「丸」から「四角」へ意匠変更マツダの世界販売台数の約3分の1を占める屋台骨モデル、「CX-5」。2017年に登場した現行の2代目はこれまでに何度か手が加えられてきたが、昨年11月、大幅に商品改良されたモデルが発売された。基本モデルに加え、「フィールドジャーニー」と「スポーツアピアランス」という見た目の異なる2種の特別仕様車が加わった。その特別仕様車をそれぞれ公道で試した。 同社は今年「CX-60」という新世代SUVを発売することを明らかにしているが、このタイミングでCX-5に大きく手を加えるということは、CX-60はCX-5に取って代わる存在ではなく、両車は併売されるのだろう。 改良なったCX-5は、まず小規模ながらデザインが変化した。ヘッドランプユニットの内部デザインが、ざっくり言えば丸目2灯から角目4灯となった。正確にはLEDのデザイン処理によってそう見せている。フロントグリルを縁取るクロームのシグネチャーウイングもわずかに形状が変更された。リアコンビランプもヘッドランプ同様、丸から角へとデザインが変わった。 フィールドジャーニーは、ほんのりオフローダー寄りのルックスが与えられたモデルだ。具体的には、前後バンパー下部のアンダーガード風ガーニッシュがシルバー塗装されるほか、ドアミラーがブラックに塗装され、17インチのオールシーズンタイヤ(冬タイヤ規制対応ではない)&グレーメタリックのアルミホイールが装着される。ガソリンとディーゼルそれぞれの4WDに設定され、今回はディーゼル(355万3000円)に試乗した。 >>マツダ CX-5のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる >>マツダ CX-5の買取相場は? ※このページの写真:CX-5 XD フィールドジャーニー フィールドジャーニー専用のオフロードモードが有効久々に試した2.2L直4ディーゼルターボエンジンは相変わらず出来がいい。静粛性が高く、振動もよく抑えられている。実用域で力強い。CX-5にはこのエンジンだけでよいと思う。 元々悪いほうではないが、不整路面での乗り心地がさらに改善された。リアシート下にあるクロスメンバーの剛性をアップさせて弾性振動を低減させ、合わせてスプリングとダンパーにも手が加えられた。またマツダ3以降のモデルに取り入れられているシート形状が採用された。 乗員の骨盤を立たせる形状とし、背骨が緩やかなS字となる着座姿勢をつくりだす。これによって、歩いた時に生じる揺れに対し人間が自然に対応している頭部や上半身の動きと同じ動きができるようにするのが狙い。 市街地のみの試乗だったため、ハンドリングの明確な違いはわからなかったが、フロントのスプリングレートを上げ、ダイアゴナル(斜めの)ロールを抑えることで直進時の安定性を上げたという。これらはフィールドジャーニーだけではなくCX-5全体に盛り込まれた改良だ。 フィールドジャーニー専用装備としてオフロードモードが備わった。スイッチを押すと、従来のオフロードトラクションアシスト(空転輪にブレーキをかけて残りの車輪の駆動力を確保する機能)が作動するのに加え、車速域を限定せず後輪へのトルク配分が最大化される。またATのギアアップのタイミングを遅らせ、トルコン制御も悪路走行に最適化(1速→2速でロックアップさせない)する。 登坂発進時には自動的にアイドリング回転数が上がり、クリープを強めてずり下がるのを防ぐ。坂を登るでも降りるでもなく横へ走行中、ステアリングを山側へ切って登坂状態になるとアイドリング回転数を上げて発進トルクを増やし、逆に谷側に切って降坂状態になるとアイドリング回転数を下げて発進トルクを減らし、マイルドな発進をしやすくする。特設コースでこうしたマニアックな動きを一つひとつ確認できた。雪道など低ミューの坂道でかなり有効なのではないだろうか。 >>マツダ CX-5のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる >>マツダ CX-5の買取相場は? ※このページの写真:CX-5 XD フィールドジャーニー 19インチでも良好な乗り心地続いて乗ったのは、FWDのスポーツアピアランス(325万6000円)。フロントグリル、シグネチャーウイング、バンパー下部、ホイールアーチ、ドアミラー、それに標準装着の19インチホイールなどがブラック塗装となる。精悍な印象だ。 2.5L直4ガソリンエンジンのフィーリングは標準的で欠点はない。だが特筆すべき点もない。価格が高くてもディーゼルエンジンをオススメしたい。 Mi(ミー)ドライブでスポーツモードをセレクトすれば、アクセルレスポンスが上がるほか、マツダお得意のGVC(G-ベクタリングコントロール。ドライバーがステアリングを操作すると、アクセル操作にかかわらずエンジン出力を一瞬わずかに下げて前輪に荷重をかけてグリップを強める機能)もスポーツモードに最適化された作動となる。 全般的な挙動はフィールドジャーニーで感じた通りだ。19インチタイヤ&ホイールだからといって足まわりがバタつくようなことはなかった。 このほか、今回の改良で荷室が開口部とフラットにできるフロアボードが備わった。荷室の天地高が欲しい場合はボードを下段にセットすることもできる。 安全面ではアダプティブLEDヘッドライトがアップデートされ、照射する部分と照射しない部分を従来よりも細かく分けることで(12分割から20分割へ)、対向車や先行車を眩惑することなくハイビームを保つことができ、夜間の視認性が向上した。ADASでは、渋滞時のドライバーの疲労低減を目的に、上位グレードにCTS(クルージング&トラフィックサポート:渋滞時に自動で前のクルマに追従、車線に沿った走行もアシストし、車線を検知しない場合は前の車の軌跡に沿ってアシスト)が備わった。 >>マツダ CX-5のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる >>マツダ CX-5の買取相場は? ※このページの写真:CX-5 XD フィールドジャーニー 噂のCX-60を待つべきか?CX-5はマツダが「第6世代」と呼ぶスカイアクティブ・テクノロジーを全面採用した最初のクルマとして2012年に登場した。5年後の17年にモデルチェンジして2世代目となった。 翌18年発売のマツダ3にはスカイアクティブ・ビークルアーキテクチャーというコンセプトが取り入れられ、このクルマから次の世代に分類される。その前年にモデルチェンジしたCX-5は、部分的に新世代技術が盛り込まれているものの、第6世代として登場した最後のモデルといえる。 マツダがロードスター以外では久しぶりに開発したエンジン縦置きプラットフォームを用いるCX-60は、詳細は明らかになっていないものの、今CX-5に関心がある人にとっては気になる存在だろう。 CX-5よりもどれくらい立派で、どれくらい高いのか。けれども“エンジン縦置き”ということに強いこだわりがないのなら、待ってないで熟成極まったCX-5を買っちゃってよし! と言い切ってしまおう。それくらい完成度は高い。もしCX-60がめちゃくちゃ出来が良くてそんなに高くなかったら、その時はごめんなさい。 >>マツダ CX-5のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる >>マツダ CX-5の買取相場は? ※このページの写真:CX-5 XD フィールドジャーニー スペック例【 CX-5 XD フィールドジャーニー 】 【 CX-5 25S スポーツアピアランス 】 ※このページの写真:CX-5 フィールドジャーニー >>マツダ CX-5のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる >>マツダ CX-5の買取相場は? |
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