ハイエースこそEVに向いている2018年にゼロエミッション車(ZEV)の企画・開発、生産ラインの設計などを担う社内カンパニーのトヨタZEVファクトリーを発足させているトヨタ。その成果はe-TNGA採用の量産SUVである「bZ4X」の発売や、「C+pod(シーポッド)」をはじめとする小型モビリティのラインナップ充実に見ることができます。 >>bZ4Xってどんなクルマ? 価格やスペック情報はこちら トヨタZEVファクトリーの取り組みは車両の開発だけに留まらず、EV普及を念頭に入れたビジネスモデルの構築も担当。「bZ4X」をKINTOでの取り扱いに限定しているところが最たる例ですが、車両をリース販売した後、数年後に車両やバッテリーの状態を査定し、再び中古車として流通させたり、バッテリーのリユースやリサイクルに結びつけることで、まずはグローバルでBEVの台数を増やしていくロードマップを描いています。 本来、そうしたリースを軸にした販売・回収・再流通というビジネスライクなクルマとの付き合い方は、乗用車よりも商用車に向いているはず。まずはBEVの台数を普及させるのが先決という目的においても、大口需要家が存在する商用車の方が合致しそうです。また、実際の運行面でも常に決まったルートを走り、営業所に戻ってきたら充電するという使い方ができる商用車は、BEVに置き換えやすい側面がありそうです。 そしてトヨタの商用車といえば、なんといっても「ハイエース」でしょう。日本国内向けの現行ハイエースは2004年にデビューしたH200系。座席の下にエンジンを搭載するキャブオーバータイプを頑なに守り、20年近い歴史を重ねてきました。 >>ハイエースってどんなクルマ? 価格やスペック情報はこちら トヨタも販売するセミボンネットの商用車とは?海外向けにはTNGAプラットフォームをベースに、車体前方にエンジンを搭載するセミボンネットタイプとしたH300系が2019年から登場。日本にも「グランエース」として導入されていますが、あくまでH200系ハイエースとは棲み分けされています。 >>グランエースってどんなクルマ? 価格やスペック情報はこちら また、LCV(ライトコマーシャルビークル)のEV化が急ピッチで進んでいる欧州では、商用の「プロエース」および乗用の「プロエース・ヴァーソ」にBEVを設定。搭載されるリチウムイオンバッテリーは50kWhと75kWhから選択可能で、航続距離は前者が230km、後者が330kmを実現しています。 トヨタZEVファクトリーには、ハイエースの生産を担当するトヨタ車体も参画しており、次期型ハイエースも電動化を見据えた開発が進められているのは間違いありません。もしBEVだけではなく、共通の車台でハイブリッド車や燃料電池車といった複数のパワートレインを搭載可能なマルチプラットフォームを採用するなら、汎用性の低いキャブオーバーより、衝突安全性の面でも有利なセミボンネットタイプが選択されると考える方が自然ではないでしょうか。 <写真:セミボンネットスタイルを採用するプロエース ヴァーソ エレクトリック> 以上のような流れを整理すると、次期ハイエースがH300系や「プロエース」のようなセミボンネットタイプに集約される可能性はかなり高いと言えそうです。そうなると、フロントに電動アクスルを搭載する前輪駆動車を基本に、リヤにもe-Axle(イーアクスル)を搭載した4WDも用意することになるでしょう。 一方、従来のキャブオーバー型であるH200系の需要はいまなお堅調なのも事実で、カスタマイズなどのユーザーが独自に育んできた文化も豊か。コストパフォーマンスにも優れるため、仮に近い将来に新型ハイエースが登場しても、当面の間はH200系が併売されるというのが現実的な落とし所になるのではないでしょうか。 エネルギー密度が低く、コストが高く、儲からない。そう言われるBEVを、まずは採算度外視で普及させる。もし次期型ハイエースが電動化されてデビューすれば、トヨタのBEV戦略の行方を決める大きなターニングポイントになりそうです! >>ハイエースの中古車情報はこちら |
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