ギンギラギンのメッキパーツ類が全体を台無しに車社会にまつわるモロモロのため、わたしの血圧は今日もまた微上昇を記録した。前回こちらで書かせていただいた「昭和的デラックスの亡霊」とも関連するのだが、国産車のフロントマスクにおける「安易なメッキパーツの多用」が腹立たしいというか、「惜しい!」と歯ぎしりしてしまうからだ。 例えば三菱エクリプス クロスである。 機械的な諸性能はさておき(もちろんそれは素晴らしい)、あのメッキ盛り盛りのフロントマスクは個人的にかなりどうかと思っている。 全体のフォルムはせっかくシュッとしているのに、あのキンキラキンというかギンギラギンのメッキパーツ類が全体を台無しに、そして貧乏くさくしているのだ(アレがお好きな人には大変失礼な言い草であることは重々承知だ。申し訳ない。ただ、個人の感想の噴出というのは如何ともしがたいものである)。 「捲土重来を期すミツビシからやっと名作の予感もあるモデルが登場したというのに、このフロントマスクではどうにもならんではないか。嗚呼……」と悲嘆に暮れながら自宅で独り、地味にネット空間をさまよっていた筆者だった。 だがそこで一筋の光明を見つけた。 それは自動車評論家の清水草一氏が2018年5月10日付けの「webCG」で書いた、三菱エクリプス クロス試乗記の一節だ。以下、当該部分を引用させていただく。 「ホントの話、XC40やイヴォークさえ見なければ、単純に『このクルマ、カッコいいよ!』と思えたのです。個人的にはメッキ部の一部をスプレー塗装でつや消し黒にしてみたい。そうすりゃXC40に対抗できるかも。そんなことも考えました。」 これを読んだ瞬間「確かにそうかもしれない!」と思った筆者は、脳内にエクリプス クロスの絵面を浮かべ、そのメッキパーツを脳内のスプレー塗料でブシューッと黒く塗装してみた。 完璧だった。完璧にイカしてるコンパクトSUVが、そこにあった。 ※編集部注:編集作業時の写真入稿に誤りがあったため修整いたしました。失礼いたしました(11月9日) 脳内ペイントの結果…国産車デザインの近未来は明るいこのことからわかったのは、そして言いたいことは、「車買ったらメッキパーツは黒く塗装しちゃおうぜ! イエイ!」ということではない。 そうではなく、「ほんのちょっとの改変でここまで変わるということは、国産車デザインの夜明けも近いのかもしれない」ということだ。 筆者が繰り返し指摘している昭和的デラックスの亡霊(メッキしてゴージャスっぽくすりゃいいんでしょ? みたいな安易で古くさい発想)に該当する箇所さえなんとか改善できたなら、日本車のデザインは「今のままでも結構いい線いってる」と評せるのではないか……と思ったのである。 そこで試しに、エクリプス クロス以外のさまざまな国産車も脳内に思い浮かべ、そのメッキ部分を脳内塗料で黒またはボディ同色に塗ってみた。 例えば日産ノートe-POWER。V字形と水平方向のメッキグリルを黒くするだけで、装飾過多だと感じていたそのフロントフェイスは、パリのスクエア・モンスリあたりにぜひ路駐させてみたいシックなそれに変身した。 また例えばホンダN-BOX。これのカスタムではないノーマル版も、フロントマスクのメッキ部分をボディ同色にして、ついでにホイールもシンプルな黒の鉄っちんか何かにすれば、「欧州の小型車では絶対に真似できない超絶スペース効率を誇る、そしてビジュアルもなかなか素敵なジャパニーズ・スペシャル!」が完成した。 そしてさらに例えばトヨタ プリウスは……まぁこれについては、2018年末に行われるという噂のマイナーチェンジに期待したい。 いずれにせよ、いまだ残る「昭和的デラックス志向」さえ完全払拭できたならば、日本車デザインの近未来はなかなか明るいのではないかと妄想できた、しばしの脳内ペイント作業であったのだ。 (ジャーナリストコラム 文:伊達軍曹) |
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