レーシングモデルから80%に及ぶパーツを移植ポルシェ964型の時代まで「911 RS」の名称で販売してきたロードゴーイング・レーシングモデルを、1999年に水冷化された996型から「911 GT3」に変更した。目玉焼きヘッドライトで揶揄された996型だが、GT3は排気量3.6リッターで最高出力360PSを発生。テストドライバーのワルター・レールがニュルブルクリンクで量産スポーツカーとして初めて8分を切ったのが話題になった。 以来、GT3は996-II、997-I、997-II、991-I、991-IIと各世代ごとに2台が誕生し、今回はタイプ992にとって初めてとなる「911 GT3(992-I)」が7世代目として発表された。 私は幸運な事にフォトデビューに先駆けてシュトゥットガルトのポルシェ博物館地下にあるシークレットスタジオで新型GT3に対面することができた。 エスコートしてくれたのはGTラインの開発を担当するアンドレアス・プロイニンガー氏だ。「開発はポルシェ・モータースポーツ部門と911量産チームが共同で行い、これまでになかったほどのレーシングテクノロジーが、この量産ストリートモデルに注ぎ込まれました。レーシングモデルから移植したパーツは80%にも及びます」と彼は説明する。 シャーク・ブルー(あるいはインディッシュ・レッド)のボディはカーボンファイバー強化プラスチック製のフロントボンネット、ルーフ、リアウイングなどの空力パーツ、レース用特殊ウィンドシールドなどで軽量化されている。 さらにPCCB(ポルシェセラミックコンポジットブレーキ)、スポーツエグゾーストシステムなどの軽量パーツが採用され、空車重量はワイドになったボディにもかかわらず旧GT3とほぼ同じレベルの1418kgに収まっている(6速MT、※PDK 搭載モデルは1435kg)。タイヤサイズは255 /35 ZR20(前)、315 / 30 ZR21(後)となる。 最大の特徴はスワンネックタイプのリアウイング自然吸気エンジンは最新のGT3カップ・カーからダイレクトに移植された水平対向6気筒4リッターで、最高出力510PS(375kW)、最大トルク470Nmを発生する。最高速度は6速MTが320Km/h 、PDKが318km/h、0-100km/hは3.4秒(PDK)と発表されている。ニュルブルクリンク北コースでのラップタイムは自然吸気エンジンのスポーツカーとして初めて7分を切った。(※20.8kmコースで6分59秒927) プロイニンガーさんは「新型GT3の最も大きな特徴はスワンネックタイプのリアウイングです。ウイングは下から支える方が構造的にも簡単に強度を得られますが、その支えはダウンフォースの発生に際しては妨げになるという欠点があります。というのもウイングは飛行機の翼を裏返しにした形で、浮力の反対で、下面に早く流れる空気によってダウンフォースを得ます。そこで下面に邪魔ものをなくすために白鳥の首のように曲がったステーで上面を固定しているのです。現在のGT3レースでは効果が証明されていて、今や現在は主流となっています。ちなみにこのウイングの最大ダウンフォースは旧モデルの158%にまで達します」と解説してくれた。 新型GT3のドイツでの価格は19%の付加価値税込みで16万7518ユーロ(約2140万円)。販売スタートは5月で、その後、順を追って世界市場への出荷が始まる。最も重要なマーケットはアメリカでおよそ半分が輸出される。ポルシェジャパンによれば、日本での価格や販売時期などの情報は4月頃になる予定だ。 レポート:Alex Ostern/Kimura Office ※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。 スペック【 911 GT3 】 |
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