ニューヨークショーの特色は?日本にゴールデンウィークがあるように、欧米では春の訪れとともにイースター休暇がやってくる。例年、その直前の4月中旬に開催されるのがニューヨーク・ショーだ。マンハッタンのミッドタウンのリバーサイドにあるショー会場へ向かう途中、美味しそうな朝食を出すダイナーがあったり、桜の花が咲いていたりして、思わずニューヨーカーを気取ってコーヒー片手に寄り道しそうになる。 デトロイト・スリーのお膝元で開催される年初のNAIAS(デトロイト・ショー)と、北米最大の自動車市場であり西海岸を代表する都市で開催されるLAIAS(ロサンゼルス・ショー)に対して、NYIAS(ニューヨーク・ショー)は株式関係者やマスメディアが集中する東海岸随一の都市で開催されるショーとしての性格を帯びている。例えば、2大全国紙のうちウォールストリート・ジャーナルと最大の地方紙であるニューヨーク・タイムズが拠点をおく。早朝、アメリカ車メーカーのリーダー的存在が行う洒落のきいた基調講演から開幕するのもニューヨークの特徴だ。 今年は、フォードCOOにして、元マツダCEOとしてもお馴染みのマーク・フィールズ氏が登壇。地元ブルックリン生まれであり、アラン・ムラーリー現CEOを継ぐ人物と噂されている。「フォードという企業風土を育みながらも、今後数年で大きな技術革新を起こしていく」と宣言することで、フォードの舵取り役としての準備が整っていることを示唆したカタチだ。 2日目の朝には、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーの発表もあった。世界22カ国、69人の選考員によって選定されており、ジュネーブでファイナリスト3台を発表し、ニューヨークでは最終選考を発表する。今年のイヤー・カーは、去年のフォルクスワーゲン「ゴルフ」に続いて、同グループのアウディ「A3」が受賞。加えて、ラグジュアリー部門をメルセデス・ベンツ「Sクラス」、パフォーマンス部門をポルシェ「911 GT3」、デザイン部門とグリーン部門をBMW「i3」がダブルで、それぞれ受賞した。惜しくも受賞には至らなかったが、マツダ「3」はアメリカン・カー・オブ・ザ・イヤーで3台のファイナリストに残ったのに続いて、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーでも総合とデザインの3台のファイナリストにノミネートされていた。 トヨタは米への貢献アピール、日産はムラーノ発表そろそろ、本命のショー会場に話を移そう。メイン会場を入ってすぐのトヨタ・ブースでは、「カムリ」のフェイスリフトが発表されていた。クルマ好きにとって大きな話題ではないが、アナリストが集まるニューヨーク・ショーでは、トヨタのアメリカでの業績を占う「カムリ」の変更は注目の的だ。トヨタ側も、去年は40万8000台を販売し、累計で1020万台を販売したなど、トヨタの業績へのカムリの貢献を主張。累計販売のうち660万台が路上を走っていることでカムリの残価の高さを示唆。さらに、75%の部品を米国内で調達し、ケンタッキー州の工場では7000人のアメリカ人が生産に従事するなど、アメリカ経済への貢献も謳った。 トヨタに限らず、ニューヨークでは例年、日本車勢への注目度が高い。日産はミシシッピ工場で生産する「ムラーノ」の新型を発表。 2013年1月のデトロイト・ショーで発表したコンセプト、「レゾナンス」のイメージをしっかり受け継いだ外観だ。クロスオーバーSUVながら、車高を下げて、よりワイド&ローなフォルムとした。日本人の目には斬新に見えるが、このデザインはアメリカのメディアにはごく好評だった。コンセプトではハイブリッドを搭載していたが、市販モデルでは260psのV6ユニットを搭載。ただし、燃費は従来より17%向上している。 「フロントのVシェイプは日産の顔として、今後さらに強調していきます」と、日産・常務執行役員チーフクリエイティブオフィサーの中村史郎氏は語る。今後、セダンにもVシェイプを強調したフロントマスクが採用されそうだ。 スバルはアウトバックを世界初披露!北米での販売をめきめき伸ばし、いまや、ビジネスの軸足を北米市場に置くと言っても過言ではないスバルは、新型「アウトバック」を投入。2月のシカゴ・ショーでベース車両のレガシィが発表されていたこともあって、数々の憶測が飛んでいた。ボディサイズは4817×1840×1680mmと、従来よりわずかに拡大されたことに加えて、車高がベースのレガシィと比べて180mm、従来比で75mmも高められている。発表では、ボディ形状とインテリアの質感の向上から、アウトドアだけではなく、都会的なライフスタイルも提案していた。具体的には、味気ないほど機能にふっていた従来の室内空間から一変、インフォテインメントの操作性や素材の質感の向上をはかっている。 アウトバックの真骨頂である使い勝手の良さはさらに進化。居住空間の広がりに加えて、荷室を拡大。あわせて、リアハッチが高さメモリ付きパワーゲートとなり、荷物の搭載性を高めた新デザインのルーフレールや、ルーフへのアクセスを高めるステップを設置するなど、多面的に使い勝手を向上させた。搭載されるユニットは、2.5L水平対向4気筒ユニット(175ps)と3.6L水平対向6気筒(256ps)の2機種。いずれも、リニアトロニックCVTが組み合わされる。 ホンダはヴェゼルを北米投入へホンダは、去年から勢いを盛り返したアキュラの中核となるミドルサイズ・セダン「TLX」を発表。実質的には、アコードの豪華版として10年前に登場した「TSX」と、初代は日本でインスパイア/セイバーとして発売された「TL」を統合して受け継ぐことになる。ボディもパワートレインも一新という事実からも、気合の入り具合がわかるだろう。新設計のボディは、高張力鋼板、アルミやマグネシウムなどを活用した軽量設計だ。心臓部は、新開発の2.4L直噴i-VTEC直4 DOHCエンジン(206ps)と、「MDX」と同じ3.5L直噴i-VTEC V6 SOHCエンジン(290ps)の2機種。2.4Lモデルには新開発トルコン付き8速DCT、3.5Lモデルには9速ATが組み合わされる。 本家ホンダは、新型アシモのワールドプレミア…と見せかけて、実はHR-V(日本名「ヴェゼル」)の北米市場への投入の予告が話題の中心だった。フィット・ベースの小型SUVであり、98年に登場したクロスオーバー・モデルの初代HR-Vとは無関係だ。米ホンダいわく、「北米市場において人気の高い「CR-V」の弟分」の意味合いをもたせたという。アメリカ市場への投入は2014年冬、生産はフィットと同じメキシコ工場という以外、詳細は明らかではない。日産ジューク、スバルXVと同様、ライトトラックに分類されるらしい。 もっとも注目を浴びたのは、ロードスター用の新シャシー新車の発表でもないのに、これほど盛り上がるのか! と驚かされたのがマツダの記者発表だ。発売から25周年を迎える「MX-5」(日本名「ロードスター」)の記念モデルのアメリカ限定100台の発売を発表するのとあわせて、次期「MX-5」の「スカイアクティブ・シャシー」を発表したのだ。ざっと見聞きしただけでも、エンジンがフロントアクスルより内側に配置され、駆動系と着座位置は低重心化のため低められ、さらに、アルミ素材を多用することで100kg以上の軽量化を目標としている。 初代NAオーナーだった筆者にとって、これだけでも妄想をふくらませるには十分な素材だ。向かって右手に出る排気の取り回しから、スカイアクティブらしく4-2-1の配管であることが予測され、100kgも軽量化することから、初代と同じ1.5Lエンジンへのダウンサイズを想像する人も少なくないはずだ。トランスミッションのシフトノブの取り付け位置から、かなり低めかつ後方の着座位置であることも想像される。となると、ロングノーズ、ショートキャビンのスポーツカーらしいフォルムが想像されるが、これまでの常識的なハードトップ・ルーフの装着は難しそうにも思える。が、ポルシェ911タルガのように新しいギミックを持つハードトップ・ルーフが開発されるかもしれない…などと、想像をたくましくさせられる。 |
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