日産「ノート」が販売失速…?日産「ノート」の販売がここにきて失速気味だ。 2018年には国内登録車販売ランキングで年間1位を獲得し、電動化時代の先駆けとして脚光を浴びたが、2025年上半期(1~6月)販売台数ランキングでは8位に甘んじ、対前年比は81.9%まで落ち込んでいる。ここにきてトヨタやホンダのライバル勢に押され、存在感が薄まりつつあるのが現実だ。 その背景には、日産が誇るe-POWERに“限界”が見え始めていること、そして市場トレンドの変化がある。そこでノートの販売失速の理由を探るとともに、再浮上を図るためのカギを考察する。 #日産 #ノート #オーラ #販売状況 #e-POWER e-POWERの強みと限界とは?現行型ノート(3代目・E13型)は、2020年にフルモデルチェンジを果たしたコンパクトカーであり、シリーズハイブリッド方式「e-POWER」を全車に搭載する“電動車専用モデル”として再定義された。 プラットフォームは日産・ルノー連合による「CMF-B」を採用し、先代よりも車体剛性や静粛性が向上。最小回転半径は4.9mと扱いやすく、都市部での取り回しにも優れる。 また、上位モデルには四輪制御技術「e-POWER 4WD」や先進運転支援機能「プロパイロット」も設定され、安全性と走行安定性にも抜かりがない。 内装はコンパクトカーながら質感に優れ、先進的なコクピット設計も特徴だ。加えて、上級仕様の「ノートオーラ」では静粛性・乗り心地・内装素材をさらに強化し、プレミアムコンパクトとしての地位を築いている。 ノートの最大の武器は、日産独自のシリーズ式ハイブリッド「e-POWER」にある。エンジンは発電専用とし、モーターで駆動する仕組みはEVに近い走行フィールを実現しながら、充電不要という利便性を備えている。 ガソリン車からの乗り換えユーザーにとって、違和感の少ない電動化入門車として高く評価された。とくに街中での力強い加速や滑らかな走りは、従来のコンパクトカーとは一線を画していた。 しかし近年、その優位性は相対的に薄れつつある。まず燃費性能である。WLTCモード燃費で見れば、ノートe-POWERの28.4km/L(X・2WD)に対し、「ヤリス」のハイブリッドモデルは36.0km/L(X・2WD)、「フィット」のハイブリッドモデルである「e:HEV」は30.2km/L(BASIC・2WD)という数字を叩き出している。 加えて価格面は、ノートe-POWERの車両価格が232万8700円〜であるのに対し、ヤリスハイブリッドは220万円〜、「フィットe:HEV」も220万8800円から選択可能だ。燃費と価格、つまり「コスパの論理」において、ノートは今や優位性を持たなくなっている。 再浮上のカギは「第3世代e-POWER」では、ノートが再び市場で輝きを取り戻すには何が必要なのか。まず期待されるのは、e-POWERの第3世代技術である。 2024年に登場した新型「セレナ」は、第2世代よりも高効率化されたe-POWERが搭載され、従来よりも静粛性や燃費性能をさらに高めている。また、欧州で2025年後半に投入予定のSUV、「キャッシュカイ」に第3世代e-POWERが搭載されると公表されている。 同じパワートレーンは難しいかもしれないが、第3世代の技術を採り入れたe-POWERをノートに展開することで、ヤリスやフィットに対して再び技術的優位性をアピールできる可能性がある。 こうした流れのなか、2025年8月にはノートに対する一部仕様向上も実施された。エントリーグレード「S」以外に標準装備されるインテリジェントキーに「リクエストスイッチ(運転席・助手席)」が追加され、利便性が向上。「X」と「X FOUR」はシート表皮を刷新し、質感を向上させている。 視認性の改善やドライバビリティの向上といった大規模改良ではないが、商品力維持のための細かなブラッシュアップが行われていることは評価すべきだ。 SUVモデルの投入にも期待したい最新技術の搭載の一方で、根本的な商品ラインアップの見直しも必要だろう。 具体的には、「ヤリスクロス」に対抗する「ノートクロス(仮)」のようなより本格的なコンパクトSUVの投入が急務である。 現状でも「ノートオーテッククロスオーバー」というモデルはあるが、明確な売れ筋とはなっておらず、アピール力を欠いている。 新型キックスが2025年後半に日本に投入されると噂されているが、新型キックスを発売したタイミングでノートの販売力が落ちてしまう状況も大いに考えられる。ノートのブランド価値を維持するためにも、より積極的な派生展開が求められる。 加えて、デザインの刷新、装備の充実、「プロパイロット」や「インテリジェントアラウンドビューモニター」を含む全方位運転支援システムといった日産らしい技術の全面展開など、ノートの商品性そのものを底上げする努力も欠かせない。 日産は2025年以降、新たなEV戦略や電動化戦略を次々と打ち出す計画である。その布石として、まずはノートという“日産の顔”が再び輝きを取り戻すことが、ブランド全体の魅力回復に直結するだろう。 (終わり) (写真:トヨタ、日産、ホンダ) |
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