86を中古で楽しむという選択肢トヨタのFRスポーツカー「GR86」も発売からそろそろ1年が経過するということで、GR86の前身であるトヨタ「86」の中古車相場がずいぶんとこなれてきました。 具体的には2022年8月下旬現在、中古車の流通量はおおむね1700台で、平均価格は200万円強といったところですが、安いモノであれば80万円ぐらいから見つけることもできます。 300ps超の重量級スポーツカーとは異なる「身の丈に合った心地よいスポーツドライビング」が堪能できるトヨタ 86の中古車を程よい予算で手に入れ、日々の“移動”をスポーティで気の利いたものに変えてみるというのは、なかなか良いアイデアであるように思えます。 では今、もしもトヨタ 86の中古車を買うとしたら、何年式のどれを、いくらぐらいで探すのが正解なのでしょうか? 次章以降、もろもろ考えてみることにしましょう。 >>トヨタ86のスペック詳細はこちら 86の基本情報をおさらいまずはトヨタ 86というモデルについての簡単なおさらいから。トヨタ 86は、企画とデザインをトヨタが行い、スバルが開発実務を担当したFRスポーツカーとして、2012年2月に発表されました。 ボディサイズは全長4240mm×全幅1775mm×全高1300mm(アンテナ取り付け部15mm含む。ルーフ高は1285mm)で、乗車定員は4名。スバルが開発実務を担当したクルマではありますが、駆動方式はフルタイム4WDではなくFRです。 搭載エンジンは2Lの水平対向4気筒自然吸気で、スバル由来のブロックにトヨタの直噴システム「D-4S」を組み合わせています。徹底的なまでに低い位置に搭載された水平対向エンジンのスペックは最高出力200ps/7000rpm、最大トルク20.9kgm/6400~6600rpmという程よいもの。2名乗車時の前後重量配分は前53:後47です。 トランスミッションは6MTと6速ATの2種類で、コンベンショナルな3ペダル式6MTは1~3速にトリプルシンクロを採用する、シフトフィールにこだわったショートストロークタイプ。6速ATはシフトダウン時にエンジンを吹かして回転数を合わせるブリッピング機能を備えるほか、「ノーマル」「スポーツ」「スノー」といった走行モードをセレクトできます。サスペンションはフロントがマクファーソンストラットで、リアがダブルウィッシュボーンです。 >>トヨタ86のスペック詳細はこちら グレード構成は?グレード構成は、16インチホイールを履く標準グレードが「G」で、17インチホイールにアップグレードされた上級グレードが「GT」。そこに本革+アルカンターラの内装をプラスした最上級グレードが「GT“Limited”」です。 以上の3グレードが基本にはなりますが、カスタマイズベース車である「RC」というのも前期型では存在し、モデルライフの途中からは、専用の硬派なチューニングが施された「86 GR」なども追加されています。 デビューから約2年後の2014年4月には一部改良でサスペンションの仕様などが変更され、2016年7月にはマイナーチェンジを実施。このマイナーチェンジでは内外装デザインが微妙に変更されると同時にサスペンションの改良も行われ、さらに6MT車のエンジンは最高出力が200psから207psに増強されています。 以上のようなもろもろを経て、2021年10月に現行モデルである「GR86」へとフルモデルチェンジされた――というのが、トヨタ 86の大まかなヒストリーです。 ではさっそく、中古車に関する具体的なあれこれに入っていきましょう。 >>トヨタ86のスペック詳細はこちら 狙い目は総額130万~160万円まずは全体の状況から。2022年8月下旬現在、中古車の流通量は――冒頭付近でも申し上げましたが――約1700台で、モデル全体としての中古車価格は80万~550万円といったところ。 相場の上限が「550万円」というとずいぶん高く感じられますが、400万円以上の価格が付いている中古車は、ほとんどがスーパーチャージャー+ド派手なフルエアロなどに換装された個体や、TRDが手がけた100台限定のコンプリートカー「86 TRD 14R-60」などです。極端な改造やチューンがされていない一般的な個体だけで見ると、相場は「80万~350万円ぐらい」という数字に修正されます。 MT車とAT車の比率は5.5:4.5といったところ。FRスポーツカーですのでMT車の流通量のほうが多いは多いのですが、「圧倒的に多い」というほどではなく、全体の半分弱ぐらいはAT車です。価格もMT車のほうが高い傾向はありますが、そこにも大差はなく、「MT車のほうが若干高い」といった程度です。 全体の流通量を「前期型」と「後期型」で分けると、マイナーチェンジ前の前期型が約65%で、後期型が約35%。数が多くて探しやすいのは前期型ですが、後期型狙いでいくとしても「流通量が少なくて困る」ということは特にないレベルだと言えるでしょう。 >>トヨタ86のスペック詳細はこちら 悩ましいグレード選びお次は、モデル全体ではなく「個別の話」に入ってまいります。 まず、もしも「できるだけ手頃な価格で、具体的には100万円台半ばぐらいまでの総額で86が買いたい」と考えた場合のおすすめは、前期型のG(16インチホイールの標準グレード)またはGT(17インチホイールの上級グレード)です。これらの走行4万km台から5万km台ぐらいの物件を、総額130万~160万円あたりのゾーンで探してみてください。 その場合のトランスミッションは6速AT車が多めにはなりますが、6MT車も普通に探せます。また本革内装のGT“Limited”を同条件で探すこともできるのですが、こちらはこの価格帯だと流通量が少ないため、ここはシンプルにGまたはGTに絞って探すのが得策です。 その上で「標準のGにするか、上級グレードのGTにするか?」というのはなかなか難しい問題です。 この価格帯・この条件において流通量が多いのはGTであり(Gの3倍近くの数が流通しています)、GTはフロントのLEDフォグランプやリアもマフラーカッターもなかなかカッコよく、“走り”にこだわりたい人にとっては、GTでは標準装備となるトルセンLSDも魅力的でしょう。 しかしGTは17インチホイールのせいで乗り心地がいささか硬いため、「16インチホイールを履くGのほうがしなやかで好印象」という見方もあります。 このあたりの話に絶対的な正解はないため、やや玉虫色な言い草になってしまうのが心苦しいのですが、「スポーティかつややゴージャスな方向性がお好きなら、流通量の多いGTを探す」「シンプルでしなやかなニュアンスがお好きなら、流通量はやや少ないが、がんばってGを探す」という感じでお願いしたいと思います。 >>トヨタ86のスペック詳細はこちら 予算200万円で後期型も見えてくるもしも総額100万円台半ばまでではなく「総額200万円台の前半ぐらいまでなら出せるよ」というのであれば、狙い目は、内外装デザインだけでなくボディ剛性や足回りなどもぐっと良くなった2016年8月以降の「後期型」になります。 具体的には総額190万~240万円付近のゾーンで、走行2万km台から4万km台ぐらいのGまたはGTを探してみてください(この価格帯でも残念ながらGT“Limited”はやや少なめです)。 このぐらいの価格になってくると、車両は全体的にビッとしたコンディションである場合が多くなり、フルノーマルか、フルノーマルに近い状態の個体も探せるようになります。また6MT車と6速AT車の比率は、この価格帯ではおおむね同率になっていますので、どちらでもお好きなほうを選べばOKでしょう。 「スポーツカーは絶対MT!」という考え方もあるかもしれませんが、ブリッピング機能付きである86の6速ATもなかなかステキですので、柔軟に考えるべきかなとは思います。 このほかにも総額300万円以上を拠出すれば、かなり硬派な「86 GR」や「86 GR SPORT」を探すこともできますが、そのあたりの選択肢については各位の好みや価値観、あるいは予算感などにお任せしたいと思います。 いずれにしましてもトヨタ 86の中古車は流通量が豊富で、前期型であれば価格も手頃。そして特に壊れやすいクルマでもありませんし、仮に壊れた場合でも、直すための部品や各ショップの知見は非常に豊富です。そのため、スポーツカーというものに若干不慣れな人であっても比較的イージーに、しかし十分以上に楽しく、乗り続けることができるクルマなのです。 まぁそれでもスポーツカーですので万人にオススメするわけではないのですが、もしも86の中古車が気になっているのであれば、ぜひ前向きに検討してみることをオススメします。 >>トヨタ86のスペック詳細はこちら |
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