いきなり結論! 2.5Lガソリン×4WDに注目2月2日の発売開始までの期間に、月販目標の約4倍近い台数(9055台)の予約注文を集めた新型「CX-5」。近年のマツダ車は高い人気を誇るが、このCX-5も例外ではない。 そもそもマツダ車がなぜこんなにも人気を集めるのか。端的に言えば、「スカイアクティブ」が挙げられるだろう。見てワクワクさせるデザイン。上質さ漂う室内空間。予想超えの走り易さや走りの質。全設計を一から見直しクルマを作り変えたスカイアクティブにより、見てよし・触れてよし・乗ってよし! の3拍子が揃った。 新型CX-5はスカイアクティブの2巡目にあたる最初のモデルとなる。2012年、スカイアクティブを初採用したことで、当時のマツダ車と比べても大幅に商品力を高めて登場した初代CX-5。そのオーナー達をさらに満足させることができるのか? 次世代スカイアクティブの真価が問われる一台だ。今回は2.5Lガソリン車と2.2Lディーゼル車、それぞれのFFと4WDに乗ることができた。 いきなり結論を言ってしまうと、先代CX-5のイチオシは人気の火付け役にもなっていたディーゼルエンジン搭載モデルだったが、新型ではガソリンエンジンの逆襲とでも表現したくなるほど、2.5L×4WDモデルの乗り味が円熟していたのだった。次ページから解説していこう。 高さ基調のボリューム感から水平基調のワイド感へボディサイズは全長4545(4540)×全幅1840(1840)×全高1690(1705)mm、ホイールベース2700(2700)mm。取り回し(最小回転半径は先代も新型も5.5m)にも優れていた先代CX-5の基本を踏襲しており、その変化は微細。それにも関わらず、見た瞬間の印象が大きく違う。※()内数値は初代CX-5のもの。 初代が背の高さを基調にしたボリュームで存在感を出しているとすれば、新型はトレンドでもある水平基調のワイド感で存在感を出している。デザインの洗練という表現が浮かぶが、個人的には先代モデルのような丸みのある女性的な柔らかい造形も少し欲しい気がした。このあたりの印象はボディ色でも大きく異なるのかもしれない。 1840mmの全幅は変わっていないものの、タイヤ左右間の距離を示すトレッドはフロントで10mm、リアで5-10mm広げられた。ギリギリまでタイヤを外に配置して、走りの踏ん張り感を向上。見た目にもボディ面に“ツライチ”のカッコ良さを実現しているのだ。欧州車が得意とするツライチ採用には大拍手を送りたい。 インテリアはさらに洗練されている。シートポジションの調整しやすさやボタン配置の良さなど、運転のしやすさは先代を踏襲。ブレーキの踏み間違いの要因とも言われるペダル位置へのこだわりなどは、玄人目線でも大拍手だ。 アルミ調のアクセント加飾の使い方など、落ち着いた高級感を漂わせる雰囲気づくりも上手い。センターモニターのサイズが小さいのが気になるが、先代から乗り換えたとしても、インテリアの洗練度合いには十分に満足できるだろう。 高められたボディ剛性+“Gベク”でより意のままに真面目で硬派なイメージは乗り味からも感じられた。先代CX-5から採り入れられたスカイアクティブボディの効果は健在。狙い通りに曲がれる気持ち良さ、意のまま感がさらに洗練されている。 イメージで言えばこうだ。長い鉄の棒の柄を持ち、棒の先端を細い穴に差し込むとき、棒のしなりが少なければ狙った穴に差し込みやすいはずだ。鉄の集合体であるクルマのボディも、その形状が保たれることで(変形しないことで)、ドライバーの狙い通り走りやすくなるし曲がりやすくもなる。また、しなり具合が同じなら軽い方がコントロールしやすいのは当然で、だからこそ軽量化が大切なのだ。 新しいCX-5はボディがさらに洗練されより強靭になった印象を受ける。足回りなど動くべきところがより的確に動き、ガチッとするべきところが強靭になり、今まで以上に意志通りに気持ち良く走れるようになった。また先代CX-5でも好評だった、視界や見晴らしのいいアイポイントなのにカーブでのグラつき感は少ないという旋回特性はさらに強化されている。 ここはG-ベクタリング コントロールが関係しているはずだ。ハンドル操作に合わせて、ドライバーが気付かない範囲でエンジントルクをコントロール、前後の荷重移動を使ってクルマを積極的に曲げる手法だ。ちなみに機構上、アクセルを踏んでいる時しか効かせられないので、クルマの動きに敏感なドライバーなら、アクセルを踏んでいる頻度の高い登り勾配だと良く曲がり、アクセルを踏めない下り勾配だと曲がる感覚が甘くなることに気がつくだろう。 次なる課題はクルマの“味づくり”のバランス感覚先代のオーナーなら走り出せば即座にわかるほど、静粛性も高められているが、これがちょっとした癖のある乗り味を生み出している。先代にもその傾向はあったが、足はしなやかに動くようになってきたものの、路面が荒れてくると吸収しきれない入力が強靭なボディを通して、突き上げや音となってダイレクトに体に伝わることがあるのだ。 CX-5の場合は静粛性が高いので、こうした入力がやや目立って感じてしまう。個人的には静粛性を少し落としたほうが、突き上げ感や音&振動とのバランスが取れて好印象になるのではないかと思う。バランスを見てあえて性能を抑えるような“味づくり”のノウハウが、スカイアクティブの次なるステップと感じた瞬間だ。 乗り心地や快適性重視なら4WDがオススメだ。FFは加速や操舵に素早く反応するキャラクターだが、そのぶん突き上げなども顕著だった。4輪で路面を掴む4WDなら安定感やどっしり感が高まり、姿勢変化が少ない上に重厚感のある乗り味まで手に入る。約20万円高いが、相応以上の価値を備えていると思う。 2.5Lガソリンか、2.2Lディーゼルか?最後に先代モデルから人気の高いディーゼルモデル「XD」を選ぶか、2.5Lガソリンモデル「25S」かの考察をしておこう。 冒頭でも書いたが「25S」がオススメだ。まず、クルマの静粛性が向上したこととの相性がいい。しかも、2.5Lエンジンは高回転まで回しても雑味なく洗練されていて、静かなクルマの世界観が乱されない。さらに、エンジンを回すほどに力が漲る高揚感もある。 もちろん、ディーゼルエンジンも静粛性は上がっているし、長距離ドライブに適した力強さは捨てがたい。ただ、CX-5のディーゼルエンジンは試乗した限りでは力が漲りすぎていて、アクセルコントロールに対して加速力が過敏に変化するなど、加減速が多い街中では扱いにくい一面もあった。 実はこれも、前述した“味づくり”で言うと、あえてアクセルレスポンスを抑えたほうが総合バランスに優れるのではと感じた部分だ。個々の性能の高さも大事だが、それをバランスさせることはより大事であり、この点では2.5Lのガソリンモデルが勝っている。というわけで、今回の試乗では2.5Lエンジンを搭載する「25S」の4WDグレードを、CX-5の大トロモデルとしてオススメしておきたい。 スペック例【 CX-5 25S プロアクティブ 】 【 CX-5 XD プロアクティブ 】 |
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