やはり前回割れ。東京MSはメーカーにとっても価値が薄いのか?今、まさに開催中の東京モーターショー、まだ細かな数字については情報を持っていないが、開幕から数日の数字を見る限り、入場者数は前回を下回るペースのようだ。確かに事前に予想はされていた。天候も良くなかった。けれど、やはり寂しい話であることは間違いない。 とはいえ、理由はいくつも考えられる。世間はクルマ離れで…なんてありきたりのことを言うつもりはないが、クルマ好きにとってみても今回の東京モーターショー、まず海外メーカーの参加が更に減ってしまった。とりわけ、日本との縁が深かったはずのMINIが、前回ここで新型MINIのワールドプレミアを行なったにもかかわらず不参加となったのは、個人的にとてもショックなことだった。 それも世界の中での東京モーターショーの、あるいは日本市場のプレゼンスが下がっている以上は致し方ないところだろう。しかしながら今回改めて感じたのは、東京に限らずモーターショーというコンテンツ自体が、自動車メーカーにとって魅力的なものでなくなりつつあるのではないかということだ。それは、お膝元である日本メーカーにとってすらも。 プレスデー初日に行なわれたトヨタ自動車のプレスカンファレンスに、豊田章男社長が現れず、ディディエ・リロワ副社長が英語でスピーチを行なったのは、それを象徴していたように思う。しかも豊田社長は、プレスデー前々日の「JPN TAXI」の発表会に顔を出し、この週末にはMEGA WEBにて"We Love Cars"と題したイベントを開催。そこで、一般観覧者を前に、前回はプレスデーに登場したイチロー選手らとの対談などを行なった。 もはやモーターショーだけが、会社としての、あるいは社長としての発信を行なうのに適した場所ではない、ということだろう。独自のイベントで、あるいはインターネットを通じて、ファンに直接語りかける方が、メディアを通じてよりメッセージをダイレクトに伝えることができる。きっとそう考えたに違いない(ちなみに豊田社長はプレスデー2日目に会場を訪れ、各ブースを隈無く回っていた)。メディアのあり方を考えさせられる話だが、それは確かに一理ある。メディア側の人間が、そんなことを言っていいのか解らないけれど…。 自動車の変革期ならではの発信力、鑑賞力も問われている実はモーターショーの衰退は世界的な傾向でもある。9月にドイツで行なわれたフランクフルト モーターショーも、ニッサンやプジョーなどは参加していなかったし、ワールドプレミアが行なわれたのもドイツ勢だけだった。 その意味で言えば、トヨタの今回の東京モーターショーへの対応は、時流をよく見ているなというところだろう。けれど、やはり寂しさを覚えるのは、モーターショーにはモーターショーの価値が、まだあるはずだと思うからである。 マツダのコンセプトカーを観に行ったつもりが、一番インパクトがあったのはBMWの新型車だった、みたいな予想もしなかった出会いが起きるのは、多くのメーカーが集う場だからだ。ターゲットを絞った発信では、それが音楽配信とCDショップの関係のように、あるいはウェブの記事と新聞、雑誌の関係のように、届けたい人には確実にメッセージを発信できるが、一方で意図していないところまで響かせること、偶然の出会いみたいなことは起こりにくいのも事実のはずだ。 逆に言えば、モーターショーの未来を左右するのは、そうした部分を強化していくことができるかどうか、かもしれない。いわば編集力である。行きたくなるようなストーリー、思いもよらない出会いへと導く動線があれば…というところだが、そのためには強力なプロデューサーが必要だ。正直、果たして東京モーターショーにそれを期待できるのか…。 逆説的ではあるが、皆さんには是非、そんな変革期にある東京モーターショー、観に行ってほしい。そして得たいろいろな意見をSNSなり何なりで発信していただき、それらをマッシュアップして、新しいモーターショーのかたちを作っていく。発信側が変化してきたように、受け手もそうやって変化していけば、何か新しいものをまだ生み出せるのではないかと期待しているのだが、いかがだろう? 今週末は3連休。時間があれば、是非出かけてみてほしい。私も再度、訪れるつもりでいる。 |
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