さらなる詳細が明らかに!9月にラスベガスで発表され、衝撃のスタイリングで注目を集めた新型プリウス(4代目)の詳細が明らかになってきた。その中身、見た目に劣らず見所満載だ。 まず触れるべきは、やはり燃費なのだろう。何しろ、これまでは噂でしかなかった40km/Lという数値が、初めてトヨタによって公言されたのだから。 トヨタが“目指す”としている40km/Lは、現行モデルの32.6km/Lに対して、2割以上もの大幅な向上となる。そこで仕様を見ると、ハイブリッドシステムの概要は1.8Lガソリンエンジンに2基の電気モーターを組み合わせたTHS IIと、一見すると従来と変わっていない。しかし、その中身はほぼ新開発と言っていいほどに手が入っている。 “燃費スペシャル”でリッター40kmを達成エンジンは形式こそ同様ながら内部はほぼ刷新されて、熱効率は遂に40%を達成した。その燃費向上の寄与分は5%に相当する。電気モーターは小型高効率化され、こちらは3.2%。パワーコントロールユニットも出力損出を低減して2.4%貢献し、バッテリー制御でまた5%…という具合で、すべてが進化している。 遂にリチウムイオンバッテリーが採用されたのもトピック。但し、これは一部グレードへの設定に留まり、主力は実績あるニッケル水素バッテリーを踏襲する。 おそらくは、このリチウムイオンバッテリー搭載に加えて装備の簡素化、そして噂では燃料タンクの小型化にまで踏み切るなどの軽量化を断行したモデルが、40km/Lを達成することになるのだろう。 TNGAによるスポーティな見た目と走り燃費だけを語っていては新型プリウスの本質には迫れない。新型はこれまで半ば諦められていた走りを、いよいよ真剣に進化させてきている。 その根幹となるのがTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼ばれる新しい基本骨格。これには広範な車種での部品共有化などのメリットもあるが、クルマ好きとして何より歓迎したいのが低重心化にも留意されていることだ。これは走りにも、そして見た目にも大いに貢献する。 実際、新型プリウスは全高が20mm下げられ、またノーズ前端は70mm、フード後端ですら62mm低くなって、伸ばされた全長とあわせてカナリ伸びやかな雰囲気になっている。 しかも前席のヒップポイントは実に59mmも下げられていて、操作系のレイアウト調整と相まって、より理想に近いドライビングポジションを獲得しているのだ。 そしてシャシーにはダブルウィッシュボーン式リアサスペンションを採用。ボディの高剛性化とともに操縦安定性、快適性の向上を志向している。 懸案だった回生協調式のブレーキも改良ハイブリッドシステムも、燃費向上を果たしただけでなくドライバビリティ向上を実現。懸案だった回生協調式のブレーキも新開発され、コントロール性を大幅に高めたとされる。これまで優れた燃費と引き換えに目がつぶられてきた心地良い走りという要素。新型プリウスは、こちらも真摯に追求してきたというわけだ。 特徴的なトライアングルシルエットを踏襲したフォルム然り、THS IIを名乗るハイブリッドシステム然り、一見しただけでは「そんなに変わったの?」という印象すら受ける新型プリウスだが、ハードウェアの跳躍の度合いはもしかすると2代目から3代目の時以上と言ってもいいかもしれない。 洗練された走りは没個性につながる?一方で、現行モデルがあれだけ売れたこともあり、かつてのプリウスにあった一種の特別感みたいなものは、無くなってきているのも事実。また、ドライバビリティが洗練されて、いわゆる“普通”になってくることも、一方でそんな不安をもたらす部分と言えないこともない。燃費だけじゃなく、そこで得られる新しいドライビング体験も、間違いなく歴代プリウスの魅力だったからだ。 先代が出た時とは当然、世の中は変わっていて、今ではここ日本、いや世界でも、EVだって普通に街を走っている。一度それを味わってしまうと、エンジンがかかるだけでも古臭く感じられてしまうのが今、2015年なのだ。これだけ進化していようと、新鮮さが足りないと思われてしまう可能性はあるのではないだろうか? とは言いつつ、日頃の使い勝手を犠牲にすることなく環境性能の高い、あるいは経済性の高い、更にはどこか気の利いたクルマが欲しいといういう人にとっては、依然としてプリウスしか選択肢が無いというのも、また事実である。そして、おそらくは大多数を占めるはずの、そうしたユーザーにとっては新型の進化は、その方向性含めて大いに歓迎に違いない。 初の4WDを設定、トヨタ・セーフティ・センスPも搭載他にも、ユーザーをガッチリと抱え込むための準備には抜かりはない。待望の4WDの設定、そして先進安全装備のトヨタ・セーフティ・センスPの搭載も、より幅広い訴求に繋がるだろう。これまで特に降雪地帯では、プリウスが欲しくても実際問題として買えないという人、少なくなかったと聞く。 残る問題は価格だが、まさか大幅に上げてくるようなことはないはず。となれば環境としては、先代のようなフィーバーになるかはさておき、話題が沸騰することとなるのは間違いない。もし手に入れるつもりならば、今から準備をしておくべきなのかもしれない、なんて言うと煽り過ぎだろうか。 ハイブリッド新時代の“先駆け”となるか?興味深いのは、最近頻繁に耳にするようになっていた、プリウスに乗ってみたものの走りがあまりに……ということで、輸入車のディーゼルなどに乗り換えたなんてユーザーの動向である。新型はレベルの上がった走りで、彼らのようなユーザーを繋ぎ止めることができるだろうか? 一方、先進性を求める人の期待には、どうやら次に控える新型プリウスPHVが応えてくれそうな気配だ。現行モデルではEV走行距離の短さなどがユーザーの求めるものと微妙にズレてしまっていた感があるPHVだが、新型は世界で増えてきたライバル達と戦える航続距離を確保していることは間違い無いし、開発陣と話していると、プラスアルファの先進機能も盛り込まれている匂いがしてくる。個人的には、むしろこちらに期待しているところだ。 ともあれ、こんな風に走らせる前から話題が尽きないのがプリウスというクルマである。デビュー予定は12月。もちろん、その前に東京モーターショーの会場でその姿を目にすることができる。これからしばらくは、このクルマの話題で持ち切りになるに違いない。 スペック【 新型プリウス プロトタイプ(社内測定値) 】 |
GMT+9, 2025-4-30 18:09 , Processed in 0.100498 second(s), 18 queries .
Powered by Discuz! X3.5
© 2001-2025 BiteMe.jp .