違いは大型リアウイングが可変スポイラーになっただけ!?「GT3には乗りたいけれども、頻繁にサーキットを走るわけではないので大げさなスポイラーは要らない!」という控えめなオーナーの要望に応えて、ポルシェは発売されて間もない992型「991 GT3」に“ツーリングパッケージ”を追加した。このバリエーションは1972年の「カレラ 2.7RS」が起源で、その後1999年の996型から復活、993型、991型と継承されてきた。 オリジナルGT3と「GT3 ツーリングパッケージ」との最も大きな変更点はリアのスワンネックウイングが省略されているだけで、パワートレーンやシャーシなどメカニカルコンポーネンツに一切変化はない。すなわち4.0リッター自然吸気ボクサーエンジンの最高出力は510馬力、最大トルクは470Nmを発生する。0-100km/hは6速MTで3.9秒、7速PDKでは3.4秒、最高速度はMTで320m/h、PDKでは318km/hとスペック表には記載されている。 試乗車をよく観察すると、リアには巨大なスポイラーに代わって911カレラのように控えめな可変スポイラーが“控えめに”畳み込まれているだけでなく、ご丁寧にブレーキキャリパーまで赤では無く黒く塗られている。 だが、カーボン製となるフロントボンネット先端の2分割エアアウトレットや、リアのディフューザーとその中央から突き出たエグゾーストパイプを見れば、この911がタダモノではないことはポルシェ通には直ぐに分かるだろう。リアのハイマウントストップランプの下には「GT3 touring」のバッジが添えられている。 一方、インテリアはウイング付きのオリジナルGT3とほとんど変わることがない。スイッチをONにするとタコメーター中央とメーターパネルには「GT3 touring」の文字が浮かび上がり、専用スポーツシートに身を沈めたオーナーが「GT3」であることに“密かに”満足できる演出になっている。このアンダーステートメント(控えめ)なところがGT3ツーリングパッケージのたまらない魅力なのだ。 サーキット以外ではウイング付との差を感じることは不可能トランスミッションは6速MTか7速PDKが追加料金なく選択できるが、テスト車には6速MTが装備されていた。シフトフィールは軽く、しかもダイレクトだが、シフトストロークは前後にやや長い。ペダルはヒール&トーも出来るような配置になっている。レポーターが個人的に好まない電子制御の回転合わせシステムがカットオフできるのは幸いだ。 何時ものように左手でスターターキーを回すと、3.5kgの軽量化のためにアクティブエンジンマウントが省略されてダイレクトにボディと固定された4.0リッター・フラット6のクランクハウジングからソリッドな振動が伝わってくる。 アクセルペダルを踏み込んだ瞬間に高トルクを発生するEVの電気モーターとは違って、スロットルペダルの踏み込み量に応じて最高許容回転数の9000rpmに向かってタコメーターの針が忙しく進み、ボクサーサウンドを伴いながらパワーが盛り上がる。ストレート6のこの感覚は電気自動車では得られない気持ちの良いものだ。 アウトバーンに入って速度を上げて行くが直進安定性は抜群で、ウイング付きGT3との差は感じられない。おそらくレーシングスピードでない限り、リアのトラクションの差は分からないだろう。ローズジョイント(球状継手)が採用されたフロントのダブルウィッシュボーンと、それに応じて1.5度から2度へ舵角が大きくなった後輪操舵機構によって、僅かなステアリング操作で瞬時に思い通りの、そして安定した挙動を示す。 ネガティブキャンバーの付いた前輪(タイヤはミシュラン パイロットスポーツ)のグリップも素晴らしい。どんなコーナーでもオンザレール感覚で、思わずサーキットでのスポーツ走行を望んでいる自分に気がつくことになる。GT3 ツーリングパッケージのシャーシセッティングはオリジナルGT3と変わりはなく、乗り心地がソフトになったわけではないのだが、最新ボディの911故、取り回しも良く、一般道路や街中の通常ドライブでも十分に使用できるだろう。 この「911 GT3 ツーリングパッケージ」はすでにポルシェジャパンで予約注文が始まっており、価格は6速MT、7速PDK共に2296万円と発表されている。 ※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。 スペック【 911 GT3 ツーリングパッケージ 】 |
GMT+9, 2025-6-23 00:04 , Processed in 0.120073 second(s), 18 queries .
Powered by Discuz! X3.5
© 2001-2025 BiteMe.jp .