>双方にとって、何のメリットがあるのでしょうか?
ダイハツにとっては「自分たちが生産した車を, 他のディーラーが販売してくれる」というのがメリットになる.
例えば「トヨタ・ライズ」は「ダイハツ・ロッキー」のOEMというのは有名だと思うが, 2021年度の新車販売台数ではライズが約8万2000台, ロッキーは約2万2000台と4倍近い差がある.
つまり「ダイハツが生産してダイハツのお店で売る」よりも「ダイハツが生産してトヨタのお店で売る」ほうがたくさん売れるし, しかもテレビCMとかもトヨタがやってくれる. トヨタがライズを宣伝しまくってたくさん販売すればするほど, "ダイハツの車"が売れていくわけで, これならトヨタでも売ってもらったほうが儲かる.
もちろんトヨタには供給せず, ダイハツでしか売らないようにすればロッキーの販売台数は増えるかもしれないが, そもそもトヨタとダイハツとでは国内に存在するディーラーの数が違いすぎる. 圧倒的に多いトヨタのディーラーで売ってもらうほうがトータルでは販売台数は多くなる.
一方でダイハツ製の車を販売するトヨタにもメリットはある. 例えばライズ・ロッキーのようなコンパクトなSUVっていうのは日本ではずごい需要があるが, 海外ではあまりない(地域にもよるが).
だからトヨタとしてはランドクルーザーとかクラウンとかアルファードのような海外で(国内でも)売れる車の開発や生産に注力したいが, かといってコンパクトカーを売らないわけにはいかない.
特に, 今まで贔屓にしてくれてた客が「コンパクトカーを売ってないならよそのディーラーに行く」となるとディーラーが困る. 車を買ってくれないだけでなく, 以降メンテナンスも自分とこでやってくれなくなってしまう.
そこで「ダイハツに車を作らせてそれをトヨタブランドで売る」というやり方をする. これならトヨタは楽だし, ディーラーも困らない.
>消費者は他メーカーの別名の商品と同じことに気付いてないのでしょうか?
例えば自動車メーカーのスバルやマツダは, かつては軽自動車を自分たちで設計製造していたが, 今はそれぞれダイハツ・スズキのOEMを販売している.
そもそもスバルやマツダのディーラーであえて軽自動車を買う人っていうのは「昔からの付き合いでそのスバル・マツダのディーラーで車を買っているが, 色々事情があって今回は軽自動車を買いたい」という人たち.
(例えばスバルの「ステラ」はダイハツ・ムーヴのOEMだが)「ムーヴと同じクルマが(馴染みの)スバルのディーラーでも売っているならそこで買う」という人もいる. ダイハツのムーヴと同じ車だが, 逆に言うと(性能的に)ムーブで困らないというなら馴染みのスバルのディーラーで買う. |