名門アルファロメオの入門スポーツSUV販売台数でトヨタ、フォルクスワーゲン、ヒョンデに次ぐ世界第4位のステランティスはアメリカ、イタリア、フランスなど各国の様々なブランドを傘下に収めている。 プレミアムグループに属するアルファロメオはスポーティSUVの「ステルヴィオ」などの人気が高く、同グループ内で総売り上げの10%近くを占める存在となっている。 そして現行ラインアップ(ジュリア、ステルヴィオ、トナーレ)に続く4番目のモデルとして、2024年4月に「ジュニア」が誕生したのはご存知の通りだ。「ジュニア」という名称は1966年の「ジュリアGT1300ジュニア」に由来するもので、このニューモデルもアルファロメオの“入門モデル”という位置づけである。 >>ジュニアヴェローチェやトナーレ、ステルヴィオをギャラリーで見る 全長4.17メートルのコンパクトSUVは同グループの「ジープ アベンジャー」と共通のプラットフォームを利用している。最初は「ミラノ」という名称を与えられるはずだったが、生産がステランティスグループのチェコ工場で行われる事になった結果、このモデル名はキャンセルされてしまった。 試乗会は1962年に完成したアルファロメオの伝統あるプルービング・グラウンド「バロッコ」で行われた。ミラノからクルマで西におよそ1時間の場所にある5.75kmのコースは世界中の有名なサーキットのコーナーが再現されている。 60年代には「ジュリア スプリントGT」や「ティーポ33」が開発され、アルファのレーシングチーム「アウトデルタ」のホームグランドとしてトレーニングも行われた。自動車メーカーにはこうした「語られるべき伝説的ストーリー」の存在が必要で、それがブランドの“プレミアムな”バリューになるのだ。|アルファロメオ トナーレ(現行モデル)| 走りも価格もアルフィスタなら即決モノの完成度前置きが長くなったが、試乗したのは7月19日に発表されたばかりの「ジュニア ヴェローチェ」で、ジュニアのBEVモデル「エレットリカ」の最上級グレードとして「4C」や「8C」、「ジュリアGTA」などを手掛けたチームがダイナミック性能をまとめている。※ジュニアには1.2L 3気筒ガソリンターボ+48Vマイルドハイブリッドを搭載するエンジンモデルの「イブリダ」も設定。 >>ジュニアヴェローチェやトナーレ、ステルヴィオをギャラリーで見る エクステリアはアルファの伝統である真っ赤なボディに、フロントのダミーラジエターの中央にはミラノ市の紋章をアレンジした伝統の盾形グリルがシンボリックに刻まれている。 インテリアはヘッドレストにアルファのエンブレムがあしらわれた赤いステッチ入りアルカンターラのスポーツシート、そしてドライバーの正面には双眼鏡のような2本の筒状のフードをもつデジタルメーターが、アルフィスタには堪らないノスタルジックな雰囲気を醸し出している。 フロントに搭載されるモーターの最高出力は280ps、最大トルクは345Nmを発生する。0-100km/hは6秒、最高速度は200km/hとこのクラスのBEVとしては異例なほどスポーティな性能をもつ。搭載されているリチウムイオン電池の容量はネットで50.8kWh、カタログ上の航続距離は460kmだ。 空車重量1635kgのボディに対して280馬力は十分以上のパワーで、ちょっと踏み込んだだけでデジタルメーターの数字が踊るように上昇、ストレートでとりあえず130km/hの巡行に入る。 標準グレードよりも25mmローダウンしたスポーツシャシーは床下のバッテリーによる低重心化も効いて安定した走りを見せる。また350mmのディスクブレーキはコーナー手前のハードブレーキングでも音を上げることはなかった。 アルカンターラのステアリングホイールを介しての精緻でスポーティなハンドリングは背の高いSUVとは思えないほどスポーティで「アルファロメオ」の名に恥じない。特にタイトなコーナーでのフロントに搭載されたトルセンデフの働きは自然でスムース、特筆に値する。 ジュニアのドイツでの価格はベースモデルで3万3895ユーロ(約576万円)。今回テストしたジュニア ヴェローチェは4万8500ユーロ(約825万円)とそれなりに高額だ。それでも190馬力の「メルセデス・ベンツ EQA」(ベース価格5万778ユーロ、約863万円)よりも安いのは大いに魅力的で、アルフィスタであれば即決だろう。※1ユーロ=170円で計算。 ここ数年のステランティスのマーケティングのダイナミックさには驚く。欧州ナンバーワンのVWが廉価版の「ID.2」発売にモタモタしているうちに、今回紹介した「ジュニア」、そして「ランチア イプシロン」のような多くの魅力あるコンパクトBEVを続々と世界市場に送り出しているのだ。 |あわせて読みたい| こうした魅力あるBEVのうちジュニアは日本に導入されるものの(BEVは確定。マイルドHVは現在未定)、残念ながらイプシロンの導入は難しいと言われている。日本のEV市場がガラパゴスにならないためにも、インポーターには今後も幅広いモデルの導入を検討してほしいと願う。 (終わり) |アルファロメオ ステルヴィオ(現行モデル)| |
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