渋滞時レベル3の装備に期待が高まった現行モデルだが…4世代目にあたる現行の「アウディ A8」は2017年から欧州を中心に発売が始まった。直前まで限定付き“レベル3”のトラフィックジャムパイロットの装備が期待されていたが、残念ながら当時の法規制で断念。バルセロナの発表会で量産試作モデルに見られたこのシステムを起動する「AI」ボタンは量産車では見ることができなかった。 そして2021年11月にフェイスリフトが発表され、年が明けミュンヘン空港のアウディセンターを起点に試乗会が開催された。昨今のアウディの場合、フェイスリフトとはいえ「A4」のようにボディ外皮にまで及ぶ大掛かりなものがあるが、今回のA8は一目見ただけではそう大きな変化はなさそうだ。 >>アウディ A8のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる >>アウディ S8のおすすめグレードとユーザーの評価を見てみる 130万個のマイクロミラーを使ったハイテクヘッドライトそれでも大型化されたシングルフレームは古典的な格子状のグリルではなく、メルセデス・ベンツのようにメッキされた小さなユニットで構成されており、視覚的に立体化された結果、プレステージ性が高められている。さらにクロームで縁取りされた左右のエアインテ―クはスポーティな表情を見せる。 ヘッドライトは130万ユニット(!)のマイクロミラーから成るDMD(デジタルミラーデバイス)を装備。このハイテックなLEDヘッドライトは対向車を幻惑させずに前方の路面を照射して、走行する車線はもちろん移動先の車線まで照射することができる。 一方リアは車幅を横切るOLEDライトとクロームのリアエンド・ィニッシャーが安定感を醸し出している。ボディサイズはスタンダードと13cm長いL(ロング)の2種類があり、バンパーデザインの変更でそれぞれ全長が2cm伸びだが、他は変わっていない。 PHEV以外の全車に48Vマイルドハイブリッドを搭載搭載されるエンジンはすべて48Vのマイルドハイブリッドを搭載し、当面は以下のようなラインアップとなる。 PHEVは59kmのEV走行が可能。サスペンションも先進的ドイツブランドのハイエンドサルーンのほとんどがそうであるように、最初に試乗したPHEV(プラグインハイブリッド)の「A8 L 60 TFSIe」もドライブを運転手に任せるには惜しいほどの敏捷なハンドリングを見せてくれる。全長5.19×全幅1.90m、空車重量2.3トンのボディにも関わらず、ステアリングホイールを切り込んだ時に姿勢を乱さずにすっとノーズが進行方向を向くのはスポーツセダンの振舞である。ちなみにカタログ上のダイナミック性能は0-100km/hが4.9秒、最高速度は250km/hで制御される。 とはいえ3mを超すホイールベースとエアサス、そしてカメラによって前方の路面状況を捉えてボディを安定制御するプレディクティブ・アクティブサスペンションなどがもたらすリアコンパートメントの乗り心地は快適そのものだ。またこのシステムはコーナリング時にコーナー外側のボディを最大3度まで持ち上げてパッセンジャーに横Gを感じさせない「インテグレーテッド・カーブ・チルティング・ファンクション」ももっている。 さらにリアシートは助手席をチルトさせたコンフォートポジションにすると、日本的に靴を脱いで足のマッサージまでしてくれるので降りたくなくなったほどである。 A8 L 60 TFSIeのリアにはリチウムイオン電池(14.4kWh~17.9kWh)が搭載され、59kmのEV走行も可能だ(この時の最高速度は135km/hでリミッターが介入)。この環境性能があればフルサイズサルーンで市街地を走るのも後ろめたさは感じないで済むだろう。 自らステアリングを握りたくなるS8のスポーティな走り続いて試乗した日本導入予定のウルトラブルーの「S8」は一部がメッキされた変形ハニカムグリルと、ワイドな感じを与える左右のエアインテークで、先のPHEVのA8 L 60 TFSIeとは異なるスポーティな表情をもっている。リアエンドも左右4本出しのマフラーカッターでV8の存在を堂々と示している。 最高出力571ps、最大トルク800Nmを発生する4Lツインターボは8速トルコンAT(ティプトロニック)と組み合わされ、ダイナミック性能は0-100km/hが3.8秒、最高速度は250km/hでリミッターが介入する。 スターターボタンを押し、遠くで唸るようなV8サウンドを聞きながらまずはアウトバーン8号線を北上する。S8はスタンダードより10mmローダウンしたスポーツシャーシを装備しているが、ダイナミックモードを選択するとさらに10mm低下し、路面にへばりつくような安定感でクルージングを披露する。 カントリーロードではアウディ特有の軽く、しっとりしていながら路面感覚を正確に伝える上質な電動パワーステアリングのお陰で軽快なドライブを楽しむことができた。装着していたのがサイドウォールの柔らかな20インチのマッド&スノータイヤだったことを計算に入れても、スポーツシャーシは絶妙な快適性で悪路からの振動を完璧なほどに遮断してくれる。 しかもコーナリングではクイックな動きでサイズを忘れるほどの敏捷さも披露、S8の基本はショファードリブンのフルサイズサルーンであるが、ウィークエンドは間違いなくオーナー自らがドライブを楽しむクルマであることが確認できた。 レベル3の渋滞時自動運転機能は今回も搭載されずアップデートされたADAS(先進運転支援システム)は40種以上を搭載、様々なシチュエーションで安全で快適なドライブを約束する。しかし冒頭でも報告した限定付き“レベル3”のトラフィックジャムパイロットは今回も搭載されず、搭載予定時期も語られなかった。 アウディのADAS開発関係者によればドイツにおける法整備がまだ整っておらず、残念ながらこのA8の世代では間に合わないというのだ。ただし次期A8では一段進化したレベル4搭載のうわさも流れている。 新型A8とS8の日本導入は今年の夏から秋にかけてと発表されているが、価格はまだ発表されていない。 ※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。 |
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