースと使い勝手だ。ウェイクはタントと違い、親子ではなく、広さ徹底優先のマジな趣味人男性を狙っているから、タントのような乗り降りに効く左側ピラーレス構造を採用してない。おかげで走りもバランスが良くなっているし、なにより広さだ。 メーカー毎による測り方の違いもあるが、室内長×室内幅×室内高は2215×1345×1455mmで、タントより長さも高さも格段に長い。他社と比較すると室内長こそデイズ ルークスの2235mmに負けるがN BOXに勝ってるし、室内高はライバル+55mmでひとり勝ちで、5ナンバーミニバンのトヨタ・ノア&ヴォクシーより高い。 これがウワサ通りサーファーやら釣り人やらサイクリストやら、プロのアドバイスを受けているからやたら使い易いのだ。さきほど絶賛したリア荷室は逆にフロアを高くすれば、2段式の棚として使えるし、リアシートを前に倒すとフラットになるのはもちろん、助手席も倒すとツライチで広大で、傷に強い空間が広がる。オマケに助手席には一眼レフがそのまま置ける棚があり、中央にはスマホを置ける小棚もある。 もはや「軽」というより「ハイエースの小型版!?」と言いたくなるレベルに突入してきたウェイク。こりゃまたまた新しい市場を作ってしまうのかもよ? スペック【 G “SA”(FF)】 【 L “SA”(FF)】 発売日=2014年11月10日 |
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