5G通信でクルマから膨大な情報が集められる新年早々にラスベガスで開催された家電ショー「CES」では、トヨタ、ホンダ、メルセデス、ヒュンダイなど米国ビジネスのメインプレイヤーが揃って未来を語った。トヨタの豊田章男社長はプレスカンファレンスで「モビリティサービスを提供する企業になる」と宣言。メルセデスも2016年に発表した中期ビジョンの「CASE」を改めて掲げてみせた。今回はそのCASE(コネクテッド・オートノマス・シェアード&サービス・エレクトリック)から、「C=コネクテッド(接続)」を掘り下げてみたい。 日本でもカーナビや道路情報でコネクテッドが普及しているが、今、世界で起きているコネクテッドはもっと大胆で、多様なモビリティサービスを可能にするものだ。クルマ同士やインフラと接続することで自動運転や事故低減、渋滞緩和が可能になり、サービス面ではスマホを使ったシェアリングなどが発達するだろう。 近い将来「5G」という10Gbpsを超える次世代移動通信が普及すると、さらに多くのデータを扱えるようになる。自動運転で使われるカメラやセンサー類からの膨大なデータがクラウド経由で収集され、この膨大なデータを何に使うのか? という課題が生まれる。例えば、走行中のリアルタイムに変化する動的データからは交通の先読みが可能となり、クルマはもっとエコで安全で快適になっていく。 インテルのブライアン・クルザニッチCEOはCESで「50年以上前に実用化された半導体が世界を変えたように、次はデータコネクテッドによって世界が変わるだろう」とスピーチ。スマホやクルマ、インフラなどを通して集められたビッグデータはAIとCI(機械学習)で有用な情報に整理される。これからはクルマだけの世界で未来を考えているようではダメだろう。 日常会話でクルマとやりとりできる便利さ「C」の可能性はこれだけではない。メルセデス・ベンツは今回、次期型Aクラスから搭載される「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」という車内アシスタントサービスを発表した。音声認識とAIを組み合わせ、ドライバーのストレスを低減し、多様なサービスを提供する。音声認識技術はアメリカのニュアンス社が担当。自動車に特化したデータベースはIBMと共同開発しているようだ。 MBUXの最大の特徴は「先読み(Suggestion)」が可能となったことだ。たとえば出勤するのに毎日ナビゲーションをセットする必要はなく、自動的にセットアップされる。つまりドライバーのスケジュールや好きな音楽のパターンを学習して対応するのだ。MBUXはクルマに特化したデータベースを使っているので、正解率は95%もあるそうだ。 CESでは新型Aクラスのプロトタイプに同乗し、MBUXを試してみた。「ヘイ、メルセデス」と語りかけるのが少し恥ずかしいが、AIを搭載したMBUXは自然言語(日常会話)にスムーズに反応する。例えばエアコンの温度を上げたければ「温度を24度に」と言う代わりに「寒いよ」と言えばいい。また、渋滞にはまった時などは「ヘイ、メルセデス。会議に遅れそうなので、ボスにメールしておいて」と指示すれば、MBUXはドライバーのスマホを使ってメールを送信してくれる。使える自然言語は23ヶ国語、もちろん日本語もOKだ。最近ではこうしたアシスタント機能を「smartphone on wheels」(走るスマホ)と呼ぶようになってきた。 AIやCIがクルマの主役となる時代に、人間であるドライバーの存在はどうなるのだろうか? この質問にメルセデスの開発総責任者のオラ・ケレニウス氏は「メルセデスは人間中心のシステムを大切にしています」と答えてくれた。 |
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