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自動車業界に今なお残る「昭和のデラックス志向」はもうやめてほしい

2018-10-5 07:00| post: biteme| view: 245| コメント: 0|著者: 文:伊達軍曹

摘要: その昔、日本はデラックスだらけだった 車社会にまつわるモロモロのため、わたしの血圧は今日もまた微上昇を記録した。自動車業界に色濃く残る「デラックスの亡霊」に悩まされているのだ。昨今の若衆に「デラックス ...

自動車業界に今なお残る「昭和のデラックス志向」はもうやめてほしい

その昔、日本はデラックスだらけだった

車社会にまつわるモロモロのため、わたしの血圧は今日もまた微上昇を記録した。自動車業界に色濃く残る「デラックスの亡霊」に悩まされているのだ。

昨今の若衆に「デラックス」と言っても、マツコ・デラックスの顔が脳裏に浮かぶばかりなのかもしれない。そしてマツコさんを除けば、デラックスという言葉は今やあまり流行っていない。

だが筆者が幼少期を過ごした昭和40年代から50年代にかけての日本は「デラックスだらけ」だった。猫も杓子も自社の製品名末尾に「デラックス」という単語を付け加えていたのだ。

新明解国語辞典 第七版によれば、「デラックス」とは「高級感があって豪華な様子」との意味。フランス語「de luxe(ドゥ リュクス)」の英語読みから来ているカタカナ語である。

で、当時の多くの日本人は「モノやコトというのはデラックスであればあるほど素晴らしい」と考えた。つまり「何事もより高級に、より豪華に」と希求するマインドが大勢を占めていたのだ。それは戦後の国家と国民がまだ割とビンボーだったという事実の裏返しなのだろう。

そしてその結果、国産車の車名もデラックスだらけになった。

例えば初代トヨタ カローラ1100デラックス。例えば2代目ダットサン ブルーバード1200デラックス。また例えば初代トヨペット クラウン デラックス。ちなみに1963年(昭和38年)にはトヨタから「パブリカ デラックス」という、よくよく考えると形容矛盾なんじゃないかとも思える名称のグレードも登場した。

もちろん当時のこういった「デラックス志向」を揶揄するつもりはない。GDPが現在の約10分の1でしかなかった1960年代の日本で、始まったばかりのモータリゼーションと、来るべき輝かしい未来に心ふるわせていた諸先輩の「デラックス志向=豊かで幸せな暮らしへの意志」を、誰が揶揄などできようものか。

だが、時代は変わったのだ。

「足す」ではなく「引く」が美しいとされるようになった

今や(特殊なケースを除けば)ほぼすべての日本人が十分なカロリーを容易に摂取でき、内容と待遇にこだわらなければ仕事はいくらでもある。またあまり流行ってはいないが、その気になりさえすれば誰だって自家用車を持つこともできる。

つまり日本は豊かになったのだ。いまだ残る本質的な諸問題はさておき。

そのようにすでに豊かになった社会で、今さら「デラックス志向」は流行らない。

や、本当の意味でのデラックス、つまり圧倒的ハイブランドなどがもたらす「ドゥ リュクス」という概念は、今なお一部の人間の憧れではあるだろう。だが昭和的なデラックス、すなわち「ベーシックな製品にちょっとした加飾を施すことで、なんとなく豪華っぽく見せる」という手法は、完全に時代遅れとなっているのだ。

むしろ今は豪華っぽさを「足す」よりも、「引く」ほうが美しいとされる時代だろう。

昭和のお母さんは家にシャンデリア風(あくまで“風”)の照明器具を付けたがったものだが、平成のお母さんは「なるべくシンプルなデザイン」のそれを選ぶ。

また昭和のお父さんは、少しカネが入るとすぐに大理石とかを自宅の建材に使いたがったものだが、今のお父さんは大理石ではなく「ちょっと北欧っぽいウッド」とかを選ぶだろう。そして出来上がったウッドデッキにコールマンか何かのデッキチェアを置き、ブランデーではなく炭酸水を飲むのだ。またはノンアルのビールとか。

なぜならば、それが「流行り」だからだ。「そっちのほうがカッコいいよね」という、なんとなくのコンセンサス(合意)があるからだ。

自動車業界にはびこる「昭和的デラックスの亡霊」

で、多くの業界はもちろんその潮流をとらえ、シンプルでけれん味のないナチュラル系デザインを大衆向け商品の主力としている。そのことはFrancfranc(フランフラン)などに行けばすぐにわかるし、最近ではニトリに行ったってわかることだ。

だが大衆向け自動車だけはなぜか、いまだ「デラックス志向の残滓(ざんし)」が目立つのである。

諸般の事情で安い素材しか使えないなら、それを逆手にとって「シンプルな機能美を追求しました」みたいな内装デザインにすれば良いと思うのだが、なぜか「高級感あふれるピアノブラック調パネル」みたいなものを、実用大衆車にも使いたがる。

また軽自動車やリッターカーであるならば、それを恥じることなく普通に分相応な面構えを採用すれば、それはそれで美しい顔立ちとなるはずだ。しかしそういった車ほど妙にキラキラとした高級車ライクなメッキパーツを多用したがり、そしてキリッと怖い目つきにしたがる。

これすなわち、いまだ自動車業界を跋扈する「昭和的デラックスの亡霊」である。

ただ、まさにけれん味のないデザインを全面採用したダイハツ ミラ トコットの登場により、「夜明けは近い!」と見ることもできるのかもしれない。

平成も終わろうとしている今になってこんなことを言うのもかなりアレなのだが、自動車メーカー各位には脱昭和というか「脱デラックス」を、なる早で実現していただきたいと強く願っている。

(ジャーナリストコラム 文:伊達軍曹)
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伊達軍曹(だて ぐんそう):自動車コラムニスト
外資系消費財メーカー勤務を経て自動車メディア業界に転身。「IMPORTカーセンサー」編集デスクなどを歴任後、独自の着眼点から自動車にまつわるあれこれを論じる異色コラムニストとして、大手メディア多数で活動中。


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