30周年の節目9月7日、茨城県の筑波サーキットにて「第30回 メディア対抗ロードスター4時間耐久レース(以下、4耐)」が開催されました。 4耐は、クルマの走る楽しさを伝えるべく、普段は取材する側のメディア自らがチームを組み、意地とプライドを賭けて激突するレースで、初代ロードスターが発売された1989年から、筑波サーキットを舞台に毎年開催。今回は30回目の節目の年を迎える伝統のレースです。 車両は、4耐のために特別に仕立てられたマツダ「ロードスター」。エンジン、ミッション、排気系はノーマルながら、専用ロールバーやビルシュタイン製の車高調整機構付きダンパー、専用ブレーキパッド(エンドレス製)やバケットシート(ブリッド製)、FIA公認レーシングハーネス(クスコ製)など、4時間の長丁場を戦い抜くための装備が盛り込まれています。 各チームに割り当てられるマシンは、マツダがきっちりとメンテナンスを行い、イコールコンディションを保った状態で各チームに貸し出されます。エンジンオイルとギアオイルはガルフ製で、タイヤはブリヂストン「ポテンザ アドレナリン RE003」のワンメイク。朝の練習走行から決勝まで1セットのみ使用が許されています。 「メディア対抗」の名が付いているとはいえ、4耐はれっきとしたJAF公認レース。ドライバーは国内A級ライセンスが必要で、ヘルメットやレーシングスーツ、グローブやシューズに加え、今年からはソックスも耐火性が認められたFIA2000規格をパスしたものを使用することが義務付けられました。クラッシュ時の衝撃から頭部や頸椎を保護するHANSデバイスも必須で、参加者は文字通り本気でレースに挑みます。 今年はMORIZOこと豊田章男社長も参戦各チームは、自動車専門紙からWeb媒体、テレビ、ラジオなどバラエティ豊かなメディアが参戦。各チーム、編集部員の参加がマストですが、各媒体にゆかりのあるジャーナリストや助っ人レーサーの起用も許されています。 今年最も話題となったのが、「MORIZO」ことトヨタ自動車の社長である豊田章男氏が、「トヨタイムズ(チーム名はROOKIE RACING)」の一員として参戦したことです。豊田社長はレース前、以前から4耐に出たいと思っていたと胸の内を告白。マツダの丸本社長の誘いで、メーカーの垣根を越えたサプライズ参戦が実現したようです。 また、自動車ジャーナリストで自動車系ユーチューバーとして活躍中の河口まなぶさんが、今年は自身のYoutubeチャンネルである「LOVE CARS! TV!」の名でチームを結成。生配信を行い視聴者に参加してもらうなど、30周年ならではの新たな取り組みも目立つ年となりました。 そんな中、カービューは今年も、参加者全員が社員のみという純粋なサラリーマンチーム。これまで11年の長きに渡りカービューチームを支え、優勝経験もあるヤマモト監督がいったん休養となりましたが、ドライバーラインアップはウダガワ、マツオ、イワダテ、ハシモト、ノグチと、一昨年の表彰台獲得メンバー。「目指せ、表彰台!」を合言葉にレース当日を迎えます。 4耐のルールとは?ここで簡単に4耐のルールのおさらいです。ドライバーは1チーム4~5名で、副編集長以上もしくは女性ドライバーを含めることが必須です。また、過去10年以内に主要レースで入賞経験がある助っ人は1名まで起用することができます。 1ドライバーの連続運転時間は50分までで、ガソリン使用可能量は60リットル(満タン40リットル+給油20リットル)。当然4時間のレースを終始全開で走るわけにはいかず、いかに燃費を抑えつつ速く走るかがポイントで、このルールこそが4耐で数々のドラマを生み、サラリーマンの集まりであるカービューチームが上位進出できるカギとななります。 レース当日の筑波は、9月に入ったとはいえ30℃を超える真夏日。強い日差しと地面からの照り返しで、立っているだけで汗が噴き出す灼熱地獄がマシンとドライバーを苦しめます。 迎えた予選。編集長であるウダガワがコースイン。なかなかクリアラップが取れず、自身のミスも重なり12番手で終えました。圧巻だったのが#74の「REVSPEEDロードスター」。「ロードスターパーティレース」のシリーズチャンピオンであり、ロードスターの世界戦「グローバルMX-5カップ」で優勝経験もある堤優威選手が、2位に0.4秒ほどの大差をつける1分11秒066でポールポジションを獲得しました。1周2kmの短い筑波でこのタイム差とは、さすがロードスターの使い手、恐るべしです。 サイン入りTシャツを1名様にプレゼント!この日は30回記念大会ということもあり、参加者だけでなくサーキットに来場した一般ユーザーもレースを楽しめるよう「メディア4耐おもてなし企画」が予選後に行われました。 各チームは、ピット前にマシンを並べ様々な企画を用意。カービューチームも、今年は自社が運営する自動車専門SNS「みんカラ」が15周年を迎え、新たに「サーキット」という全国のサーキット情報が探せるコンテンツを公開。これを記念したTシャツとステッカー、クリアファイルが来場者に配られました。 なかでもサーキットのコースを模した「み」のTシャツは、非売品ということもあって大人気! おもてなし企画の途中に配布終了となる盛況ぶりでした。当日カービュースタッフがMORIZO選手こと豊田章男社長や著名自動車ジャーナリストのサインをゲットすることに成功! この貴重なサイン入りTシャツが欲しい方は、みんカラのプレゼント企画をぜひチェックしてみてください。 いよいよ決勝! 早くもピンチが…!いよいよ決勝。日が西に傾き始めた午後4時きっかりにレースがスタートします。今年は1時間賞、2時間賞、3時間賞という各時点のトップチームに賞典が用意されているためか、スタート後のペースが例年よりも速く、これにスタートドライバーであるウダガワが惑わされました。他車にペースを乱され、想定以上に燃料を使ってしまいます。 第2ドライバーであるイワダテと第3ドライバーのマツオは順調に周回を重ねていきます。他チームのピットストップハンデも相まって終始5番手以内を走行。「このまま行けば表彰台!」そんな楽観的な雰囲気がピット内に漂う中、燃費計算をするタブチの顔が次第に険しくなっていきます。 「このままだと燃料が足りない…」 周回ペースは悪くないのですが、回転数を縛ってもなかなか燃費が改善しません。タブチの計算だと、残り15分で燃料が底をつきます。 早くも大ピンチ。どうするカービューチーム!? カービューチームは無事ゴールできるのか?カービューチームは第4ドライバーのノグチに代わるタイミングで給油を行うが、ここでもアクシデントが! 給油中に燃料をこぼしてしまったのです! 暗がりの中、ヘルメットを被った状態で手には耐火性グローブ。給油できているかどうかの判断が難しく、ノズルを引き上げた瞬間、コップ1杯ほどの燃料をこぼしてしまいました。幸い大事故にはつながらなかったものの、給油完了にも時間がかかり大幅にタイムロスしてコースに復帰します。 ただでさえ燃料が厳しい上にタイムロス。ピットに不穏な空気が漂います。そこに追い打ちをかけるように、ピットアウトした直後の1コーナーで、後ろから走ってきたマシンが強引に追い越しを仕掛けてきたため左前をヒット。幸い走行には問題ないものの、負の連鎖が重なり、重く嫌なムードがチームを包み込んでいきます…。 残り40分で最終走者のハシモトにバトンが渡される。 ハシモトが走り出しておよそ5分、燃料系のランプが点灯。やむなく回転数をさらに落とし燃料をセーブします。ここで他チームはエース級のドライバーが残った燃料を使い猛然とスパート。一方のハシモトは回転数を抑えているためスピードが上がりません。夜の帳が降りた暗闇のサーキットで、後ろから迫るヘッドライトにビクビクしながら何とか周回を重ねていきます。 残り20分。燃料系の針が底を指します。1台、また1台と燃料が尽きたマシンが、まるで屍のようにコース脇に止まっていきます。 そしてチェッカー。高速道路よりもゆっくりとしたペースで何とかゴールラインへとたどり着くカービューチーム。タブチの計算では、燃料使用量が60リットルを超えていました。まさにギリギリの状態。結果は15位という、かつてないほどの惨敗となってしまいました。 30周年の感謝とレースの面白さ1位はDJであるピストン西沢さん率いる#813の「J-waveポテンザロードスター」。2014年から数えて6回中3回レースを制覇する安定した強さが光っていました。 注目のトヨタイムズはトップから6秒遅れの2位表彰台。惜しくも優勝とはならなかったが、初参戦にも関わらず、前半はペースを抑え後半スパートをかけるレース巧者ぶりを発揮し、会場を大いに盛り上げました。 3位には#100の「LOVE CARS! TV!」、4位にはマツダの社内チームである#12「人馬一体ロードスター」、5位には本レースの協賛企業で構成された#30「サポートカンパニーズ・ロードスター」、6位には#1「ザ・モーターウィークリーロードスター」が入り、30回を迎え、新たな時代の到来を予感させる新顔の多い表彰台ラインアップとなりました。 「給油でのロスがなければ…」 「もう少し燃費をセーブしておけば…」 レースに「たられば」は存在しません。カービューチームの2019年は、残念ながら悔しい結果に終わってしまいました。しかし、仲間と一緒に1つの目標へと向かって走るのは楽しく、そして何よりも、メーカー、関係者、参加者、そしてクルマを楽しむユーザーがいて初めて成り立っていることを改めて実感するレースでした。 |
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