デカハスラーとは呼びたくなかった理由遂に登場した“デカハスラー”ことスズキの新コンセプトSUV、新型「クロスビー」。1リッター直噴ターボ搭載のコンパクトクロスオーバーで、去年の東京モーターショーに出展されていたので知っている人も多いと思うが、最大の焦点は「デカハスラーは本当に売れるのか?」、「ハスラーの奇跡はどこまで続くのか?」ってことだ。 というのもこのクルマ、名前はクロスビーだが実質は“リッターカー版ハスラー”であり“デカハスラー”。そう呼ばなかったのは、「ワゴンR」の拡大版たる「ワゴンRワイド」がさほど売れなかったから。「軽の拡大版ネーミングで安っぽく思われたくない」というのが命名の理由だ。 ちなみに「ハスラー」とは今からちょうど4年前の2014年1月に発売された奇跡の軽クロスオーバーSUVで、最初はそれほど売れると思われていなかった。なぜか? それ以前の「スズキ Kei」、「ホンダ Z」などの軽クロスオーバーが軒並み不作だったからだ。ところがハスラーは発売直後から月6000~8000台とヒットし、夏には1万4000台の大台に。軽販売トップのホンダN-BOXは超えないまでもそれに次ぐレベルまで爆発的に売れて、今までの累計販売は約36万台! とハンパじゃないヒット。 最大のキモは、骨格や作りが事実上のワゴンRなので室内広くて燃費良く、価格も手ごろな点もあったが、なによりデザインにある。クラシカルな丸目ヘッドライトに、ほどよくマッチョな背高ボディ。ボクシーなディテールが異様に客の心を惹きつけた。事実、小沢は2013年の東京モーターショーにハスラーが出た時に「こりゃ売れる!」と確信し、実際バカ売れ。あれから4年「ハスラーの5人乗り版が欲しい」、「大きめハスラーを!」というハスラー好きの要求に答えて登場したのがクロスビーなのだ。 確かにデカハスラーとは呼べない別格の走り冒頭でも言った通り、“デカハスラー”や“ハスラーワイド”と名付けなかったのは単に「軽のデカいの」と思われたくないから。実際、クロスビーのベースは2015年発売の最新リッターカーワゴン「ソリオ」。ボディ骨格のプラットフォームが新作されたほか、パワーユニットに関してもソリオ標準の1.2Lデュアルジェットではパワー不足とされ、「スイフトRSt」用直噴1リッターターボをわざわざ搭載。それも燃費に優れたマイルドハイブリッド付きで、変速機もダイレクト感ある6ATを組み合わせた上でだ。 結果、クロスビーの走りはハスラーとは別次元。走り出しから力強く、アクセルを軽く踏んだだけで前に出る。中間加速も十分で、最高出力99ps&最大トルク150Nmのターボパワーを十分に活かし切る。これなら大人が5人乗ってもそれなりに走るはずだし、なによりボディのしっかり感、乗り心地の厚み、シャープかつ骨太なハンドリングが全然違う。確かに走りを味わってみると、ハスラーワイドとは呼べないかも知れない。 さらにクロスビーは、最新スズキ車の例に漏れず車重が異様に軽い。FFで960kg、4WDで1000kgと破格で、タイヤがデカく重くなりがちなSUVでも軽さをキープし、走りと燃費の良さを両立させているのだ。JC08モード燃費もFFが22.0km/L、4WDが20.6km/Lと十分で、メーター計測だが普通に走って15km/Lは楽勝に超える。 全長5mクラスのSUVに匹敵するリアシートの広さそれからビックリなのは室内の異様な広さだ。ドラえもんのポケットの如く、見た目を裏切るレベルで、それは先輩であり、弟分でもあるハスラー譲りのビックリ度。ハスラーの場合、ベースのワゴンRがその使い勝手の裏付けとなったが、クロスビーはソリオの良さが広さをサポートしている。 そもそもソリオからして徹底的にスペース効率を高めた結果、全長3.7m台でありながらリアシートが異様に広い。ズバリ、高級リムジン並みで、クロスビーも同様に今のコンパクトクロスオーバーでは非常識な全長3.7m台でありながらリアシートが異様に広い。マジメな話、全長5mクラスのSUVに匹敵するほどで、身長176cmの小沢がフロントシートに座ったポジションで、リアに座って楽勝にひざが組める。一体なぜか? 根本的にプラットフォームのスペース効率が高いのと、座面を高くして人を起こして座らせるポジショニングと、ラゲッジスペースの割り切りにある。 ラゲッジ容量は最低で124L、リアシートを一番前にスライドさせても520Lと割り切っており、その分フロアを低くして容量を稼いでいるのだ。ある意味、ワゴンR的なスズキのユニークパッケージで、ボディは小さめでありながらも広い室内を実現している。 万人に愛されるキュートデザインなによりクロスビーが凄いのは内外装デザインだろう。ハスラー譲りのキュートな丸目ヘッドライトを持ちつつ、サイドパネルのマッチョ感はハスラー以上で、インテリアもユニーク。カラーパネルを使いつつ、スクエアでボクシーなディテールを全体に配置して、エアコン操作パネルといい、センターのナビモニターといい、機能的でありながらもポップでファンキー。ハスラーの世界観を見事にブラッシュアップさせていて、確かに「ハスラーであってハスラーでない、事実上のプレミアムハスラー」がクロスビーの姿なのだ。 とはいえ小沢的には、このクルマを“ビッグハスラー”あるいは“ハスラー2”と名付けなかったのは失敗だと思っている。なぜならワゴンRワイドは、確かに軽の拡大版としてチープさを思い起こさせるかもしれないが、“ビッグハスラー”は、ワイルド&ポップなハスラーの世界観の延長線上にいるからだ。ハスラーという言葉の中には、あまり安っぽいイメージはない。そのキュートかつ無骨な世界を素直に受け継いだ方がよかったんではあるまいかと。あるいは“ハスラープレミアム”にするとか。とにかく今までにない老若男女にウケるキュートさと、サイズを裏切る使い勝手や走りを持つクロスビー。これまた売れる! と思ったのは小沢だけじゃないと思うんですけどね。 スペック【 クロスビー HYBRID MZ(4WD)】 |
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