ビックリするくらい安いいつからこういうクルマが日本から消え去ってしまったんだろうか。乗るなり、思ってしまった。そう、スズキ アルト ターボRS。簡単に言うと日本で、いや世界でおそらく最も安くて速くて楽しい! グローバルな牛丼みたいなクルマだ。90年代には日本にもこの手がチラホラあったが最近はトンと見かけなくなった。 まず試乗会でシビれたのは、安さに見合わない中身の充実ぶりだ。特にFF仕様の129万3840円にはビックリ。どのグレードをベースと考えるかにもよるが装備充実のノーマル・アルト「X」のCVT車に比べ、わずか約16万円高。もちろんCVTは高いし、RSはリチウムイオンを使った省燃費デバイスのエネチャージも付いていないのだが。 専用の装備やチューニング満載ただしその分、ワゴンR用より最大トルクを3Nm増やして98Nmに上げた64psの改良型R06A3気筒ターボエンジンと、MTシフト感覚が楽しめるセミATのAGSを核としつつ、ストラットタワーバーや強化メンバーの追加、要所の板厚アップ、スポット溶接増し打ちまでしてボディを強化。結果、ただでさえ先代アルト比で増したボディ剛性が、さらにねじりで5%、ストラット取り付け部の横剛性で14%もアップしてるから凄い。 足回りの専用開発度も凄くて専用スプリングはもちろん、ダンパーは前後ともにKYBの専用品でタイヤも専用のポテンザRE050A、ホイールもワタナベ風切削専用15インチアルミだ。 自動ブレーキやESPも標準装備そのほか内外装のカスタムはもちろん、運転席&助手席エアバッグやフロントシートベルトプリテンショナーなどの基本安全の他、簡易型自動ブレーキのレーザーブレーキサポートや誤発進抑制機能、ESP、エマージェンシーストップシグナルなどすべてを標準装着。 正直、これだけ手が加えられていたら130万円台どころか140万円台でも誰も文句は言わなかっただろうし、安い! の声も出続けたはず。だが、スズキは恐らくライン装着カスタムによる低コスト性をほぼユーザーに還元しちゃってるのだ。恐るべきスズキ、ここまで世間に尽くして、本当に元なんか取れんのかいな? ディスチャージ灯やドレスアップパーツも標準実車を目の当たりにして驚くのは、中身以上に完璧にデコレーションされた見た目だ。ノーマルアルトを言わば「フィアット500」とすると、ターボRSは「アバルト500」と呼びたくなるほど赤を基調にド派手に変身。 外観は既に東京オートサロンなどで分かっていたものの、漠然とカスタムパーツの多くが後付けオプションだと思っていたが、実情を知ってびっくり! ディスチャージ式ヘッドランプやそれを取り巻くメッキリングやメッキモールに、パンパーのレッドガーニッシュ、同じくリアのメッキパーツにレッドガーニッシュとルーフスポイラー、サイドのアンダースポイラーに真っ赤なサイドミラーに「TURBO RS」デカールにブラックアウトされたBピラー。これらはすべて標準装備なのだ。 インテリアにも専用装備が満載インテリアも赤いステッチの入った本革ステアリングはもちろん、ステッチ入りの専用ファブリックシートや運転席シートヒーター(4WDモデルは助手席も)、赤黒の鮮やかなシフトブーツにエアコン吹き出し口、メッキのドアハンドルにピアノブラック調センターガーニッシュ&ドアアームレストと全部標準。正直、後付けパーツは7インチのナビゲーションぐらいだからビックリする。 本格スポーツ走行がしたい人なんかはバケットシートが欲しいだろうけど、それは自分好みを後付けした方がいい。とにかくこれで129万円!! とは全く思えない充実ぶりなのだ。 とはいえ走りは結構オトナかも?とはいえ走りは、昔のアルトワークスほど過激じゃない。座ってみるとシートは座面はもちろんシートバックも、ノーマルより厚めで形状的にホールド性が増している。が、本格バケットシートには負けるし、エンジン音もアイドリングからチューニング感ムキ出しの乾いた音色とはちと違う。快楽度は300万円級の輸入ホットハッチの比ではなく、足もカリカリに硬くなくて結構快適。ただし、ちゃんと追い込むとアンダーステアをキープしつつ、しっかり舵が効くところはさすがだけど。 一方、わざわざワゴンR用とは吸気システムとタービンを変えてまで高出力化したターボエンジンはなかなかの実力。ギアボックスにMTベースのAGS(オートギアシフト)を使う事もあって発進直後からダイレクトに加速し、ノーマル用AGSから変速ラグを約20%短縮したという専用セッティングもあって、ストレスなくシフトアップする。とはいえデュアルクラッチギアボックスほど素早くもない。 硬派は硬派でも平成の硬派それからFFで670kgの驚異の超軽量はやはり圧倒的で、Dレンジでゆっくり踏んで3000rpm、普通に踏むと4000rpmくらいまで引っ張る設定もあってかなり面白い。燃費走行する時にはマニュアルモードが必要になるくらいだ。 ただし、64psの自主規制を守っていることもあって底抜けのパワー感はなく、燃費もJC08モードで25.6km/Lとエコカー顔負けの効率だけにムダにガソリンを燃やしてる感もない。ハンドリングもBMW ミニ的なダイレクト感の味付けはなし。 つまり、同じイマドキの軽スポーツでもダイハツ コペンやホンダ S660のように「とても軽とは思えない」クラスレス感はなく、俺は軽として勝負する! ってな昭和臭がプンプン匂う出来なのだが、走り味は予想以上にクールでクレバー。オザワ的には、見た目シックなシブ目仕様があったらそれなりに魅力的かも? などと思ったくらいなのだ。 硬派は硬派でも平成の硬派って感じなんでしょうかねぇ? スペック【 アルト ターボRS 】 |
GMT+9, 2025-4-30 20:40 , Processed in 0.082028 second(s), 18 queries .
Powered by Discuz! X3.5
© 2001-2025 BiteMe.jp .