M専用の新しい3.0L直6ツインターボを搭載世界中に広まるSUVブームに乗って、昨今ではアウディがSQシリーズ、メルセデスがAMGバージョンでパワーSUVを送り出してその市場を席巻している。だが、残るプレミアム御三家のBMW M社はV8を搭載した「X5 M」と「X6 M」こそラインアップしているが、ミドルクラスの「X3」と「X4」にはワンランク下のMパフォーマンスモデルしか設定がなかった。 しかし、昨年秋にニュルブルクリンクで開催されたDTM最終戦で、ようやくX3とX4のMバージョンのプロトタイプが公開され、期待は一気に高まったのである。さらに今年に入って市販バージョンが完成。私はM社の特別な計らいで、スタティック・スニーク・プレビュー(静止状態での内覧会)に参加するチャンスを得た。 厳重に警備されたミュンヘン郊外のスタジオではBMW M社の開発担当副社長であるディルク・ヘッカーが私を迎えてくれた。氏は早速「ずいぶんとお待たせしたのは理由がありました。それはMバージョンに相応しいパワープラントがなかったからです。そしてようやく、全く新しい直列6気筒のM専用エンジンが完成し、SAVとSAVクーペに本格的なMバージョンを揃えることができたのです」と始めた。 開発コード「S58」と呼ばれる直列6気筒3.0Lツインターボエンジンは91mmというシリンダーピッチから推測すれば明らかに「B58」エンジンをベースにしているが、ヘッカー氏によればシリンダーピッチ以外は、ヘッド、ブロック、レースにも対応できるオイルパンまで、ビス一本から全く新しく設計されているという。その結果、スタンダードで最高出力480ps/最大トルク600Nm、コンペティションバージョンはなんと1.0Lあたり170psの510psを発生する。 組み合わされるトランスミッションはZFの8速スポーツAT(M8HP76)。4輪駆動システムはM5から移植した後輪駆動キャラクター(テールハッピー)で、オプションで前輪をフリー、すなわち後輪のみを駆動するというSUVにはあるまじき離れ業もできる。 注目のパフォーマンスは0-100km/hが4.2秒 (コンペティションは4.1秒)、最高速度は両モデル共に250Km/hでリミッターが作動するが、オプションでM仕様が280km/h、コンペティションではさらに285km/hまで引き上げることが可能だ。 価格はドイツで1000万円強~、日本発売は8月か2017に発売されたX3(G01)、あるいはX4(G02)をベースにしたエクステリアデザインは控えめで、ブラックアウトされたフロントのキドニーグリル、バンパーの中央と左右の大きな開口部、フェンダー左右のエアーブリーザーもブラックアウトされている。一方、リアは大型のルーフスポイラー、4本のマフラーカッター、ディフューザーが力強さをアピールしている。当然シャシーもM仕様にセットされており、タイヤはフロントに255、リアが265のミックスサイズで、ホイール径はスタンダードが20インチ、コンペティションが21インチとなる。 正式にはBMW M社開発担当副社長というタイトルを持つディルク・ヘッカーは自らがドライバートレーニングのインストラクターでもあり、当然シャーシセッティングにも自信があり、「ぜひ、一緒にニュルブルクリンクを走りましょう。相当楽しめますよ。ラップタイムは非公開ですが!」と自信のほどを垣間見せてくれた。 正式な発表の場だが、タイミングから言えば来月のジュネーブが順当だが、両モデル共に4月に開催される上海モーターショーになる。ここでも中国市場重視の戦略が見え隠れする。市場導入は生産拠点(サウスカロライナ州のスパータンバーグ工場)のある北米市場が最も早い7月13日、中国と日本と韓国が8月10日となる。 注目の価格はドイツでX3 Mが8万4900ユーロ(約1060万円)、X3 M コンペティションが9万3400ユーロ(約1170万円)、X4 Mは8万7100ユーロ(約1090万円)、X4 M コンペティションは9万5600ユーロ(約1200万円)となる(いずれも19%の付加価値税込み)。日本での価格はまだ発表されていない。 ※記事内容は取材記者が海外試乗会で独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。 スペック例【 X3 M 】 【 X4 M 】 |
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