珠玉混合のレースはいたるところでバトル勃発日本には数多くのモータースポーツカテゴリーが存在する中、最近注目が高まっているのが“S耐”と呼ばれるカテゴリー。正式には「スーパー耐久シリーズ」と呼ばれ、1990年に発足した「N1耐久シリーズ」が前身となる。 その名の通り、3~4名のドライバーによって長距離(時間)を走る耐久レースで、短いレースで3~5時間、最長は富士スピードウェイで開催される24時間だ。そのためマシンは絶対的な速さだけでなく、信頼性や耐久性、さらにはピット作業や戦略を含めた「総合力」が勝敗の重要なカギとなっている。 発足当初は限りなく市販車に近い状態(グループN規定)で開催されていたが、1995年に改造範囲を広げたことで「スーパーN1耐久」に改名。更に1998年に自動車アフターマーケットとの連動を目的に規則を変更したタイミングで「スーパー耐久シリーズ」に再度改名され現在に至る。 なお、2022年は石油製品の精製および販売、電気・水素の供給などを行なう「エネオス」が冠スポンサーとなり、「ENEOS スーパー耐久シリーズ 2022 Powered by Hankook」という名称となった。 S耐の特徴は、エンジン・車体ともに大幅な改造が認められている国内トップカテゴリーの1つ「スーパーGT」に対し、量産車に近い車両をベースにレーシングカーに仕立てたマシンを争われていることだ。ドライバーも、国内外で活躍するプロドライバーからワンメイクレースからのステップアップ組、更にはジェントルマンドライバーまで様々。国内最高峰のテクニックと技術を”観て”楽しむスーパーGTに対し、”参加して”楽しむレースとして人気が非常に高い。 そんなS耐のもう1つ特徴は、クラス分けの多さ、豊富な車種バリエーションだ。クラス分けは排気量や駆動方式などにより区分されているST1~ST5に加え、FIA-GT3車両によって争われる「ST-X」、FIA-GT4車両によって争われる「ST-Z」、さらに「世界ツーリングカー選手権(WTCC)」の発展形となるTCR車両によって争われる「ST-TCR」など、国際規格に準じたマシンも参戦可能となっている。 街でよく見るホンダ「フィット」などの身近なコンパクトカーから、ポルシェ「911」や日産「GT-R」などのスーパーカー、さらにはもう販売を終了している三菱「ランサーエボリューションX」までもが一堂に会し、コース上のいたるところでバトルを繰り広げる様は、長丁場のレースでも決して飽きが来ないほど面白い。 ※タイトルに一部誤りがございました。お詫びして訂正いたします。 メーカー同士が未来に向け”ガチ”でぶつかり合う近年は日本車のスポーツモデル復権も功を奏しニューモデルよる参戦も増加中だ。さらにS耐では自動車メーカーの開発車両が参戦可能な「ST-Q」も用意される。 ST-Qは、2021年に水素エンジン搭載のトヨタ「カローラスポーツ」の参戦で話題になったカテゴリー。2022年はカローラスポーツに加え、カーボンニュートラル燃料を使うトヨタ「GR86」やスバル「BRZ」、バイオディーゼル燃料を使う「マツダ2」も参戦。自動車メーカーがカーボンニュートラル時代に向けた”走る実験室”としても活用されている。 第1戦の鈴鹿ラウンドでは、トヨタとスバルがメーカー同士のガチンコバトルを繰り広げ、今シーズン途中にはマツダも車両をチェンジして争いに加わると言われており、今後の展開にますます目が離せない。 さらに、6月4日、5日に富士スピードウェイで開催される「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」には、日産から発売前の「フェアレディZ」がST-Qクラスでデビューする。トヨタ、日産、スバル、マツダがしのぎを削り、切磋琢磨する姿にも注目だ。 ちなみにS耐の規則書を見ると、「環境に配慮しながらモータースポーツ社会の発展」、「培ってきた知識・技術を未来のモータースポーツや自動車産業に繋げる」、「モータースポーツを次の時代に繋げる」と言った「スーパー耐久の理念」が掲載されているが、まさにこの時代がやってきたと言えるだろう。 使用されるタイヤは全クラス「ハンコック」のワンメイクで、安定したパフォーマンス、安定したクオリティ、そしてロングライフなどから参戦コスト削減にも一役買っている。 各レースをYouTubeで無料ライブ配信近年は「見て楽しむレース」と言う部分にも力が入れられており、各レースをYouTubeで無料ライブ配信する「Super Taikyu TV」やSNS(Twitter/Facebookなど)を用いた発信なども積極的に行なわれているので、そちらも要チェックだ。 開幕戦の鈴鹿ラウンドは終了したが、次回はシリーズの目玉、富士スピードウェイで行われる24時間レース。その後も全国各地の有名サーキットを転戦するので、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。開幕戦を見逃した方も、公式YouTubeチャンネルにアーカイブ動画が残っているので、そちらもチェックしてスーパー耐久の魅力を堪能してみてほしい。 ■ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 開催スケジュール ■スーパー耐久公式YouTubeチャンネル Super Taikyu TV/Stai TV |
GMT+9, 2025-6-24 03:48 , Processed in 0.161040 second(s), 18 queries .
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