日本は電気自動車で“出遅れている”わけではない「日本の自動車社会は電気自動車(EV)に出遅れている」といった定番の批判があります。たしかに、日本の新車販売におけるEV比率は2%台と非常にニッチなカテゴリーとなっています。欧州で約15%、中国では20%を超えるEV販売比率と比べると、まだまだ少ないのは事実です。 とはいえ“出遅れている”という批判について賛同しかねると思っているクルマ好きは少なくないでしょう。歴史的にみるとEVの量産において日本車は世界でも早いほうだったからです。事実、世界初の量産EVといえるのは軽自動車の「三菱 アイミーブ」ですし、グローバルモデル初の量産EVは「日産 リーフ」と考えるのが一般的です。 >>フォトギャラリーで初代リーフやアイミーブを見る 初代リーフの誕生は2010年のことでした。初期モデルのバッテリー総電力量は24kWhと2020年代のスタンダードからすると非常に少ないもので、一充電航続距離もJC08モードで200kmに過ぎず、Cセグメントの立派なボディながら、短距離モビリティというキャラクターでした。後期型ではバッテリー総電力量30kWhのグレードも設定されましたが、それでも一充電航続距離は280kmに留まります。 >>リーフ(現行モデル)の価格や画像はこちら 「もっと実用的なEVが欲しい」というユーザーの声に応え、2017年にリーフは2代目へフルモデルチェンジします。丸っぽいイメージだった初代のフロントマスクからシャープな顔つきに変わりましたが、基本となるプラットフォームはキャリーオーバー。 バッテリー総電力量は40kWhに増量され、一充電航続距離はJC08モードで400kmへと伸びました(WLTCモードでは322km)。さらに先進運転支援システム「プロパイロット」も備えるなど車格にふさわしい走行性能を手に入れたことで評価を高めます。 2019年には62kWhのバッテリーを積んだ「リーフe+」が追加されます。WLTCモードでの一充電航続距離は458km、同時にモーター最高出力も40kWh車の150馬力から218馬力にアップしたことで、実用性が大幅に向上したことが話題となりました。その後、e+のバッテリーは60kWhに仕様変更され、一充電航続距離も450kmとなりました。 あらためて整理すれば、現行のリーフは40kWhの標準車と60kWhのe+というラインナップになっています。WLTCモードでの一充電航続距離は、前者が322km、後者が450kmですから実用上の問題はないといえるでしょう。とはいえ、世界的なEVトレンドによって、どんどんフレッシュな競合モデルが出てくる中で、2017年のモデルチェンジ時から大きく変わっていないルックスや使い勝手について大幅な進化が必要な時期になっています。 >>日産サクラがBEV国内販売No.1を獲得! 支持される理由は? 購入には注意点も 次期型リーフの電池容量は大きく変わらない可能性というわけで、2024年~2025年あたりにリーフが3代目へ進化、フルモデルチェンジを果たすという、まことしやかなウワサが聞こえてきます。 はたして次期リーフはどのようなクルマになるのでしょうか? 初代から2代目へのフルモデルチェンジ、それぞれの改良ポイントを振り返れば一目瞭然ですが、リーフの進化は搭載するバッテリーを増やし、航続距離を伸ばすというものでした。当然ながら3代目も同様の進化を遂げると考える人は多いでしょう。 >>フォトギャラリーで初代リーフやアイミーブを見る しかし、そうとは言い切れません。 先日、日産とホンダが戦略的パートナーシップについて検討を開始したことを発表しましたが、その狙いのひとつにバッテリーなどEVに欠かせないコンポーネントの調達力を上げることが指摘されています。ユーザーからするとバッテリーを大量に積んだEVにすれば商品力は上がると考えてしまいますが、バッテリーの調達でホンダと手を組む検討をすることからもわかるように、バッテリーは制限なく手に入るものではありません。むしろ、限られたバッテリーリソースを有効活用することが求められるといえます。 ですから、次期リーフが単純にバッテリー搭載量を増やせるかといえば、非常に疑問です。また、初代リーフが登場した際には「10年後にはバッテリーの価格は大幅に下がるだろう」という楽観的な見方もありましたが、今のところEVでもっとも高価なコンポーネントであり続けています。バッテリー搭載量が、車両価格を大きく左右するわけです。 >>リーフ(現行モデル)の価格や画像はこちら 現在の技術トレンドのまま、次期リーフの価格帯が大きく変わらないとすると、バッテリー搭載量を増やすことは難しいといえるでしょう。むしろ自宅での普通充電を前提にすると、6kW充電に8時間つないで満充電になる50kWh前後のバッテリーが、毎日使うEVとしては適正という見方もあります。それでもEVの技術は日進月歩で進化しています。空力性能、駆動モーターや制御の進化などによって航続距離を伸ばすことは十分に期待できます。 3代目リーフがどのような姿・性能でいつ登場するのか、明確なことは言えませんが、EVの進化スピードを考えると、バッテリーや航続距離はもちろん、走りやパッケージ、先進安全技術も大きく進化するのは確実です。「待てるなら待ったほういい」と言えるのではないでしょうか。 (終わり) 写真:日産、三菱 >>日産サクラがBEV国内販売No.1を獲得! 支持される理由は? 購入には注意点も |
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