ゴルフを通した実力チェック----- 言うまでもなく、ゴルフというのはコースへ出てプレーを楽しんでいる間だけを指す言葉ではない。プレーの前後や合間にクラブハウスで仲間と食事をしたりくつろいだりするのもゴルフの重要な一部。その前にゴルフ場へ向かう朝のドライブからゴルフは始まっている。一日を振り返りながらドライブする時間はその日のゴルフの仕上げだ。 往復に使うクルマは、さすがにクラブやボールほどじゃないにせよ、ゴルフに欠かせぬ相棒だ。行きはできるだけ快適に、かつ気分よくドライブでき、プレーに備えさせてくれるようなクルマが望ましいし、帰りはやっぱり快適に、疲れた体をいたわってくれるようなクルマが好ましい。加えて、近頃はひとり一台でゴルフ場へ集合することが多くなったとはいえ、複数で乗り合わせることも多いだけに、居住性やユーティリティの高さも必要だ。 突き詰めると、優れたゴルファーズ・ヴィークルとは、いいとこどりの欲張りなクルマということになる。仲間を乗せてゴルフに行くというのは、ある意味で最高の試乗なのだ。今回試乗したのは、昨年復活したトヨタ・ハリアー。ハリアーというとハイブリッドの印象が強いが、この日は2Lガソリンエンジンを搭載したFWDの非ハイブリッドモデルを選択した。最もカジュアルなハリアーを試してみたかったからだ。 そして、今回は特別に月刊誌『ゴルフトゥデイ』のイメージガールユニット「GTバーディーズ」のメンバーである藤井晶子(あきちゃん)と能勢ひとみ(のせちゃん)にも協力してもらい、早朝、都内に集合して往復のインプレッションを手伝ってもらった。ところどころ彼女たちのハリアーに対する感想も交え、高めのテンションで報告したい。 見た目以上に“積める”SUVハリアーはその初代から、クロカン4WDから派生した無骨なSUVとは一線を画す洗練されたスタイルが自慢の元祖スタイリッシュ系SUVだ。スタイリッシュ系SUVのなかにはカッコを優先するあまり、ラゲッジスペースの容量が犠牲になっているモデルも多いが、本来SUVとはスポーツ・ユーテリティ・ヴィークルの略なんだから、本来はスポーティ(なルックス)だけでなく、ユーテリティも確保されていないとおかしい! という観点からハリアーのラゲッジスペースを厳しくチェック……するつもりだったが、チェックするまでもなかった。ハッチゲートを開けた瞬間「あ、これは入るわ」と一目瞭然だったからだ。広大なスペースが広がっていた。 実際にキャディバッグを積み込んでみた。まず1個目は真横に入れられる。実はこのクラスのSUVやセダン/ワゴンでも、真横にバッグを入れられるクルマは珍しい。2個目、3個目も楽に積み込むことができた。今回のバッグは大きなツアーバッグ2個とスタンド式1個の組み合わせだったので3個にとどめたが、最近流行りの細身のバッグなどであれば、4個積み込むこともできるだろう。 また、この日はゴルフクラブ入りのバッグ3個とは別にクラブの入っていない撮影用バッグを2個用意していたのだが、多少後方視界を遮りながらではあるものの、これらも積み込むことができた。ハリアーの積載性は見た目から想像するよりずっと優秀だ。クルマに詳しい読者は「ハイブリッドじゃないからだろ?」というかもしれないが、ハリアーの場合、ハイブリッドも非ハイブリッドもラゲッジスペースの広さ自体は456リッターと変わらない。またラゲッジ床下にも収納スペースがあって、シューズなどを積める。 というわけで、ハリアーは見た目以上に“積める”SUVだった。 イケメン・ルックで登場した3代目現行ハリアーは3代目となる。初代、2代目といずれもヒットした。2代目は購入者の27%が20代と、トヨタ車としては異例に若者の購入比率が高いクルマとしても知られた。続くモデルはレクサスRXとなって登場し、ハリアーは2代目が継続販売されていたが、RXに一本化するという販売戦略から12年に打ち切られた。だが、その後、トヨタに復活を望む声が多数寄せられた。レクサスは本格的なプレミアムブランドだけに、敷居も価格も高い。高級感はあるが、買い得感もあったハリアーの絶妙な位置づけのクルマを望む層も多いということだろう。 ひと目でハリアーとわかるイケメン・ルックで登場した3代目は、フラッグシップとして2.5L直4エンジン+モーターのハイブリッド4WDを設定する一方、2L直4エンジンとCVTを組み合わせたFWDおよび4WDというカジュアルな仕様も設定される。FWDであれば288万円~という値付けは、若者人気を意識してのことに違いない。 4人乗車、荷物満載、エアコンもフル回転茨城県笠間市の石岡ゴルフ倶楽部ウエストコースへ向けて早朝の都心を出発。2代目にも非ハイブリッド仕様はあったが、2.5Lエンジンを搭載していた。現行モデルは多少サイズダウンしているとはいえ、2Lエンジンのため、4人乗車と人数分の荷物を載せて元気よく走らせるのは難しいだろうと予想していた。まぁ、せっかく車内にあきちゃんとのせちゃんが乗っているんだから、のんびり楽しく走ればいいやと思っていた。 それがガラガラの首都高に乗り入れるとどうだ。特別にエンジン音をうならせるでもなく、合流で鋭い加速を見せるではないか。女性陣が気を使って「すごーい」なんて言っちゃうもんだから、調子に乗って直線でさらに右足に力が入ってしまったりもしたが、その後は特に褒め言葉もなかったので理性を取り戻す。 それにしても実用域でのトルクが豊かなので、CVTがエンジン回転数を低いゾーンにとどめ、その結果、静粛性が高い。4人乗車、荷物満載、30℃台後半の気温でエアコンはフル回転という高い負荷をかけた状態でも、動力性能や静粛性の面で不満を感じる場面はない。 ハイブリッドを恋しく思ったものの…高速を下りて一般道へ。ゴルフ場へ向かうルートでは、たいてい最後の最後にゴルフ場への取り付け道があって、右へ左へとワインディングロードを駆け上がる場面が出てくる。距離としては長くても1~2kmのものなのだが、到着直前、あるいは帰路の最初の場面ということもあるのか、この取り付け道での挙動がクルマの印象を決める上で重要なカギをもっている。 ハリアーはその取り付け道を難なく通過する。SUVではあるが、決して腰高感を感じさせる乗り味ではないので、セダン同様の安心感でコーナーを走らせることができるのは立派。登りが一番強い区間に差しかかった時に限って「こんなときにモーターアシストがあればな……」とハイブリッドを恋しく思ったが、ぜいたくを言えばキリがない。 疲労度の少ないハリアーのおかげか、この日のラウンドはなかなかうまくいった。朝のドライブが、ラウンドの少なくとも前半数ホールの出来に与える影響は小さくないと思う。到着時に疲れてしまうクルマは論外として、ホット過ぎる性格のクルマによってあまりに気分が高揚した状態で到着するのもよくない。快適かつほどよくスポーティという頃合いがちょうどいいのだろう。 なかなかのゴルファーズ・ヴィークルっぷり帰路はハイテクデバイスを活用する。この日のテスト車は「エレガンス」というグレードだったが、オプションでブレーキ制御付きレーダークルーズコントロールがついていた。設定速度を100km/h、前方車両との車間を中間にセットし、ステアリング操作に集中する。いつでもペダル操作できるようにはしながらも、足をリラックスさせられるのはありがたい。このオプションはミリ波レーダー方式のプリクラッシュセーフティーシステム、インテリジェントクリアランスソナーとセットで13万6080円。快適性の面からも安全性の面からも強く装着をオススメしたい。 帰路、リアシートのガールズにもハリアーの感想を尋ねてみた。あきちゃんは「高級感がありますね。後ろも広くてくつろげます」とご満悦。また、レースクイーンとしてサーキットへ通い、さまざまなクルマに乗車する機会のあるのせちゃんも「かなりイイ線いってると思います。静かだし」と気に入った様子だ。 288万円と同グレードのハイブリッド版よりも約90万円安というリーズナブルさがあり、必要十分の動力性能を備え、アイドリングストップが付いてJC08モード16.0km/Lと燃費も納得でき、静粛性が高く、積載能力も高い。そして女子の好感度も高い。ハリアー、なかなかのゴルファーズ・ヴィークルっぷりじゃないか。 ----- 主要スペック【 ハリアー ELEGANCE(ガソリン車・2WD)】 ■OP装備 取材に協力してくれたGTバーディーズ【 藤井晶子(あきちゃん):写真右 】 【 能勢ひとみ(のせちゃん):写真左 】 |
GMT+9, 2025-4-30 18:40 , Processed in 0.132110 second(s), 18 queries .
Powered by Discuz! X3.5
© 2001-2025 BiteMe.jp .