なぜオートサロンに参加するのですか?かつてアフターパーツの祭典であった東京オートサロンは、いまや国内乗用車メーカーだけでなく、外国車のインポーターまでもが参加する“第二のモーターショー”に変貌しつつある。今年は国内メーカーがトヨタをはじめ9社、外国車インポーターではメルセデス・ベンツ日本を筆頭に6社を数えた。 では、なぜいま自動車メーカーはこのイベントに積極的なのだろうか。今回は国内から3社、インポーターから2社をピックアップし、会場で声を聞いてみた。 「なぜ貴社はオートサロンに参加するのですか?」 スバル:ブリッツェンの反応が楽しみまずは、ここ数年北米市場を中心に絶好調のスバルから。今回、メイン車種の展示ではエクシーガを除く5車種展開と幅広い。 「主催者アンケートを見ると、来場者はスーパーGTをはじめとしたモータースポーツのファン、カスタマイズ好きというふたつの層があります。そうした、ある種特異な層に対し、スバルとしてどんな表現や活用ができるかを模索しています」(富士重工業株式会社 スバル国内営業本部 マーケティング推進部 宣伝課 仲田邦彦氏) ―レースやカスタマイズは、スバルブランドとマッチしていると言えますか? 「確信があるわけではないのですが、たとえばスーパーGTでは昨年から取り組んでいるファンシートが徐々に増えるなどの反応もあり、今年も4月からのシーズン前にこうしたイベントに出る意義は大きい。また、カスタマイズでは今回『ブリッツェン』などの期待度も高く、その反響を見るという点でも非常にいい機会になっています」 ―スバルとしてオートサロンらしいアピールができている? 「スバルのブースは『スバル/STI』として出展しています。トヨタさんのGAZOOや日産さんのニスモのようにブースを切り分けるのではなく、レーシング、カスタマイズコンセプトとも両社が一緒になって得意分野を受け持っています。これはオートサロンならではの表現と言えますね」 ■スバル/STI 出展モデル一覧 ダイハツ:ドレスフォーメーションをより具体的に昨年末にウェイク、ムーヴと次々に新型車を発表したダイハツは、しかし今回コペンのみという思い切った出展方法を行った。 「昨年発表のコペンでは『ドレスフォーメーション』を打ち出しましたが、まだそれを目に見える形では展開できていませんでした。今回はサードパーティさんの協力でいくつかのパターンを作成できましたので、できるだけ早く披露するのが目的です」(ダイハツ工業株式会社 グループCF本部広報室 中大路康太氏) ―軽自動車で主流のカスタムではなく、コペン1本という内容はオートサロンに適していますか? 「カスタマイズカーの祭典として、逆にコペンだからこそ親和性が高いと言えます。最近は出展を控えていましたが、このコペンを発表したからこそオートサロンに出る意味もできた。その点は他社さんと異なるところでしょうね」 ■ダイハツ 出展モデル一覧 マツダ:ユーザーとの距離をもっと縮めたいスカイアクティブ戦略が順調なスタートを切り、新世代商品群が好評のマツダは、発売前の新型ロードスターとCX-3を持ち込んだ。 「参加の理由はふたつ。まずクルマの楽しみ方として、たとえばカスタマイズや峠を攻めるといった走りに対し、マツダとしての提案を行いたい。もうひとつは新型車のアンヴェールの意図で、今回はそのためにブース面積を昨年の倍程度に広げています」(マツダ株式会社 国内営業部 ブランド推進部アシスタントマネージャー 乾正男氏) ―より洗練された商品企画やデザインを推進するマツダと、ある種特異なオートサロンの接点はあり得ますか? 「社内の調査では、近年東京モーターショーとオートサロンの境界がなくなってきていると。モーターショーを観るお客さんがオートサロンにも来る、近隣のショッピングモールに買い物に来た人が立ち寄るなどもある。そういう意味で、徐々にマツダのコンセプトに近づいていると言えます」 ―会期中にはイベントも予定されていますね 「いま、マツダは一方的な提案を提示するのではなく、ユーザーとの距離をできるだけ縮めたいと考えています。今回の人馬一体アカデミーやスカイアクティブ説明ツアーはその一環。一部の方のみ対象ですが、それもオートサロンならではと言えますね」 ■マツダ 出展モデル一覧 メルセデス・ベンツ:敷居を下げて認知度もアップインポーターの中では、ひときわ大きな面積での出展を行ったメルセデス・ベンツ。展示車も非常に幅広い車種を揃えた。 「オートサロンは世界最大規模のカスタマイズカーショー。コアでリアルなクルマ好きが集まるイベントとして以前からウォッチしていましたが、満を持して昨年参加しました。その反響が大きかった。とにかくお客さんの反応が“熱い”ですね」(メルセデス・ベンツ日本株式会社 広報企画課マネージャー 河野綾氏) ―スマートからSクラスまで展示車種が幅広いです 「当社商品は敷居が高いというイメージがありますから、まずはこんなクルマがあるんだという認知度アップの場と考えています。希少なGクラスの6×6を大きく展示したのもそうした意図ですね」 ―その中でもオートサロンを意識した部分は? 「やはり中心はAMG仕様で、半数を占めています。ただ、今回ブースのセンターにBクラスを置いたのは、一方で親しみやすさも出したいという意図ですね。カスタマイズのベースとしても現実的な価格です。幅広い展開でブランドイメージを伝えるのはオートサロンでも同じということです」 ■メルセデス・ベンツ 出展モデル一覧 アルファ・ロメオ:アバルトに続く第2フェーズアルファ・ロメオは今回6台もの出品。見所はケン奥山氏とのコラボで、コンセプトだけでなく市販車にも展開した。 「2009年からアバルトブランドで4年間出展し、スポーツブランドとしての認知を図りました。昨年は1回休みましたが、今回から第2フェーズに入ったという認識で出展に至りました」(FCAジャパン株式会社 広報部長 黒岩真治氏) ―過去4年間の実績で、オートサロンは参加する意味があると判断した? 「そうです。非常にコアな層にアプローチできますし、オートサロン自体が幅広くなって可能性も拡大しました。当社の5ブランドではアバルトに加え、レーシングスピリットという点でアルファもまた同じDNAを持っています。その点でオートサロンとの親和性は高い」 ―オートサロンへの出展をとおして、たとえば車種展開を増やすなどもありますか? 「はい。現在、アルファ・ロメオはSUVやセダンも含めたプレミアムブランドの確立を打ち出していますから、インポーターとしては当然その部分も要請して行きます。また、今回はジュリエッタの最上級グレードの発表をここで行いましたが、そうしたブランド認知の場としても考えています」 ■アルファ・ロメオ×Ken Okuyama 出展モデル一覧 オートサロンならではの「見せ方」なぜメーカーはオートサロンに参加するのか? 東京モーターショーがビッグサイトに移った一方、幕張メッセに残り盛況さを増すこのイベントを軽視できないのは当然だ。その意味でトヨタがG's、日産がニスモといったスポーティブランドを中心に参入したのは非常に分かりやすい。ただ、今回の取材をとおし、回数を重ねるごとに各社が独自の内容を反映させ始めているのは興味深い。 スバルが伝統の「ブリッツェン」をカスタマイズカーとして発表したり、ダイハツがコペンの展開だけで勝負に出る、あるいはマツダがユーザーとの対話を期待したイベントを計画するなど、国内メーカーは自社商品の見せ方を工夫し始めている。 一方、インポーターはオートサロンに訪れる「コアでリアルなクルマ好き」を新しい顧客と想定し、ブランドの認知度を上げる場と認識している。 つまり、オートサロンを単に3日間で30万人が訪れる一大イベントとだけ認知するのではなく、その懐の深さと熱さの中で、自社の立ち位置が見えた、あるいは見えつつあることが大きな参加動機となっている。 今後は、各メーカーがその独自色をさらに鮮明にすることがオートサロンの発展になり、同時に来場者の満足度アップにもつながるはずだ。国内メーカーはもちろん、まだ様子見のBMWやアウディ、未出展のVWなどが東京ショーと異なる「見せ方」を考え始めれば、想像以上に面白いことになるはずである。 ■東京オートサロン2015・総力特集 |
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