「WR-V」がジワジワと存在感を拡大中?2025年上半期の乗用車販売台数ランキングで、ホンダのコンパクトSUV「WR-V」が22位にランクインした。販売台数は1万6610台で、日本市場で一定の存在感を示しているといえるだろう。 しかし、同じホンダのラインアップには、長年にわたり人気を博してきた「ヴェゼル」という強力なライバルが存在する。2025年上半期の「ヴェゼル」の販売台数は3万1782台で、順位も14位と「WR-V」を上回っているが、2024年の大幅改良の新車効果が薄れてきたこともあり前年比は72.0%と減少傾向にある。 一方、2025年5月には「WR-V」も一部改良を受け、ソフトパッドの追加や上位グレード「Z+」への合皮シート採用など、内装の質感が向上。・・・今回は同じホンダにおいてプレミアムラインを担当するコンパクトSUV、「ヴェゼル」との違いを考察し、それぞれのクルマの魅力を解き明かしていく。 #WR-V #ヴェゼル #ホンダ #SUV #人気車 “割り切りの妙”が光る「WR-V」WR-Vはホンダのインド法人が開発したコンパクトSUVで、インド市場やアセアン諸国で培われたノウハウをベースに、日本向けに細かい改良が加えられて導入されたモデルである。 その開発思想は非常に明快だ。ユーザーが必要とする「広さ」「価格」「燃費」「安心装備」といった“等身大の価値”を満たすことに重点が置かれている。 パワーユニットは1.5Lの自然吸気エンジン(L15D型)にCVTを組み合わせ、駆動方式はFFのみとシンプルに。この戦略で開発コストと重量が抑えられ、結果としてWLTCモード燃費も16.2~16.4km/L前後と悪くない数字を達成している。 もちろん、ハイブリッドではないため燃費性能は最新モデルに一歩譲るものの、価格とのバランスを考えれば妥当な範囲といえる。 ボディサイズは全長4325mm×全幅1790mm×全高1650mmと、ヴェゼルとほぼ同等。最小回転半径は5.2mと都市部での取り回しにも優れる。 特筆すべきは荷室の広さで、458Lという大容量ラゲッジスペースは、日常の買い物から子どものスポーツ用品、キャンプギアまでしっかりと対応する。リアシートは6対4分割可倒式で、使い勝手がいい。 装備面では、「Honda SENSING」を標準搭載。ヴェゼルの方がより高性能ではあるものの、30km/h以上で作動するACC(アダプティブクルーズコントロール)や誤発進抑制、車線維持支援、標識認識などの先進安全装備が、200万円台前半のモデルに装備されている点は特筆すべきだろう。 さらに注目すべきはその価格戦略。エントリーグレード「X」は214万9400円、上位グレード「Z+」でも254万9800円という設定(※特別仕様車を除く)。装備と価格のバランスに優れ、コストパフォーマンスは非常に高い。 同じホンダのSUV「ヴェゼル」とどこが違う?WR-Vとよく比較されるのが、同門・ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」だこちらはより洗練された都市型SUVとしての性格が強く、流麗なクーペのようなデザインは、先進的でモダンな印象を与える。 また、ヴェゼルはハイブリッドモデル「e:HEV」を主軸としており、優れた燃費性能と滑らかな走りを実現している。インテリアはWR-Vに比べて質感が高く、先進的な装備が充実している点も大きな違いだ。 走行性能や燃費性能、さらに乗り心地や静粛性といった“質感”についてはヴェゼルに分があるが、WR-Vは価格に見合った実用性が魅力だ。都市部での通勤や買い物、週末の郊外ドライブが主な使い方なら、WR-Vの機動性とコスパは十分魅力的である。 WR-V人気の理由は明確で、「等身大のSUVを求める層」にピタリと刺さっているからだ。とくに子育て世代の“セカンドカー”として、軽自動車では物足りないが、ミニバンほど大きくなくてよいというニーズにマッチする傾向が強い。 また、価格が高騰する国産車に不満を持つ層が、シンプルな装備と明確な価格帯に共感する傾向も増えているように思える。 一方で、静粛性や先進装備、走行性能を求めるユーザーにはヴェゼルのほうが適しているのも事実だ。ハイブリッドによる燃費のよさや、落ち着いたインテリアの質感などは、WR-Vにはないアピールポイントだ。 「割り切れる人」に「WR-V」は最適解WR-Vは、安かろう悪かろうのSUVではない。むしろ、装備やスペックを戦略的に絞り込み、無駄をそぎ落とした内外装とすることで“ちょうどいい”価格と性能のバランスを実現している。その潔さが、現代の生活者に支持される理由でもある。 対して、ヴェゼルは、デザイン性や先進性を重視するユーザーに強くアピールする。ハイブリッドシステム「e:HEV」による環境性能の高さや、先進安全装備の充実度、プロペラシャフトをもつ本格的な4WD機能なはヴェゼルの大きな強みだ。 ヴェゼルが“オールマイティ”な存在だとすれば、WR-Vは“フォーカスモデル”。買う理由が明確で、割り切って選べる人にとっては、これ以上にない選択肢となるだろう。 WR-Vとヴェゼルは競合するライバルというよりも、互いの個性を際立たせる存在だといえる。シンプルでコストパフォーマンスを重視するユーザーにはWR-Vが、先進性とデザイン性を求めるユーザーにはヴェゼルがそれぞれのニーズに応える。 ホンダはこの2つのコンパクトSUVによって、幅広い顧客層を獲得しようとしているのである。 (終わり) (写真:ホンダ) |
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