ブランドって何だろう?ブランドと聞いて何を連想するだろう? きっと、ヴィトンとかシャネルとかグッチのような高級ファッションブランドを思い浮かべた人が多いのではないだろうか? えーこのバッグが100万円?! このスーツが50万円?! みたいなものがゴロゴロあって、なおかつそれをありがたがって買う人がわんさといる。それがブランドビジネスの世界である。 クルマにもそういう世界はある。でもね、ロールスロイスの塗装のクォリティや手作りのインテリアを見てしまうと、まあ3000万円してもしょうがないなと思えるのも事実。ポルシェだって実際に走らせてみれば価格の高さに納得せずにはいられない。もちろんバッジ代もある程度は含まれるのだろうけれど、クルマの場合、中身が価格に反映されている度合いはファッションブランドよりも明らかに高いというのが、ファッションの専門家ではない僕の正直な考えだ。 もちろん、ファッションに詳しい人に聞いたら、そんなことはないよ、値段が高いものにはちゃんとそれだけの理由があるんだよと言うかもしれない。それはきっと、食事にしてもワインにしても時計にしても同じことだろう。僕は実際にロールスロイスのインテリアを見たことがあるし、ポルシェを走らせたこともあるから価値がわかるが、もしそうじゃなかったら、なんでそんなに高いの?と感じたと思う。 要するに何が言いたいかというと、その商品のことを深く知れば知るほど、高いものにはそれだけの価値があることを理解できるようになるということ。しかしそれは現実的には難しいこと。だからこそ、多くの人に中身の素晴らしさをわかりやすく伝える手段としてブランドが登場した。 僕は下戸だからワインのことはさっぱりわからないが、それでもロマネコンティはきっと素晴らしく美味しいんだろうなという認識はもっていて、値段は高いけれど、息子の結婚式のときにはお祝いの席であけてあげたいなと、まあ現実は横に置いておいて、そう思ったりする。そしてここが重要なポイントだが、ロマネコンティはきっと祝いの席に集った人たちの舌を裏切らないだろう。そう、ブランドとは、売り手が提供する価値を保証する買い手との約束なのである。 そう考えると、なにも高級品だけがブランドではなく、特徴のある商品とか、コストパフォーマンスに優れた商品にも「ブランド」という概念があてはまることがわかる。ブランド=高級品ではなく、ブランド=自分らしさ、あるいはDNAと考えればわかりやすいかもしれない。 ブランドを意識すればクルマ作りは変わるここ数年「ブランド」という言葉を国産メーカーの人から耳にすることが多くなった。しかしこれは、高級品をつくるとか、ましてや価格にバッジ代をのせて苦労せず利益をあげるのが目的なんかじゃない。むしろ逆で、もっと楽しく個性的なクルマを作るためのパラダイムシフトだと僕は捉えている。 従来の日本メーカーは「お客様の求める商品をできるだけ安い価格で提供することが我が社の使命です」というような感じだった。その結果、市場調査を元にした似たようなクルマばかりが増えた。似たもの同士の戦いで勝負を決めるのはスペックと価格。室内長が数mm勝っているとか、燃費がコンマ数km/Lいいとか、値引き額が多いとか。でもそれは本当にユーザーが求めているものなのだろうか。正直なところ、僕はそういう競争に飽き飽きしていて、僕が欲しいのは、もっとドキドキさせてくれるようなクルマだ。 デザインでも走りでも電動化でも自動運転でもなんでもいい。乗ってみたいと思わせ、乗るとワクワクするクルマ。そういうものが世に溢れて欲しい。それはクルマ好きの言い分だって思う人もいるかもしれないけれど、そういうふうに考えてしまう人を増やしたのは、とどのつまり、つまらないクルマだと思うのだ。 国産メーカーが盛んに「ブランド」という言葉を使い始めたのは、そこに気付いたから。マツダは先代CX-5以降、大メーカーとは明らかに異なる方向性のクルマ作りを進め成功を収めた。スバルも「安心と愉しさ」を掲げ、快進撃を続けている。トヨタは車種が多いだけにわかりづらいが、豊田章男社長がことあるごとに口にする「もっといいクルマ」も、大きな意味ではブランディングである。 これまで苦手としてきたブランディングにようやく取り組みはじめた日本車。作り手がブランドを意識すれば、それは必ず商品に表れる。今後出てくるであろう魅力的な国産車に期待したい。 |
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