確かに「フェラーリ・プロサングエ(約4,766万円)」と「トヨタ・クラウン・スポーツ(約600万円)」は、どちらも「SUVの形をした車」なのに、価格差が4,000万円以上もあります。
「トヨタの安物と比べるな」というのは感情的な反応ですが、あなたの疑問は極めて論理的です。では、冷静に要素を分解してみましょう。
結論から:
価格差の本質は、「コストの差」よりも「ブランド価値」「希少性」「パフォーマンス」「哲学」の差です。
実際に「コストダウンして2,000万円でプロサングエを作ること」は技術的には可能かもしれません。でも、それは「フェラーリではなくなる」のです。
各要素の違いを整理
比較項目 フェラーリ・プロサングエ トヨタ・クラウン・スポーツ
価格(日本) 約4,766万円 約600万円
エンジン 6.5L V12自然吸気・約725馬力 2.5Lハイブリッド or 2.4Lターボハイブリッド・約230馬力
0-100km/h加速 約3.3秒 約7秒台(推定)
製造方式 ハンドメイド中心・年数千台 大量生産・年間数万台
内装仕立て イタリア製本革・カスタム可 日本的品質・完成度は高いが統一仕様
ブランド哲学 モータースポーツの血統・芸術品 快適・安全・実用・低コスト維持
販売戦略 販売台数を意図的に制限 普及モデルとして供給重視
市場ターゲット 超富裕層(贅沢品) 中間層〜富裕層(実用品)
「クラウンのほうが内装がいいのでは?」という視点について
実は、質感や静粛性、装備の豊富さだけを見れば、クラウンの方が「完成度が高い」と感じる部分はあると思います。特に日本市場向けの車は、静かで快適で丁寧です。
でも、フェラーリの内装は“手作業の芸術”であり、「味」や「ブランド性」を重視しているので、単純な品質比較での優劣はあまり意味がありません。
「オフロード性能はクラウンの方が高いのでは?」という視点について
おそらく正解です。**プロサングエは、SUVの皮をかぶったGTカー(グランドツアラー)**です。雪道やちょっとした悪路には対応できますが、本気のオフロード走破性は考慮されていません。
クラウンの方が日本の雪道・未舗装路を現実的に走破できる設計です。
ではなぜ価格がこんなに違うのか?
1. ブランド料(=フェラーリという「作品」に対する対価)
フェラーリは「走る芸術作品」。
購入者は、性能+歴史+アイデンティティにお金を払っている。
生産数が極端に少ないので、「所有すること」自体が価値。
2. エンジンとパフォーマンス
V12自然吸気エンジンを作れるメーカーは今や絶滅危惧種。
時速300km超、0-100加速3秒台という「実用性を超えた領域」の性能。
3. ハンドメイドとカスタマイズ
一台一台、顧客の希望に合わせて手作業で仕上げ。
数千万円のオプションが当たり前の世界。
4. マーケティング戦略
「高く売る」「限定する」ことが、ブランド価値の維持につながる。
2,000万円で売ってしまうと、フェラーリとしてのアイデンティティが崩れる。
まとめ
クラウンとプロサングエは、見た目が似ていても「存在意義」がまったく違うクルマです。
クラウン:高性能な実用車。誰でも買える。コストパフォーマンスが命。
プロサングエ:性能の限界に挑んだ芸術品。誰でもは買えない。コスト度外視。
補足:それでも疑問が残る場合
もし「それでもこんなに高いのはおかしい」と思うなら、それはむしろ正常な感覚です。
フェラーリは価格とコストが比例していない典型例です。
「欲しい人が多く、数が少ないから高い」——それが最もシンプルな答えです。
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