デザイン違いには大型バッテリーも影響?世界的にプラグイン・ハイブリッド(一般的な略称はPHVもしくはPHEV)が増えている。PHVにはやや消極的だったトヨタからも新型プリウスPHVがニューヨークショーで発表され、「プリウス プライム」という名前が与えられている。おそらく日本では「プリウスPHV」として市販されると思うが、EVで走れる距離が60km強(日本の予測値)と十分に長いので、先代プリウスPHVよりも本気モードで開発されていると見るべきだ。 プリウスと差別化されていることにも注目だ。全長が異なるし、デザインも大胆なスタイルを提案している。リアに大型バッテリーを搭載するので、後部衝突の安全性を確保するためにリアを伸ばしたのには驚いた。ハッチを開けるとバンパーだけが出っ張って見えるし、リヤハッチそのものがカーボン製で分厚くできている。結果的に、後部デザインの違和感もなくなり、すっきりと見えるようになった。 リアガラス中央部が丸く凹んでおり、セクシーな形状になっているのにも驚いた。空力としてはほんの僅かな効果だそうだが、デザイン的には大きなアイコンとなっている。 3リッター並みのピークトルクと約49km/Lの混合燃費バッテリーの重量分だけ加速が鈍るのではと心配したが、なんと2つのモーターを同時に駆動で使うことが可能となった。瞬間的にはV6 3リッター・エンジン並のトルク感で走れそうだ。このようにデザインと走りでプリウスとの差別化が図られているので、先代プリウスPHVのような失敗はないだろう。 アメリカではEVやPHVの燃費表示は「MPGe」で示されるが、この数値はガソリン車の燃費表示で使っている「マイル/ガロン」に換算した値だ。その計算式は複雑だが、電気エネルギーをガソリンに換算している点がユニークだ。アメリカ政府EPA(環境保護局)の燃費数値は色々なパワー・プラントを直接比較できるので、ユーザーにはわかりやすい。 新しいプリウス プライムの混合燃費はゴルフGTE(PHEV)の116MPGeを超える120MPGe(あるいはそれ以上)を実現しているらしい。日本のkm/Lで換算すると約49km/Lの燃費だ。実際は走行モードが日米で異なるので、日本で市販されるプリウスPHVの燃費はさらに高くなりそうだ。しかもEV走行でも最高で135km/hが可能なので、使い勝手も良さそうだ。 PHVの本質的な欠点も知っておきたいPHVには落とし穴があることも知っておくべきだろう。例えば、ドイツでは電気で走るときにCO2を限りなくゼロで計算するので、カタログに記載されるCO2排出量は非常に優れているが、充電した電気が“何から作られたか”を考慮しないと正確なCO2排出量は分からない。火力発電なら石油が燃えるときに発生するし、原発を使えば安全や廃棄物の処理など別の問題が出てくることもある。 日本でPHV(PHEV)のゴルフGTEを、自宅に設置した200V充電器で毎日充電しながら使ってみたとき、都心では電気だけでゴルフを走らせることができた。首都高速に流入するときなど、アクセルをグッと踏み込むとエンジンが始動し、鋭い加速も味わえる。さらに、都心で少なくなったガソリンスタンドを探す手間も省ける。こまめに充電すればPHVはとても便利だった。 だが、泊まりのような長旅だとその利便性は享受できない。バッテリーが減ったらエンジンで充電しながら走るチャージモードを使うが、その時の燃費は決して良くないからだ。つまりPHVは環境に優しいというよりも、都市の中心部を走るときにメリットがあるのだ。それならピュアEVで良いのかもしれない。 ゴルフGTEよりEV走行距離や価格でアドバンテージがあるまめに充電できる環境と几帳面さがユーザーに求められるPHVだが、それでも欧州車を中心にPHVが注目されているのは、2020年に規制される厳しいCO2規制と都市の中心部の「ゼロエミッション」が影響している。 プリウスPHVはゴルフとは異なり、2つのモーターを持ち、EV走行の距離も2倍近い。価格もゴルフGTEよりも安いはずなので、ゴルフGTEで失望した人もプリウスPHVは受け入れることができるかもしれない。私は充電が面倒なタイプなので、非接触の充電システムが実用化するまでPHVやEVには手を出したくないというのが最近の本音だ。それでも新型プリウスPHVに、日本で早く乗ってみたいと思っている。 スペック【 プリウスPHV(プリウス プライム) 】 |
GMT+9, 2025-6-21 03:09 , Processed in 0.053050 second(s), 18 queries .
Powered by Discuz! X3.5
© 2001-2025 BiteMe.jp .