モデル名「911」はプジョーのクレームから生まれた!?「フォルクスワーゲン ビートル」をベースに完成された「ポルシェ 356」の後継モデル「911」(最初の名前は「901」)のデビューは1963年のフランクフルトショーで、国外は翌年のパリサロンが初出であった。 そのパリサロンでプジョーからクレームを受けて911に改名したのだが、このプジョーの態度は理解に苦しむものだ。本来であれば前の年にわかっていたはずなのに1年経ってからのクレームで、しかも彼らはBMWの「501」や「503」には難癖をつけなかったからだ。おそらく当時、ポルシェはまだ世界的に認知(エスタブリッシュ)されておらず、軽く見られたのだろう。 その911は356の後継モデルとして1950年代末から開発が始まり、最初の試作車である「タイプ754」は後席にも十分なスペースを残すべしというコンセプトで作られた。※タイプ754の写真は10~11枚目。 デザイナーはF・A・ポルシェで、父のフェリー・ポルシェが「大人が4人乗れる」ことを主張した結果、なんとも中途半端なスタイルとなってしまった。しかしその後の量産モデルとなる901では今日の2+2(後席を補助席サイズにしたパッケージ)となったのだ。 次なる問題はポルシェが当時デザイン事務所だったので、クルマを生産する能力がなかったことだ。そこで当時356ボディの生産を委託していたコーチワーカーのロイター・カロッツェリア(Reutter Carrosserie)のプレス部門を買収して完成車生産を始めた。ちなみにロイター社はその後シート専門メーカーとなったが、それがすなわちRE+CARO、「レカロ(RECARO)」である。 ※ポルシェ一族の関係 >>911現行型ってどんなクルマ? フォトギャラリーをチェックする ヘッドライトやグリル、リア周りも新デザインに!その後の911とポルシェ社には経営的にも経済的にも波乱万丈の歴史が待っていたが、ともあれ今日では世界で最も愛されるスポーツカー、そしてもっとも利益率の高い優良会社に成長した。ちなみに現在までおよそ120万台の911シリーズが出荷されたが、そのうちおよそ70%が現役であると言われている。 そして誕生以来ちょうど60年を迎えた今年、現行モデル992のフェイスリフトが行われる。まずはベースモデルの「911カレラ クーペ」のデザインからで、今回のフェイスリフトでもっとも目立つのはヘッドライトだ。※写真4、5枚目など。 >>911現行型ってどんなクルマ? フォトギャラリーをチェックする これまで通り4灯式のプロジェクターデイライトをもっているが、「タイカン」のようにさらにスリム、精緻で光量が増したものになる。加えてここにはウィンカーライトが内蔵されているのだ。その証拠はここに掲載した最新のスクープ画像からお分かりの通りで、フロントエアインテークグリル内の左右上部にあったウィンカーが消滅している。※写真5枚目。 そして現行型992で強引にカイエンやマカンと同じデザインを押し込まれ不評だったフロント一杯に広がったプラスチック製グリルの形状は改善され、左右の3本の水平バーは5本の縦型ルーバーに置き代わっている。ここに冷却用エアボリュームの増減と空気抵抗のアジャストが可能な可変フラップ機能が組み込まれているのは言うまでもない。 リアにも変化が見られる。スクープ写真ではオプションの固定式スポイラーがマウントされているが、リアウインドウ下のグリルの形状が改められ、その下のボディ幅いっぱいに伸びたリアコンビネーションライトは一層スリムになり、モダンな印象を与えている。エグゾーストパイプは中央寄りに並んでいる。※写真2枚目。 >>911現行型ってどんなクルマ? フォトギャラリーをチェックする 初のフルデジタルメーターや助手席ディスプレイも装備続いてインテリアだが、今回のフェイスリフトモデルからアナログメーターが完全に消滅し、フルデジタル、すなわちタイカンや別項で紹介しているBEVバージョンの「マカン」と同じ内容になる。ドライバーの正面には12.6インチのデジタルコックピット、そしてダッシュボード中央に加えて助手席前に10.9インチのインフォテイメントディスプレイがレイアウトされるはずだ。 >>911現行型ってどんなクルマ? フォトギャラリーをチェックする 搭載されるエンジンはおなじみの水平対向6気筒で3.0Lの排気量は変わらないが、ようやく48VのmHEV(マイルドハイブリッド)が搭載される。 2kWhの電池と80馬力のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)が組み合わされ、ポルシェはこれをT-mHEV(ターボチャージド・マイルドハイブリッド)と名付けており、これでようやくアイドリングストップ時からのスムースなオート・スタートが実現する。 加えてエンジン自体のパワーアップも考えられる。おそらく標準グレードの「カレラ」で最高出力は385馬力から少なくとも395馬力へ、最大トルクは450Nmから550Nmへとそれぞれ増加することが予想される。 同じように「カレラS」は450馬力から現行のカレラGTS(480馬力)レベルへ、現行の「カレラGTS」は新たに自然吸気3.6Lの水平対向6気筒が与えられ、500馬力ラインに届くかも知れない。 また911シリーズのハイエンドモデル「911 GT2 RS」は現在プライベートチームとの協力でニュルブルクリンク北コースで開発が進められているが、このモデルには電動ターボが用意され最高出力は750馬力に達すると言われている。 まさに911シリーズは終わりのないストーリーを語るエバーグリーン・スポーツカーなのだ。(終わり) |
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