ノートとノート オーラはどこが違うのか?ちまたで話題の新型車「日産 ノート オーラ(AURA)」が6月15日、いよいよ正式発表された。多くの人にとっての疑問というか質問は「で、2020年11月に発売された普通のノートと何が違うわけ?」ということかと推測する。 取り急ぎ、その答えは以下のとおりだ。 ノート:他社のコンパクトカーや軽自動車から買い替えてもらうことを主眼に開発された「コンパクトカーの王道」 ノート オーラ:輸入車を検討している人(国産車は最初から眼中にない人)に、「……国産のコレもいいかもしれないな」と思わせるべく作られた「プレミアムコンパクト」 両者の間には装備や機能、デザインなどの細かな違いはいろいろあるが、「本質的な違い」はコレだ。 そのうえで、日産 ノート オーラの詳細をご説明しよう。 従来型ノートが全幅1695mmのスリムな5ナンバーサイズであるのに対し、ノート オーラは全幅1735mmの3ナンバーサイズ。拡大された40mmは、主に「ふくよかになったリアフェンダー」に充てられている。 数字的には片側約20mmという微妙な違いにすぎないが、絶妙なニュアンスでふくよかになった車両後半部は、たしかにノートとは異なる「色気」あるいは「重厚感」のようなものを、この車に与えることに成功した。 色気と重厚感を増したボディのフロントマスクには「超薄型LEDヘッドランプ」と、構成ピースの大きさが位置によって微妙に異なるという凝ったデザインのグリルを配置。そしてノートでは単なるメッキパーツだったVモーショングリルの「Vの字部分」は、LEDシーケンシャルターンライト(兼デイタイムランニングライト)で表現されている。 このほか、あえて樹脂素材も採用した17インチホイール(複雑な造形だが、同時にシンプルビューティでもある)と、ボディ後端を大胆に横断するLEDリアコンビランプの採用などにより、ノート オーラはたしかに「プレミアムコンパクト」と呼ぶにふさわしい外観になっていると、まずは感じる。 パワー感はノートの1割増し、FFは軽やかで4WDは重厚外観同様インテリアも、いわゆる忖度などいっさい抜きに「プレミアムコンパクト!」と評したい世界観だ。 標準装備となる12.3インチ フルTFTメーターの未来感は、各所に配されたツイード表皮や、15工程を経て生み出されるという艶を抑えた木目調パネルと絶妙なコントラストを描く。そして――これは従来型ノートのメーカーオプションと同一のものだが――本革3層構造のシートは上質な座り心地であるだけでなく、その造形センスも、端的に言ってかなりイケている。 加えて、オプション装備ではあるが、ノート オーラ専用の「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」の音質も、極上の部類に入るものだ。 電動パワートレインはノートと同じく「第2世代e-POWER」だが、ノート オーラのそれはノートと比べてモーター最高出力が18%向上し(85kW→100kW)、最大トルクは7%増強されている(280Nm→300Nm)。さらに4WD車ではリアモーターでも回生(減速)を行うため、減速時もフラットな姿形が保たれるという。 また「遮音」はノートにおいても追求されていたが、ノート オーラではそれをさらに徹底。走行中の「車外の音の聞こえにくさ」と「高速走行時の会話のしやすさ」は同門のノートだけでなく、欧州プレミアムコンパクトのそれをも大きく上回っている。 ……と、そんな触れ込みのノート オーラを、実際に運転してみることにしよう。 試乗したのは公道ではなく日産のテストコースだったが、「単なる高速周回路」ではなく、あえて目地段差や舗装が悪い場所なども随所に設けられているコース。そこを20~80km/hほどの速度で走ってみたということで、「信号機がない」ということ以外は、一般公道を走るのとそう大きな違いはないと思われる。 まずは力感について。 数値的には前述のとおりノートよりトルクで7%、馬力で18%増強されているというオーラの電動パワーユニットだが、これはまさに数値どおりの感触。といっても、もちろん「うむ、17%か18%ほど力強いな!」などという細かな数字が体感できるはずもなく、「うむ、ざっと1割ぐらいは力強いな!」という感触だ。 お次は走行フィール。 遮音は確かにかなり効いており、車内はきわめて静か。ただし「静かすぎて不気味」というほどではなく、エンジン音やロードノイズは程よいレベルで車内に進入するため、むしろ「そんなノイズが逆に心地よいかも」といった気分になる。川のせせらぎを聴くようなものだ。 そして国道やバイパスを走るぐらいの速度からブレーキングを行い、パイロンが立ち並ぶ曲率の高いカーブへと入り、そこを抜けて再加速していく際のタッチは「自然」のひと言。ドライバーのほぼイメージどおりに減速され、車が向きを変え、事前のイメージどおりに車体を若干傾けながらカーブを適切に曲がったのち、またイメージどおりに加速していく――ということだ。 この部分についての従来型ノートとの差がどれほどのものかは、レーサーではない筆者には確認できなかった。オーラのほうが全体的に少し良いと感じたが、「気のせい」であることも否定できない。ただひとつ断言できるのは、「このあたりについてはノートもノート オーラも、どっちも素晴らしいですよ」ということだ。 FFに試乗したのち、同じコースを4WDのノート オーラでも走ってみよう。 「4WDはリアモーターでも回生を行うため、カーブ手前での減速GはFFより大きい」との事前説明だったが、減速Gの違いは正直わからなかった。ただ「四輪すべてで減速が行われるため、減速時もフラットな姿勢が維持される」という部分は「なるほど、確かに」と普通に確認できるものだ。 だがそれ以上に強く感じたのは、両者のフィーリングの差である。 FFのノート オーラの走りは上質で重厚だが、同時に、どこか軽やかさのようなものもある。そのため「フランスのプレミアムコンパクトに似ているな」と、筆者には思われた。 そして4WDのノート オーラは、軽やかさ以上に「重厚!」といったフィールが強い。そのため、「これはドイツのプレミアムコンパクトに近い」と思えた。 このあたりは優劣というより「好き嫌い」の問題。フレンチ方向がお好きな方はFFを、ゲルマン方向がお好みの方は4WDを選ぶと、かなり幸せになれるだろう。 結論、ノート オーラはアリかナシか?以上のとおり、うたい文句どおりの素晴らしい内外装デザインを含めて「なるほど確かにプレミアム!」と感じさせたノート オーラの「価格」はどうなっているのか? ノート X FFの車両本体価格が218万6800円であるのに対し、ノート オーラ G FFは261万300円。その差は42万3500円であるわけだが、ノート XではメーカーオプションとなるLEDヘッドランプやアラウンドビューモニター、アルミホイールなどがノート オーラ Xでは標準装備であることから計算すると、実質的な価格差は「オーラのほうが17万ぐらい高い」ということになる。 この17万円、あるいは42万3500円を「高っ!」と感じるか、それとも「まぁそんなもんでしょうね」と感じるかは、人それぞれだろう。 だが筆者は、人それぞれというよりも「そもそも検討しているカテゴリーの違いにより、感じ方も違うのでは?」と思っている。 「実用的で安価な国産コンパクトカー」を探している人にとっては、17万円あるいは約42万円の違いというのは、一般的にいって「デカい」と感じられるだろう。 だが、そもそも車両価格300万円以上の輸入プレミアムコンパクトを検討している人間からすれば、安いものである……なんてことはないが、しかし「そのぐらいの差ならさほど気にならないよ。ただし、モノが良ければね」という人も多いはず。 本当に気に入ったモノであれば、極端にいえば500万円でも構わないし、逆に満足できないモノは、50万円であっても高いと感じるものだ。 では、このたび発表された日産 ノート オーラの“モノ”はどうなのか? 予算の問題ではなく、デザインセンスや質感および走行フィールの点で「国産車はちょっと……」と感じている輸入車党各位の審美眼を、満足させるだけのものなのか? 無論その答えは人それぞれであろうが、筆者の答えは「Yes!」である。 カタチも質感も走りも、そして「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」とプロパイロット、カーナビからなるセットオプションを付けても支払総額300万円台前半で収まるはずのプライスについても、ノート オーラは、輸入車党各位が「国産車だから」というだけの理由で無視するのはもったいない一台だ。 買う買わないはさておき、ぜひ一度、ご近所の日産ディーラーにて“現物”を見てみることをおすすめしたい。 スペック例【 ノート オーラ G レザー エディション(FF) 】 |
GMT+9, 2025-4-30 14:07 , Processed in 0.112502 second(s), 17 queries .
Powered by Discuz! X3.5
© 2001-2025 BiteMe.jp .