RCのシャシーは3台のモデルの合わせ技!「おっ、カッコイイ」と思わず口から漏れてしまった。 レクサスブランドのイメージを大きく変えてしまうほどインパクトのある新しいスポーツクーペが登場したのだ。プレミアムブランドのイメージを引っ張るには、クールなスポーツクーペが不可欠だ。限定モデルのLFAはレクサスのイメージリーダーだが、すでに販売終了で、フラッグシップとは呼びにくい。「RC」はレクサス関係者が待ちに待ったスポーツクーペというわけだ。ニューヨーク郊外のサーキットを中心に行われた国際試乗会から、「RC」とそのホットモデルたる「RC F」をレポートしよう。 RCが格好よく見えるのは、直感的にはフェンダーが大きく張り出してるからだろう。絞り込まれたボディラインが丸みを帯びた造形を具現化している。レクサスはプレミアムブランドの中では保守的なイメージが強かったが、RCはそんなイメージを大きく変えている。真正面からみるとスピンドルグリルが精悍さを高めているし、バックミラーに映る姿を想像すると、ライバルがビビってしまうほど迫力があるはずだ。 ヘッドライトは二眼式LEDを採用するが、バージョンLには新開発の三眼フルLEDを採用し、L字に発光することでレクサスのアイコンとなっている。 インテリアを見ると高級車に相応しいアンビエントライトが夜間のドライブでムードを醸し出している。メーターはオーソドックスな二連丸型を採用するが、タコメーターは高回転になるにつれて目盛りの間隔が広くなり針の動きが追いやすい。スポーツクーペに対するレクサスのこだわりが感じられるところだ。 NX200tの2L直噴ターボ搭載はどうなる?「RC」ファミリーのプロフィールを明らかにしよう。サイズ的にはISとGSの中間にあるが、今回のRCは決してISクーペ、あるいはGSクーペという位置づけではない。セダンの派生車種として開発したのではなく、独立したモデルとして開発されているのだ。実際のボディサイズは全長4695mm×全幅1840mm×全高は1390mm、ホイールベース2730mmと、低く、いかにも走りが得意そうなプロポーションをもっている。 RCはISでもGSでもない新しいボディのアーキテクチャを持っているが、その秘密はどこにあるのか。新アーキテクチャの目的は軽量と高剛性である。そのためにボディをフロントとキャビンとリヤの3つに分けてモジュール化した。まずフロントは外径の大きなタイヤを装備するためにGSのモジュールを使い、中央のフロア部分はもっとも剛性が高いオープンカーのIS Cのフロアを流用している。通常のセダンよりも断面積では2倍も大きいロッカー(サイドシル)を持っており、曲げ&ねじり剛性はかなり高い。そしてリアはISのものとなる。その結果、ISよりもボディ剛性が1.5倍ほど高まったのだ。 この高剛性ボディに3.5L V6エンジンが搭載されるのが「RC350」だ。313ps以上のパワーと380Nmのトルクはスポーツクーペとしては十分なパフォーマンスだ。ちなみにRCのパワートレーンはこのV6ガソリンエンジンと、「RC 300h」というハイブリッドの2種類が用意されている。今回、ハイブリッドに乗ることはできなかったが、レクサス(トヨタ)初の本気のスポーツ・ハイブリッドも注目したい。 先に登場したコンパクトSUVのNXに搭載された2L直噴ターボについて、多くのメディアからRCへの搭載の可能性を質問されたというが、チーフエンジニアの草間さんはイエスともノーとも答えていない。アメリカはV6、日本はハイブリッドに人気が集まりそうだが、欧州はダウンサイジングターボが主流となってきているので、私は将来的にはターボはありそうだと考えている。 一般道、そしてサーキットへニューヨーク郊外から120kmほど走るとプライベートサーキットに着く。この間フリーウェイとワインディングを走ることができたが、V6エンジンに組み合わされるギアボックスの8速トルコンATは2速-8速まで完全にロックアップ(クラッチレスのMTシフトが可能)するので、レスポンスが非常にいい。マルチシリンダーと多段化したトルコンAT(DCT=デュアルクラッチではなく)の組み合わせこそ、黄金のコンビネーションだと思うのは私だけではないだろう。トルコンATの発進から高速走行までトルクフルでスムーズで神経を使わないで走れるイージーさがアメリカで受けている。いや、日本でもこの走り味はスポーツクーペにとって大切なはずだ。 乗り心地も良好で、快適なスポーツクーペの走りを楽しんだが、高速走行で気がついたのはステアリングが軽く手応えが薄いことだった。そのために直進性が“矢のごとく”というわけではなかったのが残念だ。試乗車には4輪操舵(LDH=レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)が備わっているにも関わらずだ。 一方、サーキットではRCのイメージはよりゴキゲンなものとなった。横Gが大きくスピードを高めるほどRCの走りは頼もしくなる。ステアリングの正確性が増しているので、ハンドリングは軽快で愉しい。4WSが装備されているためか、コーナーではアンダーステアが少ない。ダンパーはAVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)を持っているので、走行状態によってダンパーが可変する。バージョンLでは快適性が増すが、限界付近のダイナミクスに大きな違いはない。 RCのパワーソースはガソリンV6/ハイブリッド、乗り味ではより豪華なバージョンL/スポーティなFスポーツをそれぞれ組み合わせることが可能だが、試乗したガソリンV6とFスポーツの組み合わせはもっともホットなRCであった。 おススメは「トルセンデフ」かOPの「TVD」か?最強のRCは“リアル F”と言われる「RC F」だ。レクサスによればIS Fの後継モデルではなく、新たにレクサスのスポーツを牽引していくモデルだという。 ボディはRCをベースに開発され、幅で+5mm、車高は-10mm低くなっている。エアロの関係で全長は+10mm長いが、全体的には引き締まったスポーツクーペのフォルムをもっている。エクステリアではフロントマスクの両サイドにくさび形のスピンドルがあるので「ダブルスピンドル」となっている。 タイヤは19インチの前後異径サイズで最強のラジアルであるミシュラン PSS(パイロットスーパースポーツ、前:255/35ZR19/後275/35ZR19)を履き、サスペンションも強化されたものを組み合わせている。5L V8エンジンは477psにチューンアップされている。自然吸気のV8エンジンは絶滅危惧種となりつつあるので、RC FのV8は非常に貴重だ。しかも8速トルコンATはスムーズな上にダイレクト感も十分に高い。クロスレシオが採用されているので加速性能も鋭い。空力性能はLFAの技術を応用し、ダウンフォースを発生するリヤスポイラーは80km/hから機能する。 RC Fで一般道も走った。サスペンションは硬めだが、角が丸いショックなので不快な感じはない。しかも、ダンピングに優れているのでバネ上のボディは常にフラットライド感を実現している。 自然吸気のエンジンは気持ちがいい。パドルシフトを駆使するまでもなくDレンジだけでも十分なスポーツ走行が可能だ。後輪には標準装備でトルクセンシングディファレンシャルが入るが、オプションでTVD(トルクベクタリングディファレンシャル)も用意される。TVD装着車はリヤのトラクションがより安定するので、VDIMをオフにしてもリヤスライドは少ない。そのためにサーキットでは少しアンダーステアを感じてしまった。その半面、リヤにトルセンデフをLSDとして使うノーマルデフのほうが、オーバーステアに持ち込みやすい。セレクタースイッチで各種走行モードを選択できるし、TVDもノーマルとスポーツモードが選べる。 RC FはFIA GT3カテゴリーに参戦できるモデルも開発しており、文字通りレクサスのフラッグシップになっている。速さと気持ち良さ、さらに実用性を兼ね備えたスポーツクーペとして非常に魅力的に仕上がっていた! 主要スペック【 RC 350 】 【 RC 300h 】 【 RC F 】 |
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