どこまで本気? 日本メーカーの出展内容に感じる小粒感ここ数年、年始の自動車業界ネタとして必ず重用される北米ラスベガスの「CES」こと“コンシューマー・エレクトリック・ショー”。愚直に訳すと「消費者向け家電ショー」とでもなるんでしょうが、確かに今や自動運転、コネクティッド、シェアリング、電動化とクルマネタ目白押し。自動車ジャーナリスト小沢もさんざん「行かないの?」「スゴいよ」と脅されるのでやっと今年行って参りました。遅いんでしょうけど。 とはいえ驚いたのは日本の自動車メーカーの出展の少なさです。例えばトヨタ。去年は豊田章男社長が直々に壮大なイーパレット構想をプレゼン。今年もてっきり出展するかと思いきや、ショー直前にレクサスLSベースの自動運転実験車「TRI-P4」をお披露目しただけ。DARPA(米国防高等研究計画局)から引っこ抜いて話題をさらったAIの世界的権威、ギル・プラットさんの講演はありましたが注目はそれくらい。 そのほか日本ブランド勢で目立ってたのは日産、ホンダくらい。ドイツメーカーでも着せ替え都市型電動自動運転車の「ヴィジョン アーバネティック(Vision URBANETIC)」や新型コンパクトの「CLA」を出したメルセデス・ベンツ、自動運転好きのアウディが目立つぐらいで、BMWはバイクの自動運転車や中国アリババの音声アシスタント搭載車などなど。 ホンダもクルマというより1人乗りの動くイス「ユニカブ(UNI-CUB)」のドライブシステムを使った自動台車やコロラド州の消防員と共同開発中の「オートノマス・ワーク・ヴィークル(Autonomous Work Vehicle)」を出しててほとんど社内ベンチャー活動報告ノリ。 全体的に鳥人間コンテストじゃないですけど、玉石混合、奇想天外さを競うアイデアコンテストのムードすら漂っているのです。 それでも出展せざるを得ない日本の自動車メーカーの危機感とは会場で会った大手自動車メーカー執行役員は教えてくれました。 「なぜCESに来るのか? って、今や世界のITカンパニーが自動車ビジネスやその周辺を根こそぎ持ってこうとしてるからだよ。クルマをスマホのように使い、そのプラットフォーム上でデカいビジネスをしようしている。まずは相手の出方を知っとかなきゃダメでしょ」。 国内大手サプライヤーの営業担当はこうも言いました。 「正直、来年出るかはわかりません。とりあえず納入先の方にウチも出てるよと言いに来てる部分はあります」。 振り返ると家電メーカーはもちろん、自動車メーカー関係者とおぼしき日本人を沢山見かけました。時代は、変わる。我々も置いていかれるわけにはいかない。とりあえず出てみるか。CESはまさしく危機感の集合体でもあるのです。 そして来てるのは基本一般客ではなく、ビジネスマンであり、本当に目立てるのは真の技術とアイデアを持った者のみ。普通に新車を出しても仕方がない。あのトヨタですら毎年わかせるネタは出せないのですから。 自動車が動く家電に変わる瞬間。それを自虐的に見に来ている気すらしてきました。つくづくCESは甘くない。そう感じ取った次第です。 |
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