ほぼ市販車仕様で伝統の山坂道に挑むホンダは、SUV「CR-V e:FCEV」で、2025年の「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に参戦することを明らかにしました。 この大会は、アメリカ・コロラド州で毎年7月初旬(アメリカ独立記念日前後)に開催される、全米屈指の伝統を誇るヒルクライム競技です。 今回、ホンダが送り込むのは、基本的に市販仕様の水素燃料車。足まわりをローダウンサスペンションに換装し、ヨコハマ製ハイグリップタイヤを装着。 さらに安全対策としてフルロールケージを追加していますが、パワートレインには一切手が加えられていません。フロントに搭載されるシングルモーターや、17.7kWhのリチウムイオンバッテリーは標準仕様のままです。 >>【画像】シャコタンになったホンダ「CR-V e:FCEV」をチェックする 【あわせて読みたい記事】 水素燃料電池車として初参戦これまでにも、CR-Vは過去25年にわたって何度もパイクスピークを駆け上がってきましたが、今回は2025年型CR-Vによって、ホンダは再びこの伝説的イベントに挑戦します。 注目すべきは、「SUVであること」ではなく、「水素燃料電池車として初の挑戦」であるという点です。CR-Vがパイクスピークの歴史にその名を刻む理由は、カテゴリーやスタイルではなく、車両の“心臓部”にあります。 ホンダはこれまでにも、パイクスピークを新技術の試験場として活用してきました。1994年には改造されたシビックで標高4300mの山頂を目指し、史上初のEVクラス優勝を成し遂げた実績もあります。 今回は、全長約20km、156のコーナーを持つ過酷なコースに、「バーチャルショールーム仕様」のCR-V e:FCEVで挑みます。「バーチャル」と称するのは、安全性を考慮し、サーキット用にいくつかのモディファイが施されているためです。 内装は軽量化され、フルロールケージ、レーシングバケットシート、6点式ハーネスを装備。シャシーには1インチ(約25mm)のダウンサスを導入し、レーシングブレーキパッド、軽量ホイール、ヨコハマ「アドバンA052」(265/45R18)タイヤが組み合わされています。 >>【画像】シャコタンになったホンダ「CR-V e:FCEV」をチェックする 【あわせて読みたい記事】 水素燃料電池パワートレーンは完全ノーマル車両製作は、オハイオ州メアリズビルにあるホンダ・パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター(PMC)が、ホンダ・オブ・アメリカのレーシングチーム「HART」と連携して手がけました。 特筆すべきは、水素燃料電池パワートレーンに改造が施されていない点です。 これは、2023年に米国でリース販売が開始されたCR-V e:FCEVに搭載されているユニットと同一で、最高出力130kW(176ps)、最大トルク311Nmを発生するフロントモーターに加え、17.7kWhのバッテリー、そして2基の高圧水素タンクを備えています。 EPA(米国環境保護庁)によると、水素モードでの航続距離は270マイル(約435km)、EVモードでは29マイル(約47km)とされており、インフラの未整備が進まない米国でも一定の実用性を確保しています。 米国エネルギー省のデータによれば、コロラド州には現在、水素ステーションがひとつも存在しません。そこでホンダは、ゼロ・エミッション・インダストリーズ(ZEI)製のスーツケースサイズのポータブル水素ステーションや、トレーラー搭載型の大型補給タンクを自社で用意し、現地での走行に備えているといいます。 いよいよ、パイクスピークの頂を目指すCR-V e:FCEVの出走が目前に迫っています。ホンダが再び“技術の挑戦者”として、その名を刻む瞬間が訪れようとしています。 決勝は現地時間の6/22に開催されます。 (終わり) (写真:APOLLO NEWS SERVICE、ホンダ) >>【画像】シャコタンになったホンダ「CR-V e:FCEV」をチェックする 【あわせて読みたい記事】 |
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