日本のマイナーなレトロスポーツカーが注目され始めている春にフロリダのアメリアアイランド、夏に西海岸のぺブルビーチでそれぞれ開催されるクラシックカーコンテストはアメリカのみならず世界各国から注目されている大イベントである。私がこれまで取材した経験から言えばアメリアアイランドはぺブルビーチと比べるとやや庶民的な雰囲気を感じる。 とは言え並行して開催されているオークションでは今年、タルボ・ラーゴ・ティアドロップT15-C-SSが1242万ドル(約16億円)、さらにシェルビー トヨタ2000GTは253万5000ドル(約3億3000万円)と、我々一般庶民の金銭感覚を超える取引が行われている。コンクールの内容もトップクラスで、今年の大賞は1934年のデューゼンバーグ・コンバーチブル・クーペだった。 そして前述したシェルビーによって仕立てられた特別な2000GTに見られるように、近年、日本製の古いスポーツカーが注目されるようになってきた。 数々の和製ノスタルジックモデルが集結今年のアメリアアイランド・コンテストの公式カタログにも「日本のレアスポーツカー」と題した特集が組まれ、「トヨタ 2000GT」はもちろん、ここ数年注目されている「日産 スカイライン GT-R」「ダットサン フェアレディZ」「ホンダ S600」「トヨタ S800」に並んで「日野 コンテッサクーペ」や「いすゞ ベレットGTR」「マツダ コスモスポーツ」などが取り上げられている。 >>新型日産 フェアレディZのカタログ情報をチェックしてみる 驚いたのはザ・リッツ・カールトンのゴルフコースを使った展示会場に、米国でヒットした「ダットサン フェアレディZ」はもちろん、ここ数年北米に多く輸出されている「スカイライン GT-R」(R34)、「トヨタ スープラ」(ただし右ハンドルの日本仕様)、「MR2」、「S800」(左ハンドルの沖縄仕様)などのトヨタ勢や、「ホンダ S600クーぺ」、「ホンダ CR-X」などの常連が並んでいたのだ。 >>現行型トヨタ スープラのカタログ情報をチェックしてみる それだけはない。時間が経つにつれて「日産 フィガロ」、「ミツビシ FTO」、「ベレット GTR」「シビック35XTセダン無限仕様」、「ダイハツ ミラTR-XX アバンツァートR」などというカルトなクルマまでが並んだ。 >>現行型ホンダ シビックのカタログ情報をチェックしてみる 1995年製のこのダイハツ ミラには放射線量測定済のステッカーが貼られており、日本を離れたのは2011年直後だと思われる。残念なことに装着されている怪しげな日本風ナンバープレートから分かるように、エンジンルームには後付けの社外ターボやエアクリーナーなどが組み込まれ、オリジナルを保っているとは言い難く、ボディやインテリアのコンディションも決して良い状態ではなかった。 日本車が注目されたきっかけはワイルドスピードこれまで一般の日本車は消費財という扱いがなされてきたが、2000年に入って映画「ワイルドスピード」に「スカイライン GT-R」や「アキュラ インテグラ」「トヨタ スープラ」「ミツビシ エクリプス」「マツダ RX-7 」「スバル インプレッサSTI」などのスポーティカーが登場して以来、カルトな存在として見られるようになった。 >>現行型 スバル WRX S4のカタログ情報をチェックしてみる それでも残念ながら“消費財的”な使われ方がほとんどで、オーナーが変わるごとに改造され、オリジナルを求める「クラシック」な存在にはなれなかった。現在でも北米で見られる多くの和製スポーツカーは見るも無残な状態である。こうしたクルマの多くは消滅してしまうだろうが、それでも今回のコンクールに持ち込まれたモデルは、工業的文化遺産として長く語り継がれるに違いないし、そうありたいと願うばかりである。 取材の足となったのは2001年製の「BMW Z3Mクーペ」今年のアメリアアイランドにはBMWM社の50周年を祝うイベントで2001年製の「Z3Mクーペ」を駆ってBMW北米工場のあるスパータンバーグから600kmのグランドツーリングを敢行した。 実はこのZ3Mクーペにはちょっとした思い入れがあった。私は昔からシューティングブレーク風のスポーツクーペが好きで「MGB GT」や「S600クーペ」を所有していたことがあった。Z3Mは「運動靴」と揶揄されるほどカッコウが悪かったのだが、それでも私は気に入って購入を考えていたところ、貯金をしている4年間に生産が中止されてしまったのだ。 ラグナセカブルーの試乗車は私が欲しかった色で、オドメーターはわずか9000マイルと状態が素晴らしかった。さすがにETCやナビは装備されておらず、まさにノーコネクテッドで何度か道に迷ったが、3.2リッター直列6気筒325馬力と354Nmを発生するS54スポーツエンジンは、自然吸気ならではのパワー特性で私を終始ワクワクさせてくれた。 もちろんノントラブルでゴールイン、無事トランスポーターで博物館へ戻っていったが、後ろ髪を引かれる思いで一杯であった。 >>BMW 2シリーズ クーペのカタログ情報をチェックしてみる |
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