アジアを中心とした新時代のクルマ界今後のクルマ界はアジアを中心に回る! つくづくそれを痛感しましたね。そう、日本初登場の新型フォード・エコスポーツだ。 全長4mちょいの都会派SUVで駆動方式はFFのみ。VWクロスポロやルノー・キャプチャーのライバルとなるモデルだが、2003年に誕生した初代モデルはほぼブラジル専用車だった。ところが2013年の販売が6万台と好感触だったこともあるのだろう。2代目からのグローバル戦略車化が決定! 今回日本にも入ってきたわけだが、実は日本仕様はインドの最新チェンナイ工場製。そのほかタイ、中国、当然ブラジル工場でも作られるわけで、まさしくアジアを中心とするグローバルプロダクトへと進化したわけだ。 ひと昔10年ほど前、フォード・ジャパンがフォーカスやモンデオなど欧州フォードの輸入を諦め、アメリカンムード漂うマスタングやエクスプローラーなどに特化したことが懐かしい限りだが、つくづく時代はアジア。 年間2000万台超市場の中国はもちろん、伸びゆくASEAN諸国を重視しなければどのメーカーもやっていけないわけで、あのフォードですら昨年販売約500万台のうち北米シェアはたったの50%。2008年のリーマンショック以来ガラリと変わり始めた自動車バトル地図は、いよいよ本気でチェンジし、あのフォードがブラジルやインド、中国に向けたコンパクトSUVを日本にも入れる時代となったわけだ。まさしく新しい時代の到来である。 まるで座布団の上に乗ったダルマ!?肝心のエコスポーツだが、確かに今までのフォードプロダクト、マスタングやエクスプローラー、欧州フォードのフィエスタやモンデオとも微妙に違うユニークテイスト。全長×全幅×全高は4195×1765×1655mmとVWクロスポロよりひと回り大きく、ルノー・キャプチャーやプジョー2008とほぼ同サイズ。しかし違いがあって、それは1655mmの全高。ライバルと比べて明らかに高く、見た目は結構、摩訶不思議なずんぐりむっくり具合だ。 フロントマスクは、角張ったつり上がりヘッドライトと横長の8角形グリルにより“笑ゥせぇるすまん”風になっていて、さらにバンパー下とサイドシル下がぐるりとグレー樹脂で囲まれているから、まるで“座布団の上に乗ったダルマ”のよう。フォードの最新キネティックデザイン路線に則ってはいるが、ユニークさと可愛らしさはダントツだ。 そしてこの全高は予想外のゆったりさをもたらしており、フロントに身長176cmの不肖オザワが座ったポジションでリアに座ると、ヒザ前と頭周りにそれなりにスペースがある。ラゲッジは標準で333リッター、さらにリア席をダブルフォールディング方式で倒すと最大1238リッターまで広がり、そのほかグローブボックスは大きく、全20カ所に合計約20リッターの収納スペースを持つ。 ついでにさすがはインド産だと思ったのが、グローブボックス内のエアコン冷気導入。このクラスでこの手の機能は少なく、さすがは暑いアジア中心に売られる新機軸グローバル。この辺りにもちょいちょいくすぐられる。 ちなみにハイテク装備はそれなりで、横滑り防止のESPや坂道発進サポートのヒルスタート・アシストは付くし、エアバッグは合計7つ、スマートキーレスエントリーやオートランプシステムを備え、最新インターフェイスのSYNCも装備。ただし、コイツは英語対応なんでグローバルな人向けですが(笑)。 パスタではなくフォーを楽しむように…いっぽう、見た目を裏切るのはしっかりしたハンドリングと乗り心地だ。ベースは日本でも久々に導入されて評判のコンパクトハッチ、フィエスタと共通のBプラットフォーム。当然の如く超高張力鋼板などが多用され、軽い中にも独特の手応えを味わえるステアリングフィールや吸い付くような乗り心地は健在。さすがはフォードプロダクトという感じ。 日本にこれまで入っていなかったが、新導入された、エコ時代に合った連続可変バルブタイミング機構付きの1.5リッターTi-VCT直4エンジンとフォード自慢の6速デュアルクラッチATもそれなりに活発。イマ風なのはフィエスタ用の1.0リッター直3のダウンサイジングターボだと思うが、これはこれで111psの最高出力と140Nmの最大トルクが過不足ない加速をもたらす。 だが、車高の高さとやはりインド産だからだろうか。路面の凹凸を越えた時の上質さはフィエスタよりちと落ちる。インパネの樹脂の質感、合わせ目の精度、走行中の細かい騒音&ビビリ音などに関しても日本車はもちろん、欧米産フォードと比べても若干不満。この当たりは今後どんどん良くなっていくはずだし、そうでなくとも日本のJC08モードでフォード史上最良の14.5km/Lは凄い。 燃費重視のアジアンカーならではであり、さらにこれだけのシティ派SUVでありながら、180mmのロードクリアランスと本格SUV顔負けのディパーチャーやアプローチアングルを誇り、万が一の都会の洪水時に役立つ、水深550mmまでOKの耐水没性も魅力的。 要は今までの如く、パスタやハンバーガーを楽しむように欧米車に乗るのではなく、フォーやシュラスコやケバブを楽しむようにアジアンカーを乗る時代になってきたってこと。ついでにお値段も250万円切りとライバルよりお買い得。個人的にはもっともっと安くして驚異の激安アジアンヨーロピアン!? とかで業界に衝撃を与えて欲しかったが、それは今後に期待。いずれにせよこの流れは否応なく今後日本にもやってくる。このクルマは単なる新機軸の輸入コンパクトSUVじゃない。全く新しい自動車の時代そのものなのであーる! 【 関連記事:6月発売のフォード エコスポーツ、タイで先行試乗! 】 |
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