ニュルブルクリンク北コースの最終テストに同行今秋、間も無く、いやもう少し正確には10月末までにBMW3シリーズのフルモデルチェンジが正式に発表される。1975 年の初代3シリーズ(E21)から数えて7世代目に当たる。現行モデル(F30)は2012年の登場だから、6年ぶり、まあ順当なタイミングだ。 開発コードG20と呼ばれるニューモデルは現在ニュルブルクリンク北コースで「炎の洗礼」と呼ばれる量産ゴーサイン直前の最終シャーシ・セッティング・テストが行われている。全長約21kmのニュルブルクリンク北コースはその過酷な条件ゆえにグリーンヘル(緑の地獄)と呼ばれている。 確かに150箇所以上のコーナーとアップダウンの続くこのコースだが、実はこう命名したのはレーシングドライバーのジャッキー・スチュワートだった。サーキット上の過酷な条件の他に、もし事故が起こった場合の緊急処置の問題もあった。つまりその全長ゆえに救急車の到着時間が問題だったのである。現在では、数台の救急車が、どの場所でも速やかに到達できるような最短アクセス緊急道路ができているのでこうした不安はなくなった。 さて、今回、私はこの北コースで行われていたテストの同行取材をすると同時に、この次期3シリーズ・プロトタイプ(正式には量産試作車)のステアリングを握ることを許されたのである。 最大55kg軽量化、ボディ強化でステアリング精度や快適性も向上完璧にカムフラージュされたボディのデザインは想像するしかないが、BMW最重要モデルだけにエクステリア・デザインはその輪郭からしてキープコンセプトであることは間違いなさそうである。 限られた情報と最新のリリースを分析すると次期3シリーズのベースは更なる軽量化が図られ、最大で55kgの軽量化に成功している。一方でボディ剛性は、全体的、そして部分的に一層強化され、ステアリング・セッティング精度の向上と走行ノイズ、快適性の改善に役立っている。 またBMWの主張する理想的な前後アクスルへの重量配分50対50に加えて、重心位置は現行モデルよりもさらに10mm低くセットされ、同時に前後のトレッドも拡大、大きなコーナリングGフォースにも耐えることができる。さらに詳細は不明だが新設計のダンパーは可変設計ではなく、通常よりも50パーセント増のダンピングフォースを発揮すると言われる。 主力モデル330iに搭載が予想されるエンジンは2リッター4気筒で最高出力は現行の252馬力から258馬力へ、最大トルクは350Nmから400Nmへとパワーアップされている。また当然のことながらOPF(直噴ガソリン用微粒子フィルター)を装備、排気ガス規制は最新のユーロ6d TEMPをクリアしている。 一新されたシャーシ技術で再びスポーツセダンの規範となるかプロトタイプのドライバーズ・シートに乗り込むと、正面には全く新しいコクピットが目に入る。フルデジタルのそれは伝統的な丸型ではなく、( )で囲まれたような形状で左に260km/hまでのスピード、そして右には7000rpmまで刻まれたレブカウンターとなっており、左中央にデジタル表示の速度、一方右中央にはギアポジションが表示される。 今日の北コースでのテスト走行で最も感銘を受けたのが一新されたシャーシ技術である。新たに採用されるのがまず、前述のノンアダプティブ・ダンパー、そして電子制御のデファレンシャル・ロック・システムである。この組み合わせは抜群のロードホールディングとしなやかなボディのムーブメントに貢献している。 加えて電子制御デフロックはこれまでの擬似トルクベクトリングとは違ってブレーキング効果でなく、トラクションを失わないアクティブな制御でコーナリング性能を向上させる働きを行う。またEPS(電動パワーステアリング・システム)はさらにしなやかに、そして素早く、確実なフィードバック反応で超高速域でも卓越した操舵性を発揮してくれた。 このシャーシレイアウトと開発陣の緻密なセットアップ作業はニュー3シリーズに再びスポーツセダンの規範となるべきドライビング・プレジャーを提供してくれるに違いない。完成が待ち遠しい。 このニュー3シリーズの発表は冒頭に述べたように10月、おそらく4日から開催されるパリモーターショー、そして欧州での発売は2019年からとなる。また日本市場へは早くても2019年の初夏になるだろう。もちろん詳細はまだ発表されていない。 |
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