エクステリアもインテリアもド派手な3代目JCW GP1960年代の若きエンスージアストの憧れは英国車、それもミニだった。クラシック・ミニにはクーパー、ダウントンなど様々なチューナーが存在しており、さらに夢を掻き立てていた。そして21世紀にBMWの傘下に入ったクーパーが復活すると、さらにホットなJCW(ジョン クーパー ワークス)が登場。2006年にはその頂点としてGPキット、2012年に独立したモデルとして「GP」が2000台限定生産された。 3世代目が待ち望まれる中、ミニは2019年のニュルブルクリンク24時間レースでプロトタイプによるデモンストレーション走行を披露した。さらに同年秋に開催されたLAオートショーで「ミニ ジョン クーパー ワークス GP」が正式発表されたのであった。 今回は量産モデルの出荷に合わせて、我々ジャーナリストにオンロード試乗のチャンスが与えられた。最新のJCW GPは2014年に発表されたF56、すなわち3ドアをベースにしているが、一見してタダモノではないオーラを放っている。最も目につくのはルーフ後端にある2階建てのスポイラーで、フロントエプロンと一体化されたリップスポイラーと組み合わされ理想的なダウンフォースを得るように計算されている。 ブラックのハニカムグリルは真っ赤なラインとGPのロゴが印象的だ。リアに回るとユニオンジャック柄のLEDテールライトの65mm径のツインエグゾーストパイプ、8J×18インチホイールと225/35R18サイズの大径タイヤを収めるためのカーボン製オーバーフェンダーが視覚的な安定感を与えている。 キャビンに入っても興奮は増すばかりだ。リアシートが取り払われた空間はまるでリアコンパートメントへの侵入を禁止しているような真っ赤なボディ補強バーが左右に渡されている。 サポートに優れた形状を持ったスポーツシートに腰を落とすと、前方にはBMWの最新操作システムのオペレーション7.0、すなわちフルデジタルコクピットが目に入る。 ドイツでは売り切れて日本からの逆輸入車が出回る可能性も!?フロントに横置きされているエンジンは2.0L 4気筒ターボで最高出力306馬力、最大トルク450Nmを発生する。数値からお分かりのように「BMW M135i」に搭載されているツインパワーターボを装備したM48である。トランスミッションは8速ATである。 同じパワートレーンを搭載しているがミニの走りは他のBMWモデルとは明らかに一線を画す。パワーユニット、タイヤ、ステアリングなど全てがドライバーの手足と直結しているような感覚で、右足の数ミリの動きでエンジンが反応、すぐさまスピードメーターの数字に反映される。カタログ上の性能は0-100km/hが5.2秒、最高速度は265km/hに達すると記されているが、実際に走ると200km/hはあっという間で、この最高速度が飾りではない事がわかる。 全長3.88m、全高1.42 m、ホイルベース2.50 mのコンパクトなボディにもかかわらず高速での安定性は秀逸であった。フロントの360×30mmのベンチレーテッドディスクブレーキも安定した制動力を常に発揮していた。 このミニJCW GPをもっとも楽しめるのはやはりワインディングロードだ。スタンダードJCWよりさらに10mmローダウンされたスポーツシャーシと軽くてシャープなステアリング、機械式デフロックはコーナリングを待ち望むほどのスポーツハンドリングを見せてくれる。このセッションではニュルブルクリンクを7分56秒69でラップ(プロトタイプでの計測)した実力の片鱗を見たような気がした。 ミニJCW GPは派手な装いをしているが、驚いたことに一日500kmを走行しても全く問題ない快適性も併せ持っている。サーキットまでのロングツーリングも問題はないどころか日常に使用するのも可能だ。 ジョン クーパー ワークス GPは全世界で3000台が限定生産され、日本への割り当て台数は240台となっているが、ドイツでは完売で、なんと日本からの逆輸入車が出回るという話も入ってきている。 ドイツでの価格は19%の付加価値税込みで4万5000ユーロ(約530万円)と発表されている。決して安くはないが、欧州ではその希少性からして将来的な価値の上昇は約束されているのだろう。日本でもガレージと預金通帳に余裕がある人は、ミニディーラーに急いだほうが良いかもしれない。 ※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。 |
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