クラシカルな雰囲気だがディテールは現代的フェラーリが「スポーツカーはちょっと派手、あるいは、ケバケバしい(Flashy)と思っている方々に!」と、自らを否定するようなスローガンで新しいポテンシャルオーナーを勧誘しているのが、今回紹介する「フェラーリ ローマ」である。確かにそのロングノーズ&ショートデッキのシルエットは60年台のGTカー「アストンマーチン DB5」や「ジャガー Eタイプ」、あるいは「トヨタ 2000GT」などに通じるエレガントなものだ。もっともこの時代、フェラーリも「250GT」や「スーパーアメリカ」といった甘美なピニン・ファリーナ製モデルを主にアメリカ市場に送り込んでいた。 「ローマ」はリトラクティブルーフを持ったオープンモデル「ポルトフィーノ」をベースにした2+2クーペで、エクステリアデザインは冒頭に述べた60年代のGTクーペを彷彿させるエレガントなたたずまいをもっている。パワートレーンはポルトフィーノだけでなくトリビュートなどミッドシップスポーツにも搭載されているV8ツインターボで、排気量は3.9L、最高出力620PS、最大トルク760Nmを発生する。組み合わされるのは新開発の8速DCTで後輪を駆動、メーカー公表のダイナミック性能は0-100km/hが3.4秒、最高速度は320km/hだ。 ローマではなくトリノ郊外の高級リゾートホテルで開催された試乗会に登場したローマは、ロングノーズ&ショートデッキのプロポーションをソフトな曲面で包んだクラシカルな初印象だったが、近づくにつれてボディと同色のグリルや鋭角的なLEDマトリックスヘッドライト、そして横長の小さなLEDリアライトなど現代的なデザイン要素が巧みに散りばめられている。もちろん大げさなスポイラーなど見当たらないが、トランクリッド前部にリトラクタブルスポイラーが組み込まれており、速度に応じてミディアムとハイの2段階に起き上がる。250km/hでは95kgのダウンフォースを生み出す。 インテリアは左右が独立したビジネスクラスのキャビンのようで、フロントは掛け心地の良いしっかりとした形状のシートが快適なクルージングへと誘う。リアはプラス2で、試乗車はオプションの子供向けのシートが並んでいるが、ふだんはバックレストを倒して345Lに増やし、ゴルフバッグなどを積むのに適している。 ドライバーの正面は16インチ曲面ディスプレイで、ステアリングから様々な機能にアクセス可能だ。センターコンソールには8.4インチのディスプレイを中心に、エアコンなどパッセンジャーと共有するタッチセンサーが用意されている。さらに、助手席正面にまでタッチセンサー付きディスプレイが用意されている。 法定速度内のゆったりしたペースで走っても満足できるキーカードをコンソールに置き、エンジンボタンにタッチすると、V8の力強いサウンドが耳に届く。マッティーノ(ドライブプログラムを選択するダイヤル)でコンフォートを選択してスロットルパダルを踏み込むと、全長4.66m、空車重量1570kgのローマはジェントルな、しかし駿馬を思わせるスタートを見せる。ゴージャスで落ち着いた雰囲気を持つローマを運転していると、自然にフェラーリらしからぬゆったりとしたペースで、無闇に前の車を追い越そうとは思わない。 おそらく、これこそがローマのコンセプト、フェラーリの狙いなのだろう。法定速度100km/hの日本はもちろん、70マイル/h(約113km/h)のアメリカのハイウェイをツーリングするには快適そのものである。しなやかなシャーシセッティングはラフな路面が多いアメリカの一般路でも十分に快適な乗り心地を提供するに違いない。 最後にこのローマは週末だけのドライブではなく、日常の様々なシチュエーションでの使用を想定しており、ドイツのライバルにも勝るとも劣らない最新のADAS(先進運転支援システム)はレーンキープアシストやACCなどを搭載していることもお伝えしておこう。 このローマは日本でもフェラーリジャパンによってベース価格2682万円で既に予約が始まっている。 ※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。 スペック【 フェラーリ ローマ 】 |
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